転生魔女は悠々自適に世界を旅する

黛 ちまた

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貿易都市って凄い!

準備したつもりでも足りないものです

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 魔女馬車キャンピングカーで移動してるわけだけど、ファゴットの趣味のため、夜は停泊することにした。
 とは言っても天狼達はファゴットの趣味に付き合うのが面倒になったみたいで、私達と一緒に寝てしまう。
 なので、ファゴットには防御魔法だけかけてる。私とエレンの二人がかりでかけると変身魔法と違って一晩くらい効力が保つ。
 ファゴット自身は街中でもないから青い炎のままで問題ないみたいだし、ここが今の落とし所。
 いずれはもっとファゴットのために色々用意してあげたい。自由に変身できる魔道具とか、夜間にちょっとだけ遠くまで行けるようにとか、そういったあたり。
 やっと人間に見つかっても大丈夫になったんだから、やりたいことやらせてあげたい。



 朝、起きて階下に下りるとファゴットが薪ストーブに薪を足していた。薪ストーブの上にのったケトルからしゅんしゅんと音をさせて湯気がのぼって、なんとも癒される。
 薪ストーブの上は平らだから、鍋ややかんだけじゃなく、じっくり焼く料理なんかも可能なんだよね。ただずっと良い匂いがしてお預けをくらうので、おなかが切なく鳴るけど。

「おはよう」
「おはよう」
〈おはよう、よく寝れたか?〉
「眠れたよー」

 顔を洗ったりしているうちに、シルルが朝食をテーブルに用意してくれる。寝てる時から焼きたてパンの香ばしい香りがしてたんだよね。これ本当に旅かな。
 ふかふかのベッドでもふもふの愛狼達と眠り、焼きたてのパンの香りで目覚める。なんという幸せ。

「いただきまーす」
「いただきます」

 パンを天狼達にあげつつ、スープを口にする。馬車の中は暖かいけど、日増しに冬に近づいているのを感じる。
 スープや煮込み料理といった温かいものがいつも以上に美味しく感じられるんだよね。冬の寒さはスパイスだと思う。
 コツメカワウソとミニブタのスライム達は、朝食作成で余った野菜なんかを食べてる。コツメカワウソが両手で野菜を掴んで食べてる姿は可愛い。ミニブタにはシルルが食べさせてあげてて、これもまた可愛い。

〈残念なことに今日、目的地に到着する〉

 残念て……。

〈ここの領なら雪もそんなに降らないだろうが、雪が降ったら依頼も近場になるだろう?〉

 なるほど、雪が降ったらさすがの魔女馬車も走れないだろうと心配してるのか。

「さすがにどか雪が降るエリアでもないだろうから、雪が降っても走れるとは思うよ」
〈本当か!?〉
「たぶん」

 フュリンガーで一年の2/3を過ごし、旅に出てから初めての冬。
 コヴァルシャもウィシュカ辺りも雨は降っても雪にはならないんじゃないかな。コヴァルシャ領の北部にある山のあたりは雪が降る、というかその山が障害物になるから南部にあたるウィシュカでは雪が降らない。
 たぶん山のほうは結構な積雪量だと思う。そうじゃないとウィシュカの水量の説明がつかないし。
 冒険者ギルドに貼られてた領の地図で見た山は、山脈だった。あの山々から流れ出る水量はかなりのものだと思う。

「豪雪でも馬車そのものは耐えられると思う。魔導石の消費は激しいだろうから、毎日供給することになるとは思うけど。ただ、積もった雪をかき分けながら進めるかどうかは不明」

 まずそんな所に行くことを考えてなかった。
 色々考えて準備して旅立ったつもりだけど、やっぱり足りないものだなぁ。
 豪雪の中にぽつねんとなってしまったら、馬車から出て魔法で雪を溶かしていくしかないかなー。
 どか雪ほどではない、ほどほどの雪でも馬車がどれだけ機能するのか、確認したほうがいいかも。
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