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双子魔女の旅立ち
境界線
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案の定ファゴットにはまだ地図が完成していないと不平を言われたけど、もう二度とここに戻って来ないわけじゃないよと言ったら大丈夫だった。本当に地図好きなんだなぁ。
シルルは同行(?)する兵士の分の食事を準備するとあって張り切り始めた。
二階の居間にゴロンとしてみる。天狼の毛の中に手を入れてもふもふするのが日課です。エレンもやってる。依存性があります。
「魔物暴走だけが原因なのかな」
「私もそれ思った。魔物暴走で大変だったとして、各地の村が襲われて軒並みゴブリンやオークの巣になるのはちょっと変」
「だよねー」
これはアレかな、王家による嫌がらせなんじゃないかな。たとえば他領で増えたゴブリン達を討伐ではなく、フュリンガーに追い出したりとか。スタンピードで増えるのはゴブリン達だけじゃないんだから。
「そうなってくると、王家に文句言いたい」
「もしそうなら言いたいね。会えないけど」
うちの母に危害を加えるつもりだったのかと嫌味の一つも言いたい。いくらフュリンガーの領主様と仲が悪かったとしても、被害に遭うのは民草なんだよね。
「クルックさんは領主を褒めてたけど、会ったこともないから私達には分からないけど」
冷静にエレンが言う。
そうだなぁ。領都民にとっては良い領主でも、他領や王家とどういった関係性なのかとか分からんもんね。
「そうだねぇ。でもさ、それは上のほうでやり合う分にはいいんだけど、民草に被害がいくのは駄目だよねー」
「それはそう」
殲滅する魔物の巣窟はなんと六つ!
その全てを片付けてから領都に戻るから、ひと月は軽くかかると見てる。
地図で場所を確認すると、エレンと話していたように、他領から追い出された説が濃厚になってきた。依頼された六箇所の村は隣の領 ニルアインワに近い場所ばかりだから。
「これ、殲滅が終わったら城壁作ったほうが良くない?」
「そうだね」
また同じことやってくる可能性あるよね。
「ただ村の復興を優先するだろうから、城壁の作成に手をつける前にまた嫌がらせをされる可能性が高いね」
エレンの言葉に頷く。
イタチごっこになっちゃったら村人達にとっては気が休まらないだろうなぁ。
立ち上がり無限収納本棚に入れさせてもらってる本を取り出す。私も何冊かは本を持っているのですよ。
「村を領都みたいに囲うのと、領の境界線に城壁を作るのとどっちがいいのかな」
うーん、と軽く唸った後、「ここの領地は平野部では麦と豆が多く作られてるから、村を城壁で囲うとなるとフュリンガーと同じようにしないといけないかも」と教えてくれた。さすが旅行記好き。特産品まで知ってるとはさすがだ。
「それに特定の村だけ囲うと、他の村から不満が出るかもしれない」
「あー、そっかぁ」
つまり、城壁を領の境界線に作ろうが村を囲おうが、領主がやれば角が立つということか。一冒険者が作ったなら問題にならないかな? って作れるかもまだ分からないんだけど。
魔法全書の表紙をめくる。目次から目当ての魔法を探していく。
土魔法で頑強な土壁とか岩壁を作れるといいんだけど、魔法は目的を果たした後は効果を失うんだよね。土魔法で土を掘り起こして防御壁を作ったりすることは可能。だけど防御後はただの土に戻るから攻撃されれば簡単に崩れてしまう。それに術者の私達が離れてしまったら防御壁として機能すらしなくなる。
魔女馬車の防御壁は魔導石の魔力を用いてるから私達がそばにいなくても作動する。これを応用するならまず領を守る防御壁を境界線に作る。魔導石に魔力を注ぎに行くのもこれだけ大きな領地だと難しいから、フュリンガーにつなげて、魔力を注げばいいようにする。ただ、魔導石を用意したところで膨大な魔力が必要となるし、領主が用意できないならこの案は使えない。それにずっと壁が走るのも変だし。あー、壁にしないで道にしてしまえばいいのかな。それだと舗装されたようになって移動しやすくなるかも。
うーん、どうしても魔力ありきの発想になっちゃう。難しいな。
「なかなか良い案が浮かばない」
「それはそうだよ」
「でもこれ、解決しないとフュリンガーが大変な思いをする」
「まぁねー。でも、すぐに壊されてしまうとしても、一回でも作れたらいいのかもよ?」
どういうこと?
「全く障害となるものが何もない状態と、多少なりとも障害となるものがあるのは違うと思うし、余裕ができたらその壊れた箇所を補修すればいいんだし」
エレンの言葉に納得する。
確かに、何もないよりはいいのかも?
「根本的な解決は上の人達の考えることで、私達の仕事じゃないし、時間稼ぎができるだけでも御の字だと思う」
なるほど。それもそうか。
「フュリンガー領と他領の境界線に防御壁を作って、その防御壁から領都へは道路としてつないで、領都に魔導石を設置する」
「折良く魔力が豊富な賢者くんがいるから、依頼して魔力を注いでもらえば時間稼ぎできるよ、きっと」
おぉー!
もしそれが可能なら三方よし!
魔導石は今から魔女通販で頼んでおけばいいかな。
クルックさんのお店や魔道具関連のお店でも魔導石は売ってる。魔道具が一般に普及してるから、魔力をためておく魔導石には大小さまざまなものがあるけど、さすがに今回のは特注サイズ。特注な分値は張るだろうけど、日用品だから高いといってもそれほどでもない。この馬車の魔導石も特注だけど大したことないし。ただ十年に一度は買い替えが必要かな。
運用していくか放置するかは領主に判断を任せて、私達はやりたいようにやるのだぜ。
シルルは同行(?)する兵士の分の食事を準備するとあって張り切り始めた。
二階の居間にゴロンとしてみる。天狼の毛の中に手を入れてもふもふするのが日課です。エレンもやってる。依存性があります。
「魔物暴走だけが原因なのかな」
「私もそれ思った。魔物暴走で大変だったとして、各地の村が襲われて軒並みゴブリンやオークの巣になるのはちょっと変」
「だよねー」
これはアレかな、王家による嫌がらせなんじゃないかな。たとえば他領で増えたゴブリン達を討伐ではなく、フュリンガーに追い出したりとか。スタンピードで増えるのはゴブリン達だけじゃないんだから。
「そうなってくると、王家に文句言いたい」
「もしそうなら言いたいね。会えないけど」
うちの母に危害を加えるつもりだったのかと嫌味の一つも言いたい。いくらフュリンガーの領主様と仲が悪かったとしても、被害に遭うのは民草なんだよね。
「クルックさんは領主を褒めてたけど、会ったこともないから私達には分からないけど」
冷静にエレンが言う。
そうだなぁ。領都民にとっては良い領主でも、他領や王家とどういった関係性なのかとか分からんもんね。
「そうだねぇ。でもさ、それは上のほうでやり合う分にはいいんだけど、民草に被害がいくのは駄目だよねー」
「それはそう」
殲滅する魔物の巣窟はなんと六つ!
その全てを片付けてから領都に戻るから、ひと月は軽くかかると見てる。
地図で場所を確認すると、エレンと話していたように、他領から追い出された説が濃厚になってきた。依頼された六箇所の村は隣の領 ニルアインワに近い場所ばかりだから。
「これ、殲滅が終わったら城壁作ったほうが良くない?」
「そうだね」
また同じことやってくる可能性あるよね。
「ただ村の復興を優先するだろうから、城壁の作成に手をつける前にまた嫌がらせをされる可能性が高いね」
エレンの言葉に頷く。
イタチごっこになっちゃったら村人達にとっては気が休まらないだろうなぁ。
立ち上がり無限収納本棚に入れさせてもらってる本を取り出す。私も何冊かは本を持っているのですよ。
「村を領都みたいに囲うのと、領の境界線に城壁を作るのとどっちがいいのかな」
うーん、と軽く唸った後、「ここの領地は平野部では麦と豆が多く作られてるから、村を城壁で囲うとなるとフュリンガーと同じようにしないといけないかも」と教えてくれた。さすが旅行記好き。特産品まで知ってるとはさすがだ。
「それに特定の村だけ囲うと、他の村から不満が出るかもしれない」
「あー、そっかぁ」
つまり、城壁を領の境界線に作ろうが村を囲おうが、領主がやれば角が立つということか。一冒険者が作ったなら問題にならないかな? って作れるかもまだ分からないんだけど。
魔法全書の表紙をめくる。目次から目当ての魔法を探していく。
土魔法で頑強な土壁とか岩壁を作れるといいんだけど、魔法は目的を果たした後は効果を失うんだよね。土魔法で土を掘り起こして防御壁を作ったりすることは可能。だけど防御後はただの土に戻るから攻撃されれば簡単に崩れてしまう。それに術者の私達が離れてしまったら防御壁として機能すらしなくなる。
魔女馬車の防御壁は魔導石の魔力を用いてるから私達がそばにいなくても作動する。これを応用するならまず領を守る防御壁を境界線に作る。魔導石に魔力を注ぎに行くのもこれだけ大きな領地だと難しいから、フュリンガーにつなげて、魔力を注げばいいようにする。ただ、魔導石を用意したところで膨大な魔力が必要となるし、領主が用意できないならこの案は使えない。それにずっと壁が走るのも変だし。あー、壁にしないで道にしてしまえばいいのかな。それだと舗装されたようになって移動しやすくなるかも。
うーん、どうしても魔力ありきの発想になっちゃう。難しいな。
「なかなか良い案が浮かばない」
「それはそうだよ」
「でもこれ、解決しないとフュリンガーが大変な思いをする」
「まぁねー。でも、すぐに壊されてしまうとしても、一回でも作れたらいいのかもよ?」
どういうこと?
「全く障害となるものが何もない状態と、多少なりとも障害となるものがあるのは違うと思うし、余裕ができたらその壊れた箇所を補修すればいいんだし」
エレンの言葉に納得する。
確かに、何もないよりはいいのかも?
「根本的な解決は上の人達の考えることで、私達の仕事じゃないし、時間稼ぎができるだけでも御の字だと思う」
なるほど。それもそうか。
「フュリンガー領と他領の境界線に防御壁を作って、その防御壁から領都へは道路としてつないで、領都に魔導石を設置する」
「折良く魔力が豊富な賢者くんがいるから、依頼して魔力を注いでもらえば時間稼ぎできるよ、きっと」
おぉー!
もしそれが可能なら三方よし!
魔導石は今から魔女通販で頼んでおけばいいかな。
クルックさんのお店や魔道具関連のお店でも魔導石は売ってる。魔道具が一般に普及してるから、魔力をためておく魔導石には大小さまざまなものがあるけど、さすがに今回のは特注サイズ。特注な分値は張るだろうけど、日用品だから高いといってもそれほどでもない。この馬車の魔導石も特注だけど大したことないし。ただ十年に一度は買い替えが必要かな。
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