転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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双子魔女の旅立ち

ハーブ集めの片手間に薬草採取依頼

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 ファゴットが買ってきた屋台の料理を再現、というよりそれよりももっと美味しいものを作りたいというシルルの野望のため、ハーブの採取がてら薬草採取依頼を受けてきた。
 
 青い炎のままファゴットは私達について来ている。というかシュナに乗ってる。人間には見えないだろうけど、ファゴットうっきうきですよ。
 むくつけき男になるかと聞いたら青い炎のままでいいとのこと。青い炎は魔法でそう見えているわけだけど、魔法で変身させているのと違って、時間の制限を受けない。
 魔女馬車の御者になる契約を受けると、そう見えるようになるという契約というか制約とかいう奴なんだって。
 テイムの時もそうだったんだけど、契約魔法と普通の魔法はどうやら理屈が違うとかなんとか? そのへん理解する気がない、志ひっくーい私。いひひ。

 領都を出る。今日も今日とて大勢の人が領都に入るために並んでる。身分証を手にした人は並ぶ列が違うのはありがたい。またあの列に並ぶのは……。
 それにしても連日こんなに領都に人が来るのは何でなんだろう?
 ギルドは冒険者ギルドだけじゃなく、商人ギルドもある。そのどちらかに登録してあれば出入りはスムーズなはず。そのどちらにも属さない一般人が連日こんなに来るのは何でなのかな。
 そのことをエレンとファゴットに話すと、ファゴットが話し始めた。

〈数年前のスタンピードで被害を受けた村々からの移住者が増えて困ってるらしい〉

 伊達にむくつけき男になって歩き回っていたわけじゃないんだな、と思った瞬間だった。えー、ファゴットさん優秀な草の者じゃないですかー!

「数年前のスタンピードって、私達が特訓させられた時のかなぁ」
「多分そうだね」

 前世のような建築技術や機械なんかもないし、村の復興は大変なんだろうな。何とか頑張っていたけど、いよいよ立ち行かなくなって移住、なのかなぁ……。なかなかに世知辛い。せっかく魔法が使えて天狼という使い魔もいるのだから、たまには人助けをしようと思います。

 さて、ハーブ採取かつ薬草採取ですぞー!
 つい先日ルィヴナ草を納品したら、また頼まれた。ルィヴナ草はいくらあっても困らないんだって。あと今日は毒消しに使うアンティ草も。
 毒を持った魔物が春に生まれるらしくって、その毒消しとして必要なんだって。
 今日は私がアンティ草を採取。エレンはルィヴナ草を採取。なのでエレンは前回と同じエリアで採取をして、私とファゴットはアンティ草探しと地図埋めのためにもう少し先へ。

 風が吹くとざぁざぁと音がする。葉と葉が擦れ合う音でそう聞こえる。あちらこちらに薄桃色の花を付けた草があった。森では見たことのない草なので鑑定してみる。
 マウル草。気付け薬の原料になるらしい。なになに? 料理に少量入れるとピリッとした味となると。なるほどなるほど。これは採取していかねばですね。
 アンティ草とマウル草、お馴染みのハーブを採取していく。

〈こんな風に人の世界で自由に歩ける日が来るとは思わなかった〉

 しみじみとファゴットが言う。

「そういえば何でファゴットは妖精の世界を出て来たの?」

 妖精だけが住む世界があって、多くの妖精はそっちで暮らす。そのほうが安全だから。でもシルルやファゴットのように自分達の世界から出てくる妖精もいる。

〈人間の住む世界は妖精界と全く違うと知って興味を持ったからだ。あちらの世界も行ける場所は地図として描いてしまったからね〉

 やっぱり地図なんだ。

〈ただこっちに来てからは、人に攫われたり襲われかけることの連続でまともに地図を描けなかった。今はキリエとエレンのおかげでやりたいことができている。感謝している〉

 改まって言われると照れるけど、ファゴットが楽しんでいてくれるならなにより。

「こちらこそ旅の仲間になってくれてありがとう」

 旅は道連れ、世は情け、っていう言葉もあるくらいだからね。とはいえ、これ以上は増やす気はないんだけど。いやだって、旅開始時に満員御礼だし。
 普通なら徐々に増える仲間が最初から揃ってるから、集める必要がない。出会いはあってもいいのかもだけど。

「キリエー、ファゴットー」

 エレンの声をした方を見ると、シエに乗ったエレンがこっちに向かって走って来ていたので、手を振る。

「エレンー! こっちだよー!」
「鳥の魔物仕留めてきた!」

 エレンは前世鳥で怖い思いをしたので、鳥が苦手。今生でも鳥を避けて生きるのかと思ってたんだけど、まさか格闘したのかな?

「シエとミトラがやっつけてくれた!」

 やっぱり苦手は苦手らしい。
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