転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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新たな魔女の誕生

特訓開始

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 猪の魔物を倒したところ、お母さんがほくほく顔でバッグからナイフを取り出した。
 もしやあのナイフ……?

「これが噂の血抜きナイフよ」

 そう言ってナイフの柄を私達に見せてくれる。そこには赤い宝石が埋め込まれていた。

「このナイフは魔道具で、この赤い魔石が動力源になってるの。捌けば吸い取った血が魔石の動力源になって刃こぼれも自動修復するのよ」

 永久機関じゃないですかー。

「さ、まずはエレンからやってみましょうか」
「はーい」
「どこから解体してもいいわよ」

 ナイフを持たされたエレンは、そっとナイフを猪の魔物に差し込んだ。おなかに差し込んだにも関わらず、血が出ない。血抜きナイフ凄い。

「そうそう、上手ね。内臓を取り出しやすいように切り込みを横にも入れましょうか」

 血が出ないのは大変精神に優しい……。いや、戦ってる時はそれどころじゃないんだけどね。
 さっくりとおなかを開かれた猪くん。三人がかりで内臓を取り出す。……うん、グロいです。血がなくてもやっぱりグロいもんなグロいんス。

「あなた達のマジックバッグもナイフと一緒に近いうちに届くはずだから、それまではお母さんのバッグに入れましょうね」

 マジックバッグ! やっぱりあるんだ魔法のアイテム!

「マジックバッグって収納力どれぐらいなの?」
「無限じゃないわよ。ただそうねぇ、ベヒーモスぐらいなら入れられるから、そうそう困らないわよ」

 ベヒーモスってめちゃくちゃデカいイメージなんですけれども!?

「定期的に売りに出していれば平気よ。ここと違ってギルドがある場所にいけば買取もしてもらいやすいし」

 なるほど。
 私とエレンがそれぞれマジックバッグを持つならベヒーモス二匹分ぐらいは収納できるってことだもんね。

「さ、皮を剥いじゃいましょうか。今度はキリエよ」
「うん」

 ナイフを受け取り、皮を剥いでいく。

「あら、上手ねぇ」
「ありがとう?」
「適材適所で内臓はエレンが、皮はキリエが担当してもいいかもね」

 え、でもそれエレンは嫌なんじゃ、と思ったところ、「血が出ないからやれそう」という力強いお言葉が……。

 内臓も皮もお母さんのマジックバッグに収納された。ナイフの切れ味は抜群で、滑らかに各部位を切り落としたいける。顔の皮は切り落とさなくていいらしい。角や牙、目、と色んなパーツがあって、解体が面倒なのと傷つけると台無しになるかららしい。

「入れっぱなしにしておいて大丈夫なの?」
「大丈夫よ。時間も止まるから」

 ますますチートだマジックバッグ!

 全ての部位がキレイに解体され、お母さんのマジックバッグに収納された。

「あら、血のにおいに寄ってきたのかしらね」

 お母さんが顔を向けている方向を見ると、スライム(?)が二匹いた。赤と紫のスライムだった。
 血抜きはされててもにおいはするもんね。

「倒したほうがいい?」
「普通なら倒すのだけれど、テイムすると便利なのよ、スライム」
「何でも食べてくれるから?」
「そうそう」

 ラノベなんかでも鉄板だよね、テイムしたスライムが不要なものを食べてくれるの。

「だから二人とも、あの子達テイムしちゃいなさい。赤と紫でちょうどあなた達の目の色と同じだし」

 そう、魔女には外見的特徴がある。銀髪だけれど、光の反射によって様々な色を見せるので、オーロラと呼ばれている。それから目が赤だったり紫だったりするのだけど、双子だからなのか、私は右目が青、左目が紫のオッドアイ。エレンは右目が赤、左目が紫のオッドアイ。ぃやぁー、中二心を満たしてくれますねー!
 ただ、シルルの好みにより髪型が変えられているのと、目の色が違うので顔は同じだけど見分けはつく(完全にシルルの好み)。でも洋服は一緒。刺繍は違ったり同じだったり。髪型から服装まで、全部シルルがやってくれるんだけど、趣味なんだろうね。

「テイムってどうやるの?」

 使い魔と従魔は違うんだろうな。

「スライムに手を向けて、お母さんが今から言う言葉を復唱してね」
「はーい」
「分かった」

 私は青のスライムに、エレンは赤のスライムに手を向ける。

『汝、我に従属せよ』

 思わずお母さんを見る。……え? まさかこれだけ?
 お母さんが頷くので、復唱する。手のひらに軽く抵抗するようなものがあったけど、それだけ。

「無事にできたわね。もっと強い魔物をテイムするとなると大変なのだけれど、あなた達には必要ないでしょう」

 そうですね。魔力多めの双子の魔女に天狼(魔法も物理もいける最強クラス)が四匹。これ以上の戦力は不要な気がします。
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