転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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新たな魔女の誕生

可愛い子には旅をさせろ

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 卵から孵った天狼は、最初に生まれた子がキトラ。ブラックタン。次に孵ったのがエレンの天狼で、色味はフォーン。名前はシエ。それからブラックチョコタンのミトラ。最後に私の卵が孵った。ブラックホワイトタンのシュナ。
 私の使い魔だけど、キトラもシュナもエレンによく懐いてるし、エレンの使い魔のシエとミトラも私に懐いてる。

 生まれたばかりの時は手のひらサイズだったのに、あっという間に子犬サイズになった。コロコロしてふわふわして、手足がむくむくして可愛い!
 隙あらばもふもふに触れたり抱っこしたら顔を埋めたりしてる!

 私とエレンがやった畑仕事をシエが邪魔したりもするけど、それを私とエレンで追いかけたり、畑仕事を終えたら森の中を皆で駆け回ったりしてる。
 毎日笑って、走って、楽しい。もうこれだけでこの世界に生まれた甲斐があったと思う!

「幸せすぎる」
「本当だね」

 この幸せが永遠に続いてほしいと思ってる今は、これまでの魔女達の、生を終わらせる決断が理解できそうにない。
 でも生まれてまだ五歳だし、まだまだそういったことを考えるのは早いから、これでいいのだ!

 庭を駆け回っていたら、お母さんが窓の内側から声をかけてきた。

「おやつよー!」
「やったー!!」
「はーい!!」

 四匹の天狼の子犬を引き連れて家の中に戻る。シルキー達が慌ててやって来て、天狼達の足の裏を拭く。
 前世と違って土足が当たり前の世界だけど、家の中ではルームシューズに履き替える。私達のルームシューズはシルキーお手製で、柔らかくて裏に滑り止めもついてて歩きやすい。走っても平気!

 今日のおやつはドーナツだ!
 シルキーは手先がとても器用だから、ふわっふわのドーナツなんかも作ってくれるんだよね。そして美味しい! 毎日のごはんも美味しいし、洋服も作ってくれる。大好きなんだって、家事仕事が。感謝の気持ちを更新中。

「まだ当分先のことだけれど、あなた達も成人したら旅に出なさい」
「修行ってこと?」

 やっぱり宅急便やるのかな?

「そうじゃないわよ。そんなしきたりもないわ。ただね、お母さんは旅をして色々なものを見て、楽しかったのよ。そりゃあ嫌なこともあったけれど、それも含めて世界を巡る旅は有意義だったわ」
 
 なるほど、旅かー。私も旅は嫌いじゃないけど、エレンほどじゃないなぁ。衣食住がしっかりしてないと嫌なんだよねぇ……。
 村人に頼まれたお母さんに付いて行った時、村長の家に泊まらせてもらったんだけど、衛生状況とかごはんとかがあんまりだったんだよね……。歓迎されてないってことじゃなくて、村長の家庭ですらさほど裕福ではない、ってことだったんだと思う。百人程度の規模の村。村としては結構大きいんだろうけど、それでもその状況。
 旅をするとなれば、魔女の馬車があるから野宿はないにしてもごはんを自分で作ったり、獲物を捕えるとか、色々しなくちゃいけない。現状こんなにシルキーのお世話にどっぷり浸かってるのに、自分達だけでできるかなぁ。そもそもエレンとは別で行きなさいとか言われたら泣く。やっと会えたのに!

「その旅は二人で行ってもいいの?」
「勿論、構わないわ」

 私とエレンは見合って笑顔になった。良かった!
 使い魔は天狼だからつよつよなわけで、子犬ぐらいの大きさでも既にちょっとした小動物を捕まえてきてくれる。だから狩りは平気として、それを捌くとかですね……。魚はやれるけど動物はできるかなー。慣れればいける……?
 ジビエって寄生虫とかいるんじゃなかったっけ? ってことは毎日の食卓に上るお肉はどう調理されてるんだろう……?

「言ってなかったけど、魔女の馬車はね、持ち主が望むように改造できるのよ。私は定住しているから乗り物として機能していればいい形にしているけれど」

 えっ、魔改造可能!?

「それって、キャンピングカーみたいにしていいってこと?」

 母も前世持ちですからね、キャンピングカーという言葉も通じちゃうわけですよ。

「できると思うけれど、そうなるように作る時に結構な魔力が必要になるわね。まぁあなた達魔力が多いし、二人で一緒ならできるのではないかしら」

 私とエレンは顔を見合わせて頷いた。

「エレンは多少の不自由に耐えられるけれど、キリエは駄目でしょう。今から用意しておくといいわね」

 さすが母上、よくご存知で。

「キャンピングカーにすると大きくなっちゃう?」

 馬車召喚時には広さが必要だ。私がキャンピングカーに備え付けたいと思っているものは結構ある。

「大丈夫よ。外からはお母さんの馬車と同じくらいの大きさにしか見えないし、場所も必要としないわ」

 ありがたい! 魔改造し放題じゃないですか!

 母は小さいシルキー──元からいたシルキーと区別するのに私達はシルルと呼んでる──を呼んだ。

「馬車なら椅子があるわ。キャンピングカーにするならシルルが付いて行っても大丈夫でしょう。付いていってもらいなさい」
「えっ! いいの!?」
「やったね!」

 キッチン付きキャンピングカーにして、シルルに付いて来てもらえば食生活には困らないはず!
 わー! 俄然旅が楽しみになってきたー!

「完成したら見せてちょうだいね」
「うん!」
「見てチェックしてほしい」

 ただ見てもらいたい私と違って、エレンは過不足ないか確認してほしいらしい。さすがのしっかり者っぷり。
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