転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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双子魔女の旅立ち

ドルイドと使い魔の卵

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 天井から羽が何枚もついた輪っかがぶら下がっていて、風もないのにくるくる回転してる。謎の液体が入った色とりどりの瓶が並ぶ棚。トゲトゲしたものや、毛玉みたいなものもある。もしかしてあの瓶はファンタジー鉄板のポーションかな? 魔女は回復魔法も使えるからポーション不要なんだよね。

「アナベラさんに不要なものは持っていかないからね、見たことがないものもあるだろう?」

 私達がお店の中を見回していることに気付いたクルックさんが言った。二人して興味津々で見てすみませぬ。

「魔道具ではないんだよね?」
「うちは錬金術屋だよ。あの天井からぶら下がっているのは魔除けだね」

 錬金術!
 前世の錬金術には三種類あって、金を生み出すことを比喩として錬金術と表現するものと、本当に黄金を生み出すと思われているもの、それから不老不死などの魔法のような効能を持つものを生み出すもの。ファンタジーでは最後の魔法のような効能を持つものを作り出す特殊技能を錬金術と呼んでた。
 お店の中を見ている感じだと、ファンタジー的な錬金術っぽい?

「魔法が堪能な魔女にはあまり必要ではないだろうけどね、人間や魔法の使えない種族にはそこそこ重宝されるんだよ」
「使い魔の卵も錬金術で作るの?」
「いや、あれは仕入れるのさ」

 仕入れられるものなのか……。

「ドルイド──祭祀や樫の木の賢者ともいわれる民族がいてね。彼らと物々交換するんだよ」
「何を渡すの?」
「ウィッカーマンの代わりになるものを錬金術で作るのさ。今は昔と違ってウィッカーマンを人にさせたら大罪だからね」
「ウィッカーマン?」

 初めて聞く言葉だ。

「生贄のことをドルイドはそう呼ぶんだよ」

 生贄!! 悪魔崇拝みたいでこわっ! 動物でも人でも生贄が禁止になって良かったよ……。

「生物は五大元素を体内に保持しているんだよ。その代わりとなるように魔石に五大元素を閉じ込める必要がある。そこで儂らの出番というわけだ」

 五大元素。所謂四元素にエーテルを足したものだっけ?

「使い魔の卵をドルイドは秘奥の卵と呼ぶ。儀式を行うと卵が手に入るらしくてね。それをたまに譲ってもらう。ただ使い魔を持てるほどの魔力を持つ者は魔女か賢者ぐらいだから、他の物と物々交換することが多いね」
「ドルイドも使い魔を持てるの?」
「持てるが、ドルイドはナナカマドの竜にしか関心がないから、それ以外の卵をくれる」

 ナナカマドの竜?
 ナナカマドも竜も知ってるけど、その二つが組み合わさった生き物は初めて知った。

「背中から樹を生やす竜のことらしいが、儂ら外部の者が目にすることはないね」
「どうしてナナカマドの竜だけ?」
「ナナカマドの竜の背から生える樹で杖を作る必要があるらしい」

 その杖のためだけに儀式をするのかぁ。なんか凄いな。

「ドルイドは人間なの? それとも種族?」
「人間だよ。動物や医師の水の神 ライフニの敬虔な信者で、外界との接触は最低限しか持たないし、魔道具なんかも嫌うね」

 エルフっぽい生き方をする人間、と。
 それにしてもナナカマドの竜。背中から樹が生えるとかかなり不思議な生き物だなぁ。
 そういえば魔女は魔法の杖を必要としないけど、賢者は必要なのかな。

「賢者や人間の魔法使いは杖を持つの?」
「賢者は持ったり持たなかったりだけど、普通の魔法使いは必ず持つんだよ、杖がないと魔法が発動しないのさ。だからドルイド達も杖を必要とし、その杖はナナカマドの竜の樹でなければならないんだ」

 うちのお母さんなんて指を鳴らすだけで攻撃魔法放つのに。魔女や賢者はやっぱりチートだなぁ。

「魔力だけなら賢者が魔女を上回るそうだよ」
「すごーい」

 話としてよく聞く賢者だけど、この先知り合ったりするのかなぁ。今のところあまり興味はなくて、本物のエルフに会う……いや、遠巻きでいいから見てみたい。本当に耳が尖ってるのかとか、ドワーフは強いお酒が好きで鍛治が大好きなのかとか、そっちのほうが興味あるー!

「二人はここを出たら何処か目的地はあるのかい?」
「魔道具都市!」
「マルングリティに行こうと思ってます」
「あそこは凄いぞー」
「そうそう、奇人変人ばかりだが、一度は行っておくといい」

 随分な言われようだけど、あれかな、職人って気難しいとか頑固な人とかこだわりが強いとか、そういう人が多いイメージだから、魔道具都市ともなればそういう人が沢山なのかも?

「楽しみ」
「すぐに領都を立つのかい?」

 ううん、と私もエレンも首を横に振る。

「領都で冒険者業に少し慣れてから向かうことにする」
「それがいい」
「何かあったらすぐに相談においで。力になるよ」
「ありがとう!」
「ありがとうございます」

 まずは自活!
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