転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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貿易都市って凄い!

水上都市にお邪魔しまーす

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 窓からコヴァルシャの領都が見えた。フュリンガーと違って防壁に囲まれておらず、その代わりに水路に囲われていた。その水路の幅があまりにも太いものだから、スモール版モンサンミッシェルみたい。
 一番高い所が領主の館なんだろうなー。うーん、早くカメラ欲しいな。コヴァルシャで依頼頑張るぞ!

 領都に入るための列に並ぶ。前回と同じく馬車で。ズルしてごめんね。
 前回同様、なんだこの巨大かぼちゃとか言われてる。かぼちゃの馬車可愛いと思うんだけどなー。シンデレラはこっちの世界に広まってないのかな。魔女や賢者で作家デビューした人とかいそうだけど。識字率の問題とか?
 御者台のファゴットから、あと五人程だと教えられたので、ローブを羽織り、馬車を降りる。
 本来は自動車サイズの天狼だと大きすぎるので、狼よりは大きめぐらいになってもらって、跨る。
 四匹の天狼と幼女。なんともファンタジーな組み合わせ!

「次の者、前へ」

 兵士さん達に身分証明書であるギルドリングを見せる。リングを魔道具に翳すと私の冒険者ギルドでの功績とか、登録時の情報が見れるらしい。そういえば、秘匿したい情報があれば冒険者ギルドで設定できるとフュリンガーで登録した時に言われたなぁ。
 私とエレンの情報を確認した兵士さんが「よし、入都を許可する」と言った。会釈してから領都に入るための大きな跳ね橋を渡る。
 ここではお母さんの名前は言われなかったな。あれはフュリンガー限定なのかも? お母さんの威光を当てにする気はないので別に構わないけど。

 天狼に跨ってると大人の男性くらいの目線になるので、色々と見渡せる。八歳児の目線だとほとんどを見上げるようなので、天狼様々ですよー。
 セキュリティ的にも効果抜群。人攫いといえど天狼四匹に突っ込んでくる命知らずはいないだろうし、窃盗被害にも遭いにくい。

 それにしてもなんて鮮やかな街なんだろう。跳ね橋を渡ってすぐに目に飛び込んできたのは、赤く塗られた建物達。遠くに目をやると青く塗られた建物が並んでいた。区画ごとに建物の色を変えているのかな。

「ベネツィアだと島ごとに区画整理みたいなのをしてたみたいだけど、ここもそうなのかもね」

 なるほどー。
 色と区画が紐付けば迷子にならなさそう。

「看板があるよ、見てみよう」

 エレンが指差した先を見ると、看板らしきものがあった。
 近付いてみると看板には領都の区画が色分けされて記されていた。
 赤い区画は冒険者ギルドや武器防具を扱う店、食料品店、道具屋なんかがあるようだった。橋を渡った先に冒険者用のキャンプエリアがあるみたいなので、まずそこに向かおう。
 良い場所が空いてるといいなー。キャンプエリアには共用のトイレ、煮炊きができる水場がある。その周辺は人気なので空いてないと思う。魔女馬車がある私達が使うことはないので、ものすごい奥地じゃなければいいくらいのものだけど。

 橋を渡ってキャンプエリアに到着。さすが貿易都市。ここを拠点にしてる冒険者は多いんだろう。かなりの数の天幕が設営されてる。フュリンガーよりも規模は大きいかもしれない。それから緑以外の天幕もあって、テンション上がった。
 あるじゃない、緑以外の天幕! 良かったー!
 あとでエレンに何色がいいか相談せねば。

 程よい場所が空いていたから、そこに魔女馬車キャンピングカーを召喚する。周りの冒険者達の驚く声がしたけど、そこは気付かないふり。
 扉を開いて中に入るとシルルが待っていた。ローブを脱いで渡すと、後から入ってきた天狼達の足をシルルがキレイに拭いていく。土足厳禁ですからね。
 フェルトのルームシューズを履いて、短時間の外出(?)ではあるものの手洗いとうがいを済ませる。

 ファゴットが視界の端でそわそわしてるので、むくつけき男にし、防御魔法をかけておく。キトラにお供をお願いしようとしたら嫌がられた。他の天狼達も嫌がったので、むくつけきファゴットが単体でお出かけ。一体何をしてこんなに嫌がられてるんだろう…。
 一時間だけという制限つきでも楽しそうにお出かけする。約束を守ることは自分を守ることだと分かっているから、無茶はしないんだよね。

 ホットのヤギミルクを飲みながら、天幕について話す。

「エレンはさ、天幕何色がいい? 私は青がいいなぁって思ってるんだけど」
「私も青がいい」

 即決。青に決まりました。
 キャンプエリアで青の天幕を見たので、存在は確認した! あとはここで売ってるかどうかだね。

「明日ギルドに行きつつ、天幕を見に行こう」
「そうしよう」

 シルルの視線に気付く。

「勿論、食材も見てくるからね」

 そう言うとシルルが笑顔になった。
 フュリンガーで食料を買ったけど、日々消費しますからね。
 貿易都市だし、見たことない食材があるのではと期待する私達なのだった。
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