8 / 42
第一章 曼珠沙華
7話 「いざ、参りましょう!」
しおりを挟む
「ちょっとひまわり!ミツバチの兵隊さんにあの言い方はないんじゃないの⁉︎」
坂下門が見えなくなってすぐのこと、ビオラが背伸びをし、左手を腰に当て、右手を伸ばしひまわりに向け指を差す。
先ほどのひまわりの発言に怒っているのだ。
「あれは流石にアタシも反省してるよ~」
ひまわりもかなり反省しているようで、両手を合わせて顔の前に持っていき、片目を閉じ「ごめんね~」という。
それでも怒りが収まらないのか、小言を並べるビオラとそれに対し謝り続けるひまわり。それを見かねた桜が2人の仲裁に入る。
「まぁまぁ、ひまわりさんも反省してるみたいだし、今回の件はそれぐらいでいいんじゃないですか?」
桜が後ろからビオラの頭をポンポンと撫でながら言う。
「桜お姉ちゃんがそこまで言うなら・・・。でも次はないからね!」
桜に頭を撫でられ、満更でもない様子で口元を膨らませながらビオラは言う。
「ほんとごめんよ~」
ひまわりが頭を下げながら答える。
ヒガンバナが話題を変えるためか、右手の人差し指を顎に当て上を見ながら唐突に話し始めた。
「そういえばベゴニア様の言ってたクロカタゾウムシってどんなヒトなんだろう?」
「名前からして黒くて硬いヒトでしょ。どうせ全身真っ黒で、こーんなにデカくてゴツい奴だわきっと!」
ビオラが両手を広げて大きさをアピールする。ただ、身長のせいかあまり大きいイメージが湧かないなと思った3人であったが、それを言うとビオラが顔を真っ赤にして怒るので、誰一人口にするものはいなかった。
「そんな名前の通りな見た目してるかなー?」
ヒガンバナが真面目に答えようとするかが、ビオラの仕草を見て我慢出来ず、笑いを堪えるように言ってしまった。その様子をみて一瞬ムッとし、目を細めてヒガンバナを睨むビオラだったが、当たりが強いのはひまわりにだけなのでそれ以上追求することはなかった。
4人が歩く街並みには人工的に造られた建物は残っているものの、半分以上崩壊しており、ツタがはってあったり木々が生い茂っている。
神が人類を消して長い時間が経っているが、未だに人類が残した遺産ともいえる建物は未だ顕在だった。
ある種美しさも感じる街並みを見ながら、ヒガンバナが再度話し始める。
「それにしても過去の人達が作った建物ってすごいよね。どれだけ時間が経ったのかは分からないけどまだ残ってるもの」
「それでも神サマに消されちゃうくらいだからよくないことして作ったんじゃないの?私はあんまり好きじゃないわ」
ヒガンバナの言葉に反応したビオラが否定的に答える。
「うーん、アタシはそこまで悪いことしてる人ばっかりじゃなかったと思うけど・・・」
両手を頭の後ろで組んで歩くひまわりがぼそりと呟く。
「ひまわりって絶対、過去の人達の悪口言わないわよね?何でそんなに過去の人達の肩を持つの?」
先ほどのようにつっかかるような言い方ではなく、純粋に疑問に思ったビオラが質問をする。
「えぇっと・・・、まぁそんなこといいじゃん!それより、これからヤマノテ結界の外側に出るから昆虫騎士団の連中に注意しなきゃね!」
あまり聞かれたくない内容だったのか、ひまわりが左手の人差し指で頬を掻きながら話題を逸らす。
その様子に気づいたビオラはそれ以上追求することなくひまわりの話題に乗る。
「確かに今回クロカタゾウムシが連れてきたヤツ以外にも残党が残ってるかもしれないから気を引き締めないと!」
ビオラが自身の頬を両手でパチンと叩き、気合を入れる。
ラフレシアと昆虫騎士団の多くがキョウトを本拠地として移動した後も、トウキョウには少なからず昆虫騎士団が残っていた。
その者達からの侵略を防ぐべく、ベゴニアは自身が所持していた八尺瓊勾玉を使い結界を張った。その際、領域を分けるために利用されたのが旧山手線の線路だ。
これによりアゲハやミツバチなど、ベゴニアに忠誠を誓った者達以外の昆虫騎士団は結界の中に入れなくなった。
結界を作る際、ヒガンバナ達もベゴニアの護衛としてついて行っていたが、その時のある出来事がきっかけでヒガンバナ達はトウキョウから出ることを禁止されていたのだった。
4人は浅草寺から1番近い結界の出入り口である旧上野駅まで到着した。
「さて皆さん。いよいよ結界の外に出ますよ。大丈夫だと思いますが、今一度気を張り直してください。」
桜が左腰の刀に手をかけながら3人に話す。
3人が同時に頷く。
ひまわりは右手の拳を固める。
ヒガンバナはひまわりとは対照的に両手を開きリラックスしたように肩の力を抜く。
ビオラは右腰の拳銃を抜き右半身に構える。
それぞれが臨戦態勢に入ったのを確認した桜は、自身を含め全員を鼓舞するように口を開いた。
「皆さん準備は出来たみたいですね。いざ、参りましょう!」
桜の掛け声と共に結界の外に足を踏み出した4人であった。
坂下門が見えなくなってすぐのこと、ビオラが背伸びをし、左手を腰に当て、右手を伸ばしひまわりに向け指を差す。
先ほどのひまわりの発言に怒っているのだ。
「あれは流石にアタシも反省してるよ~」
ひまわりもかなり反省しているようで、両手を合わせて顔の前に持っていき、片目を閉じ「ごめんね~」という。
それでも怒りが収まらないのか、小言を並べるビオラとそれに対し謝り続けるひまわり。それを見かねた桜が2人の仲裁に入る。
「まぁまぁ、ひまわりさんも反省してるみたいだし、今回の件はそれぐらいでいいんじゃないですか?」
桜が後ろからビオラの頭をポンポンと撫でながら言う。
「桜お姉ちゃんがそこまで言うなら・・・。でも次はないからね!」
桜に頭を撫でられ、満更でもない様子で口元を膨らませながらビオラは言う。
「ほんとごめんよ~」
ひまわりが頭を下げながら答える。
ヒガンバナが話題を変えるためか、右手の人差し指を顎に当て上を見ながら唐突に話し始めた。
「そういえばベゴニア様の言ってたクロカタゾウムシってどんなヒトなんだろう?」
「名前からして黒くて硬いヒトでしょ。どうせ全身真っ黒で、こーんなにデカくてゴツい奴だわきっと!」
ビオラが両手を広げて大きさをアピールする。ただ、身長のせいかあまり大きいイメージが湧かないなと思った3人であったが、それを言うとビオラが顔を真っ赤にして怒るので、誰一人口にするものはいなかった。
「そんな名前の通りな見た目してるかなー?」
ヒガンバナが真面目に答えようとするかが、ビオラの仕草を見て我慢出来ず、笑いを堪えるように言ってしまった。その様子をみて一瞬ムッとし、目を細めてヒガンバナを睨むビオラだったが、当たりが強いのはひまわりにだけなのでそれ以上追求することはなかった。
4人が歩く街並みには人工的に造られた建物は残っているものの、半分以上崩壊しており、ツタがはってあったり木々が生い茂っている。
神が人類を消して長い時間が経っているが、未だに人類が残した遺産ともいえる建物は未だ顕在だった。
ある種美しさも感じる街並みを見ながら、ヒガンバナが再度話し始める。
「それにしても過去の人達が作った建物ってすごいよね。どれだけ時間が経ったのかは分からないけどまだ残ってるもの」
「それでも神サマに消されちゃうくらいだからよくないことして作ったんじゃないの?私はあんまり好きじゃないわ」
ヒガンバナの言葉に反応したビオラが否定的に答える。
「うーん、アタシはそこまで悪いことしてる人ばっかりじゃなかったと思うけど・・・」
両手を頭の後ろで組んで歩くひまわりがぼそりと呟く。
「ひまわりって絶対、過去の人達の悪口言わないわよね?何でそんなに過去の人達の肩を持つの?」
先ほどのようにつっかかるような言い方ではなく、純粋に疑問に思ったビオラが質問をする。
「えぇっと・・・、まぁそんなこといいじゃん!それより、これからヤマノテ結界の外側に出るから昆虫騎士団の連中に注意しなきゃね!」
あまり聞かれたくない内容だったのか、ひまわりが左手の人差し指で頬を掻きながら話題を逸らす。
その様子に気づいたビオラはそれ以上追求することなくひまわりの話題に乗る。
「確かに今回クロカタゾウムシが連れてきたヤツ以外にも残党が残ってるかもしれないから気を引き締めないと!」
ビオラが自身の頬を両手でパチンと叩き、気合を入れる。
ラフレシアと昆虫騎士団の多くがキョウトを本拠地として移動した後も、トウキョウには少なからず昆虫騎士団が残っていた。
その者達からの侵略を防ぐべく、ベゴニアは自身が所持していた八尺瓊勾玉を使い結界を張った。その際、領域を分けるために利用されたのが旧山手線の線路だ。
これによりアゲハやミツバチなど、ベゴニアに忠誠を誓った者達以外の昆虫騎士団は結界の中に入れなくなった。
結界を作る際、ヒガンバナ達もベゴニアの護衛としてついて行っていたが、その時のある出来事がきっかけでヒガンバナ達はトウキョウから出ることを禁止されていたのだった。
4人は浅草寺から1番近い結界の出入り口である旧上野駅まで到着した。
「さて皆さん。いよいよ結界の外に出ますよ。大丈夫だと思いますが、今一度気を張り直してください。」
桜が左腰の刀に手をかけながら3人に話す。
3人が同時に頷く。
ひまわりは右手の拳を固める。
ヒガンバナはひまわりとは対照的に両手を開きリラックスしたように肩の力を抜く。
ビオラは右腰の拳銃を抜き右半身に構える。
それぞれが臨戦態勢に入ったのを確認した桜は、自身を含め全員を鼓舞するように口を開いた。
「皆さん準備は出来たみたいですね。いざ、参りましょう!」
桜の掛け声と共に結界の外に足を踏み出した4人であった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる