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双子魔女の旅立ち
気持ちは分かるけど、そのやり方は敵を作るよー
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案の定、賢者くんはギルドから注意を受けたようだった。そりゃそうだ。
この世界は賢者くんのためだけに存在するわけじゃないんだから。賢者として生まれて既にチートなんだから、そんなにアクセル全開じゃなくても、と思ってしまうけど、なにかしらやりたいことがあるんでしょう、きっと。
「なんで皆してオレのこと邪魔すんだよ! クソッ、これも宿命か!?」
ヤバ、賢者くん面白キャラかも! 中二病キャラは適度な距離から見守る分には楽しい。身近にはいたくない。
「邪魔してるのはどちらかというと賢者くんのほうです」
「他にも同ランクの冒険者がいるのは当然というか……」
エレンちゃんが手厳しい。
「ってかなんでおまえらまだFランなんだよ」
ハッと何かに気付いた顔をしたかと思うと、ニヤニヤし始めた。
「魔女さまのくせに弱っちすぎねぇ?」
「うん、そうそう、賢者さまより弱いんです」
なにをー!? と言い返したりなんてせんのです。
「それなのに何処かの強ーい賢者さまが他のFランク冒険者の依頼まで奪ってしまうんです」
やり返すと決めたらしく、エレンが皮肉を言う。
ギルドから注意されてるのもあってか、バツが悪そうか表情をする賢者くん。
ところでさ
「勝手に相席しないでいただけますか」
テーブルについて、受付が空くのをエレンと待ってたら賢者くんが許可なく座ってきてからの、会話スタートなんだよねー。
同じ転生者だからって仲間扱いは止めてくれたまへ。初対面で暴言吐いてきたの、地味に忘れてないからね。
「しょうがないだろ、他に空いてないんだから」
「そうじゃなく、相席の許可を取らないのはマナーが悪いと言っているんです」
「はー? 幼女に興味ないけどー?」
いやだからそうじゃないんだけど、伝わらんな。
エレンが指をパチンと鳴らした。シエが賢者くんの襟首を噛んで持ち上げる。
「わっ! 何すんだ! 横暴だぞ!」
シエはのっしのっしとそのままギルドの外に賢者くんを連れて行って、ぺっと捨てて戻って来た。
「シエは偉いねー、良い子良い子」
「偉い偉い」
エレンと私でシエの頭を撫でまくる。
折よく受付も空いたようで、おねーさんが手招きしてた。
「こんにちはー」
「こんにちは」
「お待たせしました」
掲示板にあった依頼書をゲットしていたのを、おねーさんに渡す。
「こちらですね。では登録します」
リングとブレスレットに依頼内容を登録させる。これ便利。受領後に必要な薬草がいくつだったか記憶が曖昧になった時、確認できるから。
うん、この仕組み作った魔女もしくは賢者よありがとう、大変助かってます。それはそれとして、ゲームとか好きだったでしょ? と言いたい。
「お二人に指名の依頼があるのですが」
指名! 私達に?
こんな駆け出し冒険者に!
不思議に思っていたら、おねーさんがふふっと笑った。
「お二人が採取してくださる薬草は丁寧に処理されていて、薬剤師がとても喜んでいるんです。可能であればお二人に受けていただきたいとのことなんですが、その……報酬は増やせないんです」
報酬の部分について触れる時は申し訳なさそうな様子だった。
「大丈夫です」
「ご指名ありがとうございますとお伝えください」
賢者くんも薬草採取依頼受けていたと思うんだけど、ランクアップを急ぎすぎて雑にやっちゃったのかな? なんというか、不器用な人だなー。関わりたくはないけど応援はしてる。
二件の依頼を受けてギルドを出る。
まずは薬草採取。それからもう一件はトレントモドキの討伐。
トレントは樹木の魔物で根付いた場所から動かないんだけど、トレントモドキは動けるんだって。
根っこがズボッと土から抜けて動く姿を想像する。実際目にしたら脳がバグりそー。
で、トレントは動かないから発見されたらギルドに報告される。結構強い魔物だからランクの低い冒険者が被害に遭わないように情報共有される。枝をムチみたいに周囲にビシビシ当ててくるんだって。こわっ。
それはそれとして、トレントがいるとその周辺の土壌が良くなるらしい。上位ランクの冒険者へトレントを眠らせて土中から掘り起こし、土壌が悪い場所に植え替えてもらうという依頼をすることもあるそうな。なんでトレントの周辺の土壌が良好になるかといえば、トレントの実の匂いに引き寄せられた魔物をトレントがしばいて栄養にするから。うーん、弱肉強食。
ちなみにトレントの実は美味しいらしい。いつか強くなったら食べてみたい。
そんなわけだから人間達からするとトレントは近付きたくはないけど、勝手に魔物しばいてくれるし、土壌改善してくれるから共存したい存在。
対するトレントモドキは弱い。低ランクでも倒せるくらい弱い。トレントと同じように実を付けるし、良い匂いらしいんだけど、美味しくないんだって。しかも周辺の土壌を悪化させるらしくって、嫌われてる。
そりゃそうなる、っていう生態。
トレントモドキを見かけたという報告を受けたギルドから領主に報告が上がって、依頼が貼り出されるらしい。
土壌を悪化させるモドキは、領主からしたら倒しておきたい魔物だよね。
ちなみにトレントとトレントモドキを見分けるには、石を投げつけてその反応を見るという、大変原始的なもの。
本物ならその場で枝をブルンブルン振るけど、偽物なら襲ってくる。弱い癖に好戦的なモドキ。小動物なんかを誘き寄せて捕食してるとかなんとか。
森の中では見たことなかったからなー、トレントもモドキも。楽しみ!
この世界は賢者くんのためだけに存在するわけじゃないんだから。賢者として生まれて既にチートなんだから、そんなにアクセル全開じゃなくても、と思ってしまうけど、なにかしらやりたいことがあるんでしょう、きっと。
「なんで皆してオレのこと邪魔すんだよ! クソッ、これも宿命か!?」
ヤバ、賢者くん面白キャラかも! 中二病キャラは適度な距離から見守る分には楽しい。身近にはいたくない。
「邪魔してるのはどちらかというと賢者くんのほうです」
「他にも同ランクの冒険者がいるのは当然というか……」
エレンちゃんが手厳しい。
「ってかなんでおまえらまだFランなんだよ」
ハッと何かに気付いた顔をしたかと思うと、ニヤニヤし始めた。
「魔女さまのくせに弱っちすぎねぇ?」
「うん、そうそう、賢者さまより弱いんです」
なにをー!? と言い返したりなんてせんのです。
「それなのに何処かの強ーい賢者さまが他のFランク冒険者の依頼まで奪ってしまうんです」
やり返すと決めたらしく、エレンが皮肉を言う。
ギルドから注意されてるのもあってか、バツが悪そうか表情をする賢者くん。
ところでさ
「勝手に相席しないでいただけますか」
テーブルについて、受付が空くのをエレンと待ってたら賢者くんが許可なく座ってきてからの、会話スタートなんだよねー。
同じ転生者だからって仲間扱いは止めてくれたまへ。初対面で暴言吐いてきたの、地味に忘れてないからね。
「しょうがないだろ、他に空いてないんだから」
「そうじゃなく、相席の許可を取らないのはマナーが悪いと言っているんです」
「はー? 幼女に興味ないけどー?」
いやだからそうじゃないんだけど、伝わらんな。
エレンが指をパチンと鳴らした。シエが賢者くんの襟首を噛んで持ち上げる。
「わっ! 何すんだ! 横暴だぞ!」
シエはのっしのっしとそのままギルドの外に賢者くんを連れて行って、ぺっと捨てて戻って来た。
「シエは偉いねー、良い子良い子」
「偉い偉い」
エレンと私でシエの頭を撫でまくる。
折よく受付も空いたようで、おねーさんが手招きしてた。
「こんにちはー」
「こんにちは」
「お待たせしました」
掲示板にあった依頼書をゲットしていたのを、おねーさんに渡す。
「こちらですね。では登録します」
リングとブレスレットに依頼内容を登録させる。これ便利。受領後に必要な薬草がいくつだったか記憶が曖昧になった時、確認できるから。
うん、この仕組み作った魔女もしくは賢者よありがとう、大変助かってます。それはそれとして、ゲームとか好きだったでしょ? と言いたい。
「お二人に指名の依頼があるのですが」
指名! 私達に?
こんな駆け出し冒険者に!
不思議に思っていたら、おねーさんがふふっと笑った。
「お二人が採取してくださる薬草は丁寧に処理されていて、薬剤師がとても喜んでいるんです。可能であればお二人に受けていただきたいとのことなんですが、その……報酬は増やせないんです」
報酬の部分について触れる時は申し訳なさそうな様子だった。
「大丈夫です」
「ご指名ありがとうございますとお伝えください」
賢者くんも薬草採取依頼受けていたと思うんだけど、ランクアップを急ぎすぎて雑にやっちゃったのかな? なんというか、不器用な人だなー。関わりたくはないけど応援はしてる。
二件の依頼を受けてギルドを出る。
まずは薬草採取。それからもう一件はトレントモドキの討伐。
トレントは樹木の魔物で根付いた場所から動かないんだけど、トレントモドキは動けるんだって。
根っこがズボッと土から抜けて動く姿を想像する。実際目にしたら脳がバグりそー。
で、トレントは動かないから発見されたらギルドに報告される。結構強い魔物だからランクの低い冒険者が被害に遭わないように情報共有される。枝をムチみたいに周囲にビシビシ当ててくるんだって。こわっ。
それはそれとして、トレントがいるとその周辺の土壌が良くなるらしい。上位ランクの冒険者へトレントを眠らせて土中から掘り起こし、土壌が悪い場所に植え替えてもらうという依頼をすることもあるそうな。なんでトレントの周辺の土壌が良好になるかといえば、トレントの実の匂いに引き寄せられた魔物をトレントがしばいて栄養にするから。うーん、弱肉強食。
ちなみにトレントの実は美味しいらしい。いつか強くなったら食べてみたい。
そんなわけだから人間達からするとトレントは近付きたくはないけど、勝手に魔物しばいてくれるし、土壌改善してくれるから共存したい存在。
対するトレントモドキは弱い。低ランクでも倒せるくらい弱い。トレントと同じように実を付けるし、良い匂いらしいんだけど、美味しくないんだって。しかも周辺の土壌を悪化させるらしくって、嫌われてる。
そりゃそうなる、っていう生態。
トレントモドキを見かけたという報告を受けたギルドから領主に報告が上がって、依頼が貼り出されるらしい。
土壌を悪化させるモドキは、領主からしたら倒しておきたい魔物だよね。
ちなみにトレントとトレントモドキを見分けるには、石を投げつけてその反応を見るという、大変原始的なもの。
本物ならその場で枝をブルンブルン振るけど、偽物なら襲ってくる。弱い癖に好戦的なモドキ。小動物なんかを誘き寄せて捕食してるとかなんとか。
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