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第六章 弟たちのため?私は……
6-5
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お腹いっぱいたこ焼きを食べたあとは、もちろんケーキが出てくる。
デザートは別腹だ。
「ケーキまでよかったのに」
とかいいながらも、彪夏さんの顔は緩みっぱなしだ。
「清子姉さんが焼いたのだから、お口にあうと思うけど」
巧はニヤニヤ笑っていて、ちょっと性格悪いぞ。
「清子が焼いてくれたのか……!
どうしよう、もったいなくて食べられない……」
彪夏さんは感動しているが、大袈裟すぎる。
「いいから、食べちゃってください。
ロウソクは三十四でいいんですよね?」
それに若干呆れつつ、準備してあったロウソクを立てた。
たぶん百円ショップで買ってきた、数字型のロウソクだ。
これ二本で買えるものを考えると惜しくなってくるが、そこ気にしない方向で。
「じゃあ、改めて」
巧のしきりでロウソクに火が灯された。
それにあわせて望と真が定番のバースデーソングを歌ってくれる。
「ハッピーバースデー、ディアひゅうがおにぃちゃん……ハッピーバースデー、トゥーユー」
歌が終わると同時に巧にアイコンタクトされ、彪夏さんはロウソクを吹き消した。
「ひゅうがおにぃちゃん、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
望に抱きつかれ、彪夏さんもまんざらでもない様子だ。
「おめでとうございます、彪夏兄さん」
「彪夏にぃ、おめでとう!」
「ありがとう、ふたりも」
口々に弟たちが改めてお祝いを口にする。
それを、彪夏さんは嬉しそうに受けていた。
ケーキを切り分けて食べる。
ちゃんと、健太の分は残しておいた。
「うまい……!」
しみじみと彪夏さんは噛みしめているが、そんなに?
「今日のケーキ、いつもよりうまいよな。
なんで?」
鋭いツッコミが真から入る。
それは、材料がいつもよりいいからです。
……とか、言っていいのかわからない。
「うるさい、真。
文句言うなら僕が食べるけど?」
「文句とか言ってないし!」
しかし巧から口を封じられ、取られないようにケーキを死守していた。
お腹も満足し、片付けをする私たちの後ろで彪夏さんは真の暗号に取り組んでいた。
「できたぞ」
「えっ、嘘!」
しかしものの五分もしないうちにあっさりと箱が開く。
「中身は……」
なにが出てくるのか不安で、彼らを振り返った。
「……清ねぇと結婚できる券」
下手くそな花嫁と花婿の描かれた紙を、彪夏さんは複雑な顔で見ている。
「真!」
思わず、大きな声が出た。
家族はみんな、私の婚約に納得しているんだと思っていた。
でも、真は違ったんだろうか。
「結婚したら清ねぇはこの家からいなくなるって言われて、オレ、本当は嫌だったんだ。
だってオレ、清ねぇ大好きだもん。
でも彪夏にぃ凄いいい人だし、彪夏にぃと一緒にいるとき清ねぇ、嬉しそうだし。
だからオレが、我慢しないとなって思って……」
だんだん、真の声が小さくなっていく。
彼がそんなことを考えているなんて知らなかった。
「それに彪夏にぃになら、清ねぇ譲ってやってもいいかって!」
吹っ切るように勢いよく顔を上げた真の目には涙が光っている。
それを見て、ちょっぴり切なくなった。
「ありがとうな、真。
清子譲ってくれて」
真の手を握り、彪夏さんが肩を軽くぽんぽんと叩く。
「絶対に清ねぇ幸せにしないと、許さないんだからな!」
「おうっ、絶対に幸せにする。
男と男の約束だ」
彪夏さんと真は指切りまでしているが、この婚約は嘘なのだ。
私としては彼を本気にさせて結婚するつもりだが、……もし、別れたとき。
こんなに家族を巻き込んでおいて、どうなるのだろう。
デザートは別腹だ。
「ケーキまでよかったのに」
とかいいながらも、彪夏さんの顔は緩みっぱなしだ。
「清子姉さんが焼いたのだから、お口にあうと思うけど」
巧はニヤニヤ笑っていて、ちょっと性格悪いぞ。
「清子が焼いてくれたのか……!
どうしよう、もったいなくて食べられない……」
彪夏さんは感動しているが、大袈裟すぎる。
「いいから、食べちゃってください。
ロウソクは三十四でいいんですよね?」
それに若干呆れつつ、準備してあったロウソクを立てた。
たぶん百円ショップで買ってきた、数字型のロウソクだ。
これ二本で買えるものを考えると惜しくなってくるが、そこ気にしない方向で。
「じゃあ、改めて」
巧のしきりでロウソクに火が灯された。
それにあわせて望と真が定番のバースデーソングを歌ってくれる。
「ハッピーバースデー、ディアひゅうがおにぃちゃん……ハッピーバースデー、トゥーユー」
歌が終わると同時に巧にアイコンタクトされ、彪夏さんはロウソクを吹き消した。
「ひゅうがおにぃちゃん、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
望に抱きつかれ、彪夏さんもまんざらでもない様子だ。
「おめでとうございます、彪夏兄さん」
「彪夏にぃ、おめでとう!」
「ありがとう、ふたりも」
口々に弟たちが改めてお祝いを口にする。
それを、彪夏さんは嬉しそうに受けていた。
ケーキを切り分けて食べる。
ちゃんと、健太の分は残しておいた。
「うまい……!」
しみじみと彪夏さんは噛みしめているが、そんなに?
「今日のケーキ、いつもよりうまいよな。
なんで?」
鋭いツッコミが真から入る。
それは、材料がいつもよりいいからです。
……とか、言っていいのかわからない。
「うるさい、真。
文句言うなら僕が食べるけど?」
「文句とか言ってないし!」
しかし巧から口を封じられ、取られないようにケーキを死守していた。
お腹も満足し、片付けをする私たちの後ろで彪夏さんは真の暗号に取り組んでいた。
「できたぞ」
「えっ、嘘!」
しかしものの五分もしないうちにあっさりと箱が開く。
「中身は……」
なにが出てくるのか不安で、彼らを振り返った。
「……清ねぇと結婚できる券」
下手くそな花嫁と花婿の描かれた紙を、彪夏さんは複雑な顔で見ている。
「真!」
思わず、大きな声が出た。
家族はみんな、私の婚約に納得しているんだと思っていた。
でも、真は違ったんだろうか。
「結婚したら清ねぇはこの家からいなくなるって言われて、オレ、本当は嫌だったんだ。
だってオレ、清ねぇ大好きだもん。
でも彪夏にぃ凄いいい人だし、彪夏にぃと一緒にいるとき清ねぇ、嬉しそうだし。
だからオレが、我慢しないとなって思って……」
だんだん、真の声が小さくなっていく。
彼がそんなことを考えているなんて知らなかった。
「それに彪夏にぃになら、清ねぇ譲ってやってもいいかって!」
吹っ切るように勢いよく顔を上げた真の目には涙が光っている。
それを見て、ちょっぴり切なくなった。
「ありがとうな、真。
清子譲ってくれて」
真の手を握り、彪夏さんが肩を軽くぽんぽんと叩く。
「絶対に清ねぇ幸せにしないと、許さないんだからな!」
「おうっ、絶対に幸せにする。
男と男の約束だ」
彪夏さんと真は指切りまでしているが、この婚約は嘘なのだ。
私としては彼を本気にさせて結婚するつもりだが、……もし、別れたとき。
こんなに家族を巻き込んでおいて、どうなるのだろう。
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