転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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双子魔女の旅立ち

羊毛とジンギスカン

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 シルルさんから切実な訴えがありました。
 フェルト作りたいらしいです。天狼の毛があるといえばあるけど、黒毛ばっかりだからなぁ……。
 季節的にはちょうど羊毛の毛刈りシーズンだと思うけど、領都では羊は飼育していないようで、見かけたことがない。ヤギは多い。牛はいるけど乳牛がいないから必然的にヤギミルクになってるわけですね。あ、でもクルックさんのお店で牛のミルクご馳走になったなぁ。なんかツテがあるのかな?

 領都の外に羊、もしくは羊の魔物がいればいいんだけど。ギルドで聞いてみよう。ついでに依頼も見よう。この前は出遅れたのもあって、良さそうな依頼がなかった。例によって例の如く誰かさんが依頼沢山受けてたからなんだけども。今度は負けないぜ。

「あ」

 私の一言に反応してエレンが寄ってきた。

「あった?」
「うん。羊の魔物退治」

 依頼書を持って受付に向かう。すっかり顔馴染みとなったお姉さん達。

「今回は羊の魔物退治になさったんですね」
「はい、ちょっと羊毛が必要になって」
「そうなんですね?」

 我らの生命維持装置ともいえるシルルのお願いだから叶えねばならんのです。

「角はお売りいただけますか?」
「はい、売りに出そうと思ってます」
「ありがとうございます。羊の角は薬の素材となるので大変助かります」

 なるほど。羚羊角れいようかくとかいうの、漢方で見たことあるけど、あんな感じかな。
 依頼を受領して、天狼に乗って城壁の外へ。

 春も終わりだからか少し気温が上がってきてる感じがする。生まれ育った森の中は前世日本の四季に近かったなぁ。領都と森は距離こそさほど離れてないけど、間に険しい山を挟んでるから同じ気候じゃなかったりするかも?

「夏の日差しのことを考えてなかった」
「あぁ、そうだよね」

 森の中は樹々があるから夏でもダイレクトに日差しを受けることがなかったからなぁ。だからといって天狼に乗りながら日傘は物理的に無理だし変だ。本格的な夏を迎える前に対策を考えねばだなぁ。

 依頼書に指定されていた場所に向かうと、羊の魔物が群れていた。おぉー、これまたいっぱいいるなぁ。

「私、ジンギスカン好きなんだよね」
「奇遇ですな、私もです」

 羊毛だけでなく、その身も美味しくいただきます!



 天狼達がバッサバッサと倒してくれるのを、エレンと二人、役割分担しながら作業を進めていく。
 まず毛を刈る。やってみたら楽しかったので、やらせてもらった。その後エレンが捌いて、捌き終えたのを部位ごとに分けていく作業を私が担当。
 刈った羊毛はどんどんマジックバッグへ。捌き終えたお肉もマジックバッグへ。内臓はコツメカワウソスライムとミニブタスライムの出番です。血抜きナイフで捌いてあるから血まみれになることもなく、つるんと口の中に吸い込まれていく。食べられないけどなんとなく美味しそうに見える。食べないけど。

 四十頭はいたであろう羊の魔物の討伐を終えた。さすがに数がいたから夕暮れに差しかかってる。早くギルドへ報告に行かなくちゃ。のっぴきならない事態でも起きなければ、夜になると領都の門は閉じられてしまう。

「急いで帰ろう」
「うん」

 天狼に乗って領都へごー!



 ギルドで四十頭の羊の魔物の討伐報告をし、そのまま角を買い取りに出す。買い取り報酬は次回受け取ることにして馬車に戻った。
 シルルが期待に満ちた目を向けていたので、私とエレンはサムズアップした。

「羊毛も羊肉も大量にゲットしたよ!」
「ジンギスカン食べたいです!」

 シルルが首をひねる。
 あー、ジンギスカンを知らないのか。そうか、そうだよね。ジンギスカンは前世の、というか日本ではそう呼ばれているけど、正式な料理名はなんなんだろう?
 前世料理上手だったエレンがジンギスカンのことを詳細にシルルに伝授しているのを、横目に見ながらおやつを食べる怠惰な私。
 タレに漬けておいたのを焼いて食べるくらいしか分からん。好きだったお店のジンギスカンは、タレにりんごが入ってたなぁ。
 頑張ってシルル!
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