愛の待つ家

ふぁ

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1つ目の愛

あの日

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私はたまにあの日を思い出す。
小学校二年生の正月の夜中のことだった。寝室で寝ている私を起こす声がした。それは母親だった。どうやら父親が三階の寝室から二階のトイレに繋がる階段で足を踏み外し、骨折したらしい。 今思い返すと前日の、つまり大晦日の日に彼はしこたま酒を飲んでいた。それが原因で、酔っ払って足を踏み外したのだ。骨折はかなり酷く、骨が見えていたそうだ。すぐさま救急車が来て大学病院に連れていかれた。当然私と母も同行した。緊急手術が行われ、それが終わったのは昼のことだった。何とか事なきを得た私と母はやっとの思いで家に帰った。家に帰ると直ぐに母は私に2階にくるなと忠告し、1人で雑巾を持って2階に上がっていった。来るな、なんて言われて行かない小学生がいるのか。音を立てずバレないように2階に上がると、そこで目にしたのは、辺り一面血だらけになった床を1人で掃除する母の姿だった。怖くなって呆然としている私を見つけた母は私を叱るでもなくただ優しく抱きしめた。 


その日は母の誕生日だった!
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