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第二章 開耶姫
5話 「ひまわりちゃん、もしかしたら見せれるかも」
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「ヒガンバナちゃんって、たまに恐ろしいことを平気で言うよね・・・」
「分かる! 普段は優しいけど、怒るとアタシ達の中で1番歯止めが効かなくなるっていうか、容赦なく相手を倒しにいくからな~」
「なんで2人ともそんな事言うの⁉︎ 桜ちゃんはあんな酷いこと思ってないよね?」
ビオラとひまわりの意見が珍しく一致し、ヒガンバナを詰めるような言動から助けを求めるため桜に話を振る。
ヒガンバナを何とかフォローしようと言葉を探す桜であったが、2人と同じような考えを持っていたためすぐには見つからず、苦し紛れかのようにヒガンバナから視線を外し、困ったような表情で笑みを浮かべる。
「そっ、そうですね・・・。確かに2人とも言い過ぎな部分はありますが、あながち間違ってない部分もあって・・・・・・っ! そうです! ヒガンバナさんが怒るのはいつも私達の為じゃありませんか! ・・・仲間を想う気持ちが1番強いってことですよ。そうですよね?ヒガンバナさん」
「桜ちゃんありがとう~! やっぱり分かるヒトにはちゃんと伝わるものなんだな~」
ヒガンバナの安堵した顔を見てホッと胸を撫で下ろす桜を横目に、少し納得がいってないビオラとひまわりだったが、これ以上責め立てる意味もなかったため、2人で目配せをし軽く頷くと、ひまわりが話題を変えるため、また別の質問をヒガンバナにした。
「じゃあ今度はちょっと真面目な話になるけど、ベゴニア様がアタシに言ってた力の伝え方がどうこうって話覚えてる?」
「ええっと・・・確かクロカタゾウムシを倒した事をベゴニア様に報告しにいった時だったっけ?・・・ごめん、あの時はしっかり話を聞いてなかったからぼんやりとしか・・・」
「ひまわりだけじゃなくて私や桜お姉ちゃんもアドバイスを貰ってたんだよ。ひまわりのは確か、『貴方は力の伝え方をもう少し学んだ方がいいわね。せっかくいい技を持ってるのに、身体の使い方が雑なせいで威力を分散させてしまってるのよ。その辺りはヒガンバナが詳しいから、今後教えてもらうといいわ。』って言われてたわね」
「あはははははー‼︎ ビオラちゃんベゴニア様そっくり~!」
「ビっ・・・ビオラさん・・・!ふふっ!いっ、いけませんよ、そんな・・・!ふっ・・・ふふっ!」
頬杖をつくように左手を顔に持っていきベゴニアの声真似をするビオラ。
その予想以上の完成具合にひまわりは口を大きく開けて笑い、それとは逆に笑いを必死に止めようとする桜だったが、ツボにハマってしまい笑いを止める事が出来ず、両手で顔を覆い肩を震わせていた。
「と、とりあえずひまわりちゃんにその、力の伝え方・・・?を教えればいいのかな・・・?」
1人困惑した表情のヒガンバナは、それでも聞かれた質問に答えるべく、両手を胸の前まで持ってくると、右手で拳を握り、左手は開いた状態で合わせると、
「私も感覚でやってるから正確には出来ないけど、こう・・・表面を叩くんじゃなくて、一点に力を集中させて押すというか・・・、う~ん。言葉で説明するより見てもらった方が早いんだけど、私の能力は敵意を持った相手にしか使えないから今は見せれないかも・・・。ごめんね」
「そっか~、残念だなぁ。どこかにアタシ達を襲ってきそうな昆虫騎士団のヒトでもいればいいんだけど・・・」
「そんな都合よくいるわけ・・・・・・。ちょっと皆止まってくれる? ・・・ひまわりちゃん、もしかしたら見せれるかも」
ひまわりががっかりした様子で肩を落としたすぐ後、軽く周囲を見ていたヒガンバナが、他3人の足を止めさせ、ある一点を凝視する。
その視線の先には何本かの木が立ち並ぶだけで、他には何の変哲もないが、ヒガンバナはある一本の木の前までおもむろに歩き始めた。
「分かる! 普段は優しいけど、怒るとアタシ達の中で1番歯止めが効かなくなるっていうか、容赦なく相手を倒しにいくからな~」
「なんで2人ともそんな事言うの⁉︎ 桜ちゃんはあんな酷いこと思ってないよね?」
ビオラとひまわりの意見が珍しく一致し、ヒガンバナを詰めるような言動から助けを求めるため桜に話を振る。
ヒガンバナを何とかフォローしようと言葉を探す桜であったが、2人と同じような考えを持っていたためすぐには見つからず、苦し紛れかのようにヒガンバナから視線を外し、困ったような表情で笑みを浮かべる。
「そっ、そうですね・・・。確かに2人とも言い過ぎな部分はありますが、あながち間違ってない部分もあって・・・・・・っ! そうです! ヒガンバナさんが怒るのはいつも私達の為じゃありませんか! ・・・仲間を想う気持ちが1番強いってことですよ。そうですよね?ヒガンバナさん」
「桜ちゃんありがとう~! やっぱり分かるヒトにはちゃんと伝わるものなんだな~」
ヒガンバナの安堵した顔を見てホッと胸を撫で下ろす桜を横目に、少し納得がいってないビオラとひまわりだったが、これ以上責め立てる意味もなかったため、2人で目配せをし軽く頷くと、ひまわりが話題を変えるため、また別の質問をヒガンバナにした。
「じゃあ今度はちょっと真面目な話になるけど、ベゴニア様がアタシに言ってた力の伝え方がどうこうって話覚えてる?」
「ええっと・・・確かクロカタゾウムシを倒した事をベゴニア様に報告しにいった時だったっけ?・・・ごめん、あの時はしっかり話を聞いてなかったからぼんやりとしか・・・」
「ひまわりだけじゃなくて私や桜お姉ちゃんもアドバイスを貰ってたんだよ。ひまわりのは確か、『貴方は力の伝え方をもう少し学んだ方がいいわね。せっかくいい技を持ってるのに、身体の使い方が雑なせいで威力を分散させてしまってるのよ。その辺りはヒガンバナが詳しいから、今後教えてもらうといいわ。』って言われてたわね」
「あはははははー‼︎ ビオラちゃんベゴニア様そっくり~!」
「ビっ・・・ビオラさん・・・!ふふっ!いっ、いけませんよ、そんな・・・!ふっ・・・ふふっ!」
頬杖をつくように左手を顔に持っていきベゴニアの声真似をするビオラ。
その予想以上の完成具合にひまわりは口を大きく開けて笑い、それとは逆に笑いを必死に止めようとする桜だったが、ツボにハマってしまい笑いを止める事が出来ず、両手で顔を覆い肩を震わせていた。
「と、とりあえずひまわりちゃんにその、力の伝え方・・・?を教えればいいのかな・・・?」
1人困惑した表情のヒガンバナは、それでも聞かれた質問に答えるべく、両手を胸の前まで持ってくると、右手で拳を握り、左手は開いた状態で合わせると、
「私も感覚でやってるから正確には出来ないけど、こう・・・表面を叩くんじゃなくて、一点に力を集中させて押すというか・・・、う~ん。言葉で説明するより見てもらった方が早いんだけど、私の能力は敵意を持った相手にしか使えないから今は見せれないかも・・・。ごめんね」
「そっか~、残念だなぁ。どこかにアタシ達を襲ってきそうな昆虫騎士団のヒトでもいればいいんだけど・・・」
「そんな都合よくいるわけ・・・・・・。ちょっと皆止まってくれる? ・・・ひまわりちゃん、もしかしたら見せれるかも」
ひまわりががっかりした様子で肩を落としたすぐ後、軽く周囲を見ていたヒガンバナが、他3人の足を止めさせ、ある一点を凝視する。
その視線の先には何本かの木が立ち並ぶだけで、他には何の変哲もないが、ヒガンバナはある一本の木の前までおもむろに歩き始めた。
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