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第二章
渇して井を穿つ
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俺たち2人は学校からそう遠くない映画館に移動して映画を観た後、すぐ近くのショッピングモールをふらつく。
学校から近いだけあって、同じ高校の生徒と出会うことが多い。
サッカー部の奴ら、女子と会話するだけで勝ち組だなんだと囃し立てるから、見つかるのは極力避けたいところだ。
「ねね、次あそこ入ろうよ」
「……いつにも増して楽しそうだけど、そんなに俺に勝ったのが嬉しかったのか」
「うーん、たしかに勝ったのは嬉しかったけど、それとこれとは話が別かな。 私さ、七海ともこういうことしたことないんだよね。 部活は基本的にバンドごとで自由だけど、練習ばっかりしてて結局あんまり休みとってなくて」
「……あぁ」
綾瀬のギターの技術はセンスも多少は関係しているだろうけど、一番はやっぱり努力だ。
勉強会のときも見ていて思ったが、彼女は苦手なことでも好き嫌いせずに努力できるタイプだ。
実際、数学が苦手だと言っていた彼女のテストの点数はかなり上がっていた。
人間、嫌なことだったりやっていて辛いことは無意識下で手を抜いてしまうのが普通だ。
しかし、その普通の型から外れた人間ももちろんいる。
彼女はその中の1人なのだろう。
ウィンドウショッピングをある程度楽しむ、とは言っても、俺はそれほどファッションに興味はないから、綾瀬の付き添いみたいにはなるけど色々な店を一緒に回る。
隣にいる彼女は純粋にウィンドウショッピングを楽しんでいるみたいだった。
女の人は、学生や大人も含めて大体ファッションに力を入れたり、買いもしない服を見たり…………男の中でもファッションが好きな人は似たような行動をする人もいるだろうけど、少なくとも俺からしたら何が楽しいのだろうか分からないような行動をする。
……淡白だとか言われる理由の1つはそういうところなんだろうか?
「どうしたの、そんな考え事して」
どうやら考え事をすると顔に出るのが癖になってしまっているのか、少し心配した顔を向けてくる。
人に言うことじゃないから何でもないと言うつもりだったが、ふと思ったことが口から出た。
「ただ付き添ってるだけでもいいのか?」
「ん? ……えっ」
俺が何となく口にしたことに対して彼女は口を覆い、顔を赤くして視線をずらす。
……俺何か変なこと言ったか…………?
「それってどういう……?」
「ああ、いや、言うこと聞くとは言ったけど、要求がやけに軽い気がしてさ。 別に求めてないならいいけど、付き添うくらいなら空いてる日にでも誘ってくれれば俺はいつでも行くし、何かあるなら言ってもらって構わない……けど…………」
もう少し細かく説明を入れると、彼女の顔が余計に赤くなっていくのがわかる。
ただ、さっきは目を逸らしていたのに、今度は若干睨むような鋭い眼差しで俺のことを正面から捉えている。
……あれか?
この話をすること自体が間違いなのか?
「はぁ、なんか損した気分」
落ち着いたかと思えば、今度はぷいっと反対を向いてさっさと歩き始めてしまった。
感情の変化が激しすぎてついていけない。
怒らせてしまったのか?
「……なんかごめん」
「……はぁぁ」
もう一度俺の方に振り向くと、またさっきとは違って呆れたような顔をされた。
だめだ、確実に話が噛み合ってない。
「まぁいいや。 ちなみに、私の要求なんだと思う?」
「え? ここで遊ぶこと、とかだろ?」
「うーん、その答えだと半分正解、ってところかな」
「半分正解?」
「私、藤崎になんて言って連れてきた?」
「一緒に遊びに行くって」
「その後。 何て言い換えてた?」
「……で、デート?」
「うん。 デートってどこまでがデートだと思う?」
「……わかんないけど、一緒にいる間はデートになるんじゃないか?」
「一緒にいる間はデート、かぁ……」
少し考える仕草を見せた後、ふっと笑顔を見せる。
……忙しいな。
「もう1つ、ここの近くに行きたいところあるんだよね、付き合ってくれる?」
「ん、いいけど」
「ありがと」
どこに行くかも全く気にせず、彼女に歩を合わせていくと、ようやく目的地が近づいてきたらしく、ある建物の前で歩みを止めた。
ようやく察しがついた。
「待って」
「待たない」
バッサリ切り捨てられる。
狙ってたかは知らないけど完全にしてやられた。
「『一緒にいる間はデートになるんじゃないか?』」
「絶望的に似てない」
「そんなことはいいの。 入ろ」
「……拒否権は?」
「ないよ?」
万事休す。
「わかった。 付き合うよ」
「うん、ありがと」
諦めた俺は仕方なく誘いに応じた。
学校から近いだけあって、同じ高校の生徒と出会うことが多い。
サッカー部の奴ら、女子と会話するだけで勝ち組だなんだと囃し立てるから、見つかるのは極力避けたいところだ。
「ねね、次あそこ入ろうよ」
「……いつにも増して楽しそうだけど、そんなに俺に勝ったのが嬉しかったのか」
「うーん、たしかに勝ったのは嬉しかったけど、それとこれとは話が別かな。 私さ、七海ともこういうことしたことないんだよね。 部活は基本的にバンドごとで自由だけど、練習ばっかりしてて結局あんまり休みとってなくて」
「……あぁ」
綾瀬のギターの技術はセンスも多少は関係しているだろうけど、一番はやっぱり努力だ。
勉強会のときも見ていて思ったが、彼女は苦手なことでも好き嫌いせずに努力できるタイプだ。
実際、数学が苦手だと言っていた彼女のテストの点数はかなり上がっていた。
人間、嫌なことだったりやっていて辛いことは無意識下で手を抜いてしまうのが普通だ。
しかし、その普通の型から外れた人間ももちろんいる。
彼女はその中の1人なのだろう。
ウィンドウショッピングをある程度楽しむ、とは言っても、俺はそれほどファッションに興味はないから、綾瀬の付き添いみたいにはなるけど色々な店を一緒に回る。
隣にいる彼女は純粋にウィンドウショッピングを楽しんでいるみたいだった。
女の人は、学生や大人も含めて大体ファッションに力を入れたり、買いもしない服を見たり…………男の中でもファッションが好きな人は似たような行動をする人もいるだろうけど、少なくとも俺からしたら何が楽しいのだろうか分からないような行動をする。
……淡白だとか言われる理由の1つはそういうところなんだろうか?
「どうしたの、そんな考え事して」
どうやら考え事をすると顔に出るのが癖になってしまっているのか、少し心配した顔を向けてくる。
人に言うことじゃないから何でもないと言うつもりだったが、ふと思ったことが口から出た。
「ただ付き添ってるだけでもいいのか?」
「ん? ……えっ」
俺が何となく口にしたことに対して彼女は口を覆い、顔を赤くして視線をずらす。
……俺何か変なこと言ったか…………?
「それってどういう……?」
「ああ、いや、言うこと聞くとは言ったけど、要求がやけに軽い気がしてさ。 別に求めてないならいいけど、付き添うくらいなら空いてる日にでも誘ってくれれば俺はいつでも行くし、何かあるなら言ってもらって構わない……けど…………」
もう少し細かく説明を入れると、彼女の顔が余計に赤くなっていくのがわかる。
ただ、さっきは目を逸らしていたのに、今度は若干睨むような鋭い眼差しで俺のことを正面から捉えている。
……あれか?
この話をすること自体が間違いなのか?
「はぁ、なんか損した気分」
落ち着いたかと思えば、今度はぷいっと反対を向いてさっさと歩き始めてしまった。
感情の変化が激しすぎてついていけない。
怒らせてしまったのか?
「……なんかごめん」
「……はぁぁ」
もう一度俺の方に振り向くと、またさっきとは違って呆れたような顔をされた。
だめだ、確実に話が噛み合ってない。
「まぁいいや。 ちなみに、私の要求なんだと思う?」
「え? ここで遊ぶこと、とかだろ?」
「うーん、その答えだと半分正解、ってところかな」
「半分正解?」
「私、藤崎になんて言って連れてきた?」
「一緒に遊びに行くって」
「その後。 何て言い換えてた?」
「……で、デート?」
「うん。 デートってどこまでがデートだと思う?」
「……わかんないけど、一緒にいる間はデートになるんじゃないか?」
「一緒にいる間はデート、かぁ……」
少し考える仕草を見せた後、ふっと笑顔を見せる。
……忙しいな。
「もう1つ、ここの近くに行きたいところあるんだよね、付き合ってくれる?」
「ん、いいけど」
「ありがと」
どこに行くかも全く気にせず、彼女に歩を合わせていくと、ようやく目的地が近づいてきたらしく、ある建物の前で歩みを止めた。
ようやく察しがついた。
「待って」
「待たない」
バッサリ切り捨てられる。
狙ってたかは知らないけど完全にしてやられた。
「『一緒にいる間はデートになるんじゃないか?』」
「絶望的に似てない」
「そんなことはいいの。 入ろ」
「……拒否権は?」
「ないよ?」
万事休す。
「わかった。 付き合うよ」
「うん、ありがと」
諦めた俺は仕方なく誘いに応じた。
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