転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

文字の大きさ
8 / 70
新たな魔女の誕生

空間拡張って魔法に入るの?

しおりを挟む
 当分先と母上は仰せだったと記憶しているものの、魔女馬車キャンピングカー作りはやりたいのでやる!

 一般的な(?)馬車の大きさをした巨大かぼちゃ。深緋色のドアを開けるとそこは、何にもない! 当然だね!
 魔力を流し込んで空間を広げてみる。それから外に出てみる。……本当だ、外観変わってない。内側かなり広々してるのに。
 かぼちゃの中に戻り、キッチンやダイニングテーブル、パントリーが置けそうなぐらいに空間を拡張する。念の為もう一度外から見てみる。変化なし。実は見えない何かがあったりして? と思ってかぼちゃの周りをぐるりと一周したけど、見えない阻害物はなかった。どうなってんのかな?? 分からんが助かる!

 続けて洗面所、洗濯機、乾燥機、トイレとお風呂が置けるスペース分を拡張する。広げといてなんだけど、普通にコンパクトハウスぐらいの大きさになりそう。
 それから二階に続く階段を作りながら空間を広げていく。
 私のイメージとしては、イギリスのロンドンを走ってる二階建てバスみたいな感じなので、二階は一階と同じ広さにする。
 二階に上がってすぐは居間。カーペットとか敷いてごろ寝したい。広めの居間の先は二つの部屋と大きなベッドルーム。二つのうち一つはシルルが大好きな洋服作りとか刺繍ができる部屋。もう片方はウォークインクローゼット。
 ベッドルームは大きくなるだろう天狼四匹と私達が眠っても平気な大きさ!

「とりあえず空間の拡張したけど、家具が全くない!」
「野宿に近いね」

 初めは簡易なものだとしても、全くないというわけにもいかないから、どこかしらで調達せねばなのではー?

「お母さんに相談しないと!」
「どこかに依頼して作ってもらうなら早めに言わないとね!」

 かぼちゃの馬車から飛び出し、家に戻る。お母さんは居間でまた鹿の角を使って編み物してる。だからそれどうなってるんだね!?

「お母さん家具欲しい!」
「馬車の中で寝袋が楽しいのは最初だけだと思う!」

 エレンの言葉の説得力よ……。

魔女通販ネットショップのカタログがあるから、とりあえずそれで一式揃えるといいわ」

 魔 女 通 販ネットショップ
 なんぞそれー!?

 本棚からそこそこの厚みの本を持って来ると、テーブルの上に広げた。本当にカタログだ……!

「外観がかぼちゃだから、可愛いめにするのかしら?」
「あ、そうだ、お母さんに聞きたかったの!」
「私達、何歳で旅に出るの?」

 そこさ!

「十二歳ぐらいでいいんじゃないかしら?」

 十二歳。前世でいうなら小学六年生。早くないかな、この世界厳しいな。でもあれかな、丁稚奉公とか子供の頃から行くから、そんな感じなのかも?

「言い忘れていたかもしれないけれど、魔女は死なないでしょう? つまりね、自分の肉体的な年齢を自在に操れるのよ」

 我らが今生の母君は四十路にも達していないように見える。

「……お母さんって、何歳なの?」

 女性に年齢聞いちゃ駄目っていうけど、この流れで聞くなというのも難しい。

「そうねぇ、八百歳は超えてるはずよ」

 ガチ八百比丘尼きたー!!

「わかった!」

 自分で言いながら何がわかったんだ、って感じだけども。

「じゃあ早く大きくなって」

 大きくなって子供と侮られないようにすると言おうとしたら、シルルが勢いよく首を横に振る。

「えっと、大きくならないほうがいい?」

 そう尋ねると笑顔で頷く。どうやら成長しないほうがいいらしい。

「うーん、でもさすがに五歳のままではいられないから、もうちょっと大きくなるからね?」

 そこは頷かれた。

「十六歳ぐらいは?」

 シルルが首を振る。駄目なようだ。

「じゃあ年相応に十二歳」

 また首を振られる。あ、駄目ですか。続けて十歳と言ったけどそれも駄目だった。十~十二歳は個人差もあって、発育の良い子は身長も高かった記憶。

「八歳ぐらい?」

 大丈夫だと頷かれた。
 我らの四天王ライフラインの一角を担うシルルの機嫌を損ねるわけにはいかぬ!
 八歳だと小学二年生ぐらい?
 魔女っぽいとんがり帽子とかも似合うかもー? お母さんかぶってないけど。

「家具も大事だけど、狩りで仕留めた動物の血抜きとか寄生虫とか毒素とか、そういうのってどうしてるの?」

 お母さんがそうだったわ、という顔をする。しっかり者だけどたまーにこういうところもある、ほんわかお母さんである。

「カタログの中にね、血抜きナイフっていうのがあるのよ」

 物騒な名前だけど大変助かる奴っぽい!

「そのナイフを使えば捌く時に自動で血抜きをしてくれるから楽よ。あとは捌いた肉の寄生虫やら毒素はシルルが魔法で何とかしてくれるから安心なさい」

 妖精と魔女では魔法体系が違うらしいとは聞いていた。妖精の魔法ではそういうことが可能なんだね。生活力高めだ!

 カタログ見るの楽しみだなーなんてのほほんと思っていたら、エレンが「予算はいくらぐらいまで許されるの?」と尋ねた。
 確かに親子といえどなんでもかんでも好きなものを買ってもらえるはずもなかった。

「うーん、全て最高級品でなければ大丈夫だと思うわよ」

 なんだと、お母さまブルジョワなのか!?

「キッチンと洗濯関連はシルルと相談するとして、寝具とか衛生関連はキリエが耐えられる水準を吟味するね」

 ……私、一体どんな風に認識されてるのかなぁ? そんなにわがまま言ってる?
 顔に出ていたのか、エレンが言う。

「キリエは文句を言わず我慢して体調とかメンタル崩すから、わがままなぐらい言ってちょうど良いの」

 あ、えっと、ディスられてもいないけど褒めでもないな。心配されているのは分かったので頷いた。

「了解です」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた

平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。 それから幾千年。 現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。 そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。 ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。 だが彼自身はまだ知らない。 自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。 竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。 これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。

元勇者は魔力無限の闇属性使い ~世界の中心に理想郷を作り上げて無双します~

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
  魔王を倒した(和解)した元勇者・ユメは、平和になった異世界を満喫していた。しかしある日、風の帝王に呼び出されるといきなり『追放』を言い渡された。絶望したユメは、魔法使い、聖女、超初心者の仲間と共に、理想郷を作ることを決意。  帝国に負けない【防衛値】を極めることにした。  信頼できる仲間と共に守備を固めていれば、どんなモンスターに襲われてもビクともしないほどに国は盤石となった。  そうしてある日、今度は魔神が復活。各地で暴れまわり、その魔の手は帝国にも襲い掛かった。すると、帝王から帝国防衛に戻れと言われた。だが、もう遅い。  すでに理想郷を築き上げたユメは、自分の国を守ることだけに全力を尽くしていく。

あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト
ファンタジー
ダンジョン専門に、魔物を狩って生計を立てる古参のソロ冒険者ジーン。本人はロートルの二流の冒険者だと思っているが、実はダンジョン最強と評価される凄腕だ。だがジーンはある日、同業の若手冒険者から妬まれ、その恋人のギルド受付嬢から嫌がらせを受けダンジョンを出入り禁止にされてしまう。路頭に迷うジーンだったが、そこに現れた魔女に「1年間、別人の姿に変身する薬」をもらう。だが、実際には「1歳の姿に変身する薬」だった。子供の姿になったジーンは仕方なくシェルパとなってダンジョンに潜り込むのだが、そんな時ダンジョンい異変が起こり始めた。

異世界配信中。幼馴染みに捨てられた俺に、神々(視聴者)がコメントしてくるんだが。

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

追放されたけど実は世界最強だった件 〜異世界でスローライフを満喫してたら、元婚約者が泣きついてきた〜

にゃ-さん
ファンタジー
王国一の魔術師と呼ばれながらも、冤罪で追放された青年レオン。 田舎でのんびり暮らすつもりが、助けた村娘が実は聖女、拾った猫が神獣、弄った畑が伝説の大地に!? やがて彼の存在は国を超えて伝説となり、かつて彼を見下した者たちが次々とひざまずく――。 ざまぁあり、無自覚ハーレムありの、スカッと系異世界リベンジ譚。

辺境の落ちこぼれと呼ばれた少年、実は王も龍も跪く最強でした

たまごころ
ファンタジー
村で「落ちこぼれ」と呼ばれた少年アレン。魔法も剣も使えず、追放される運命だった。 だが彼の力は、世界の理そのものに干渉する“神級スキル”だった。 自覚のないまま危機を救い、美女を助け、敵を粉砕し、気づけば各国の王も、竜すらも彼に頭を下げる。 勘違いと優しさと恐るべき力が織りなす、最強無自覚ハーレムファンタジー、ここに開幕!

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...