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槇島城の戦い~高屋城の戦い
プニ長参上
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飯を終えた後も、少しゆっくりしてから出発した。
駕籠の中まで否応なしに差し込んで来る冷気に身体を震わせていたら、「お寒いですか?」と帰蝶が優しく毛布を掛けてくれる。この季節だからと予め用意されていた、俺用の小さいやつだ。
突然だけど小型犬というのは寒さに弱い。
そもそも犬という種族そのものが人類に飼われているうちに寒さに弱くなってしまったというのに、小型犬は身体が生み出す熱よりも逃げていく熱の方が多く、更に寒がりになってしまっている。
おまけに小型犬はストレスに弱い。
犬は耳が良いので、大きな音が苦手で恐怖を感じやすいと言われている。特に小型犬は心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDになりやすいそうだ。
そんなわけで、小型犬はとにかく身体が震えやすい。寒さでも震えるしストレスでも震える。だからプルプルはチワワの魅力の一つだけど、実はしっかりとケアしてあげなければいけない注意点の一つなのだ。
と、それらの知識はチワワを崇拝する俺でさえネットで調べてようやく得たものだというのに、帰蝶は俺の身体が震えるや否や、いつも最短でケアをしてくれていた。つまり彼女は天才以外の何者でもないということになる。
隣で座ったままうとうとしている帰蝶を眺めながらそんなことを思った。
徐々に陽が沈み始め、空に茜色が滲む頃。俺たちはようやく目的地である温泉付きの宿に到着した。
駕籠の扉を開けて六助が顔を出してくる。
「お疲れさまでした。宿に着きましたよ」
帰蝶と外に出ると、六助が宿らしき建物を手で示しながら紹介してくれた。
「ここが今回の目的地、『プニ長参上』でございます」
「キュンキュン(名前をどうにかしろ)」
檜皮葺の屋根が美しい、中規模な温泉旅館だ。壁に塗られた漆喰が行燈と月光に照らされて淡白く輝いている。
古い家屋と言えば瓦、なんて自分は勝手に連想していたけど、この世界において瓦というのはまだまだ一般には普及していない。天皇が住む宮殿など、その使用はごく一部に限られている。
対して、寺社仏閣や武家の屋敷などに多く採用されているのが、この旅館のような檜皮葺で、檜の立木から剥いだ皮を形成した檜皮というものを用いて施行されている。軽快で優美な曲線が特徴的だ。
この温泉旅館は、いい機会だし織田家の者が利用する為にということで今回の旅の為に、数日前に建造されたばかりのものらしい。
入り口上に取り付けられた木製の看板を見れば、そこには「プニ長参上」と書かれていた。俺が元いた世界なら、誰もが田舎のヤンキーがスプレー缶を使って悪戯したものだと勘違いすることだろう。
「ふ~ん。名前はあれだけど、中々良さそうなとこじゃない」
いつの間にやら、モフ政を抱っこして俺たちの近くに来ていたお市が率直な感想を述べる。
「名前、だめでしょうか? プニ長様がこの宿の主であるということを示すのに端的でわかりやすいと思ったのですが」
「もういいからいくわよ。長旅で疲れちゃった」
ささやかな抗議をする六助を置いて、お市はさっさと旅館に入って行った。
新鮮な檜の香りが鼻腔をくすぐる。帰蝶が草履を脱いでいる間、一足先に上がって廊下を歩いてみれば、まだ色のくすんでいない床に目を奪われた。
そこで少しの間廊下の奥に消えて行った六助を待っていると、恐らくはここを任された織田家の者であろう人物と一緒に戻って来た。
中肉中背で穏やかな顔つきをした落ち武者ヘアーの男は、俺たちを認めるなり笑顔になって挨拶をする。
「皆様長旅お疲れさまでした。すぐにお部屋へご案内致します、どうぞこちらへ」
六助も含めた全員で、廊下の奥を手で示してから歩き出した男についていく。
しばらくして、男はある部屋の前で立ち止まった。
「こちらがプニ長様と帰蝶様のお部屋でございます」
「二人の愛の巣でございます」
「キュンキュン(お前は黙ってろ)」
無駄ににやにやしている六助に喝を入れる。そのままお市とモフ政は隣の部屋へと案内されていった。
六助も男と何やら打ち合わせがあるということで去ったので、ひとまずゆっくりしようと帰蝶と部屋に足を踏み入れる。すでに照明用の行燈が用意されていて、温かい光が朧気に室内の風景を浮かび上がらせていた。
けど、それとはまた別に、青白く光る小さな何かが視界に入る。
明らかにこの世界においては異質なのに、不思議と恐怖は感じない。首を傾げる帰蝶と共に近づいていくと、その光源は正座をしたまま、丁寧にぺこりと一礼をしてから言葉を発した。
「こんばんは。本日、お二人の夜のお相手を務めさせていただきます、ソフィアと申します。よろしくお願いいたします」
「キュウンキュン(何やってんだお前)」
ソフィアは笑顔で「なんちゃって!」というと、元気に飛び立って帰蝶の周りをくるりと一周する。
「ソフィア様、こんばんは」
「温泉、いいですねぇ~。是非私も御一緒させてください!」
「もちろんです。ソフィア様と御一緒出来て私も嬉しいです」
ソフィアのやつ、温泉旅行の話を聞きつけて、無理に時間を作ってまでこっちにきた可能性があるな……。帰蝶と温泉に入る風景を脳裏に浮かべながら、内心ではおっさんのように卑しく笑んでいるに違いない。
帰蝶がこちらを見下ろしながら微笑んだ。
「それではプニ長様、早速参りましょうか」
「キュン(おうよ)」
お疲れながらも、やはり寝る前に一風呂浴びたくなるのが人の性。ささっと準備をして、俺たちは浴場へと向かった。
向かった、とは言っても俺と帰蝶は男女で別々の湯だ。
以前、帰蝶が俺を洗おうと一緒にお風呂に入ろうとした時に逃げ出した際、「お風呂が嫌いな犬」と勘違いされてしまったので、ソフィアを通じて「恥ずかしいので別で入りたい」という旨を伝えておいた。
ちなみに、この世界の風呂は混浴が基本で、織田家専用の温泉宿を作ると決めたのは俺の「男女別々の湯に入りたい」という要望を汲んでのこともある。
恥ずかしいのもあるし、犬の身体であることをいいことに帰蝶の露わな姿を拝めてしまうのは、罪悪感がすごすぎてやめておきたいというのが本音だ。
入り口でソフィアや帰蝶と別れて男湯へと入る。脱衣所で特に脱衣するものもなく真っ直ぐに通過し、のれんの下を歩いて外へと出た。
凍てつくような宵闇の中、行燈でわずかに照らされた露天風呂からは、湯気が視界を遮ってしまうほどに立ち込めている。漂う湯の香りが、早くこちらに来いと手招きしているようにも思えた。
石畳の床に、湯を縁取る大小さまざまな石。外界や女性湯との間を仕切る木製の壁の下には土が敷かれていて、草木たちが胸を張って並んでいた。
うひょー、久々の温泉だ。俺もこの世界に来てからというもの、湯船に浸かる機会がめっきり減ってしまって悲しくなっていたところだ。この旅で思う存分に満喫してやろう。
風呂に近付いて湯面を覗き込めば、あまりにも尊すぎるチワワの顔もまたこちらを見つめていた。
そっと右前足を湯に向けて伸ばし、ゆっくりと触れてみる。するとその瞬間、燃えるような熱さが前足から身体の中心へと入り込み、堪らず脳が手を引っ込めろという指令を脊髄に下した。
あっつ、何これめっちゃ熱い。
飛び跳ねるように下がって、自分の右前足が火傷を負っていないか確認する。そんなことをしてしまうくらい熱かった。江戸っ子じゃないと入れないくらいの熱さなのに、この世界に江戸はまだ出来ていない。
などとしょうもないことを考えていたら、背後からひたひたと何者かが歩く足音が聞こえてくる。
「これはこれはプニ長様。お湯が熱かったのですかな」
振り返れば、そこには露わな姿になった六助がいた。誰も得しないまさかのサービスカットに驚愕して固まっていると、六助は大きな桶を持ってきてその中にお湯を入れてくれる。
「どうぞこちらでお湯に浸かってください」
「キュ、キュキュ、キュキュ(あ、ありが、とととと)」
気持ちはありがたいけど、この寒い中でお湯がぬるくなるのを待つというのはちときついなあ、と震えていると。
「おっと、これはいけませんな。少々お待ちください」
そう言って脱衣所へと消えていったかと思えば、すぐに戻って来た。手には先ほどまで六助が纏っていた着物が。
「これを」
ふぁさっ、とそれが俺の身体にかけられる。やだ、何この人かっこいい……。
必要以上に強く焚かれ、染みわたった香木の香り。そしてその向こうから届く六助の体臭に心を揺さぶられてしまう。
何だかとても不安な気持ちになるな。もしかして、これが恋……?
その六助はと言えば、今正に温泉に浸かって身体を沈めていくところだった。
「うっ………………ああああぁぁぁぁ~~~~~~~~」
湯に身体を沈めながら、次第に恍惚の表情を浮かべていく六助。
まじかこいつ、あれをストレートに入って行きやがった。もしかしなくても人間じゃないのかもしれない。それとも犬の身体が熱さに弱い、あるいは敏感過ぎるだけなのか。
桶に入ったお湯に触れながらそんなことを思った。
駕籠の中まで否応なしに差し込んで来る冷気に身体を震わせていたら、「お寒いですか?」と帰蝶が優しく毛布を掛けてくれる。この季節だからと予め用意されていた、俺用の小さいやつだ。
突然だけど小型犬というのは寒さに弱い。
そもそも犬という種族そのものが人類に飼われているうちに寒さに弱くなってしまったというのに、小型犬は身体が生み出す熱よりも逃げていく熱の方が多く、更に寒がりになってしまっている。
おまけに小型犬はストレスに弱い。
犬は耳が良いので、大きな音が苦手で恐怖を感じやすいと言われている。特に小型犬は心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDになりやすいそうだ。
そんなわけで、小型犬はとにかく身体が震えやすい。寒さでも震えるしストレスでも震える。だからプルプルはチワワの魅力の一つだけど、実はしっかりとケアしてあげなければいけない注意点の一つなのだ。
と、それらの知識はチワワを崇拝する俺でさえネットで調べてようやく得たものだというのに、帰蝶は俺の身体が震えるや否や、いつも最短でケアをしてくれていた。つまり彼女は天才以外の何者でもないということになる。
隣で座ったままうとうとしている帰蝶を眺めながらそんなことを思った。
徐々に陽が沈み始め、空に茜色が滲む頃。俺たちはようやく目的地である温泉付きの宿に到着した。
駕籠の扉を開けて六助が顔を出してくる。
「お疲れさまでした。宿に着きましたよ」
帰蝶と外に出ると、六助が宿らしき建物を手で示しながら紹介してくれた。
「ここが今回の目的地、『プニ長参上』でございます」
「キュンキュン(名前をどうにかしろ)」
檜皮葺の屋根が美しい、中規模な温泉旅館だ。壁に塗られた漆喰が行燈と月光に照らされて淡白く輝いている。
古い家屋と言えば瓦、なんて自分は勝手に連想していたけど、この世界において瓦というのはまだまだ一般には普及していない。天皇が住む宮殿など、その使用はごく一部に限られている。
対して、寺社仏閣や武家の屋敷などに多く採用されているのが、この旅館のような檜皮葺で、檜の立木から剥いだ皮を形成した檜皮というものを用いて施行されている。軽快で優美な曲線が特徴的だ。
この温泉旅館は、いい機会だし織田家の者が利用する為にということで今回の旅の為に、数日前に建造されたばかりのものらしい。
入り口上に取り付けられた木製の看板を見れば、そこには「プニ長参上」と書かれていた。俺が元いた世界なら、誰もが田舎のヤンキーがスプレー缶を使って悪戯したものだと勘違いすることだろう。
「ふ~ん。名前はあれだけど、中々良さそうなとこじゃない」
いつの間にやら、モフ政を抱っこして俺たちの近くに来ていたお市が率直な感想を述べる。
「名前、だめでしょうか? プニ長様がこの宿の主であるということを示すのに端的でわかりやすいと思ったのですが」
「もういいからいくわよ。長旅で疲れちゃった」
ささやかな抗議をする六助を置いて、お市はさっさと旅館に入って行った。
新鮮な檜の香りが鼻腔をくすぐる。帰蝶が草履を脱いでいる間、一足先に上がって廊下を歩いてみれば、まだ色のくすんでいない床に目を奪われた。
そこで少しの間廊下の奥に消えて行った六助を待っていると、恐らくはここを任された織田家の者であろう人物と一緒に戻って来た。
中肉中背で穏やかな顔つきをした落ち武者ヘアーの男は、俺たちを認めるなり笑顔になって挨拶をする。
「皆様長旅お疲れさまでした。すぐにお部屋へご案内致します、どうぞこちらへ」
六助も含めた全員で、廊下の奥を手で示してから歩き出した男についていく。
しばらくして、男はある部屋の前で立ち止まった。
「こちらがプニ長様と帰蝶様のお部屋でございます」
「二人の愛の巣でございます」
「キュンキュン(お前は黙ってろ)」
無駄ににやにやしている六助に喝を入れる。そのままお市とモフ政は隣の部屋へと案内されていった。
六助も男と何やら打ち合わせがあるということで去ったので、ひとまずゆっくりしようと帰蝶と部屋に足を踏み入れる。すでに照明用の行燈が用意されていて、温かい光が朧気に室内の風景を浮かび上がらせていた。
けど、それとはまた別に、青白く光る小さな何かが視界に入る。
明らかにこの世界においては異質なのに、不思議と恐怖は感じない。首を傾げる帰蝶と共に近づいていくと、その光源は正座をしたまま、丁寧にぺこりと一礼をしてから言葉を発した。
「こんばんは。本日、お二人の夜のお相手を務めさせていただきます、ソフィアと申します。よろしくお願いいたします」
「キュウンキュン(何やってんだお前)」
ソフィアは笑顔で「なんちゃって!」というと、元気に飛び立って帰蝶の周りをくるりと一周する。
「ソフィア様、こんばんは」
「温泉、いいですねぇ~。是非私も御一緒させてください!」
「もちろんです。ソフィア様と御一緒出来て私も嬉しいです」
ソフィアのやつ、温泉旅行の話を聞きつけて、無理に時間を作ってまでこっちにきた可能性があるな……。帰蝶と温泉に入る風景を脳裏に浮かべながら、内心ではおっさんのように卑しく笑んでいるに違いない。
帰蝶がこちらを見下ろしながら微笑んだ。
「それではプニ長様、早速参りましょうか」
「キュン(おうよ)」
お疲れながらも、やはり寝る前に一風呂浴びたくなるのが人の性。ささっと準備をして、俺たちは浴場へと向かった。
向かった、とは言っても俺と帰蝶は男女で別々の湯だ。
以前、帰蝶が俺を洗おうと一緒にお風呂に入ろうとした時に逃げ出した際、「お風呂が嫌いな犬」と勘違いされてしまったので、ソフィアを通じて「恥ずかしいので別で入りたい」という旨を伝えておいた。
ちなみに、この世界の風呂は混浴が基本で、織田家専用の温泉宿を作ると決めたのは俺の「男女別々の湯に入りたい」という要望を汲んでのこともある。
恥ずかしいのもあるし、犬の身体であることをいいことに帰蝶の露わな姿を拝めてしまうのは、罪悪感がすごすぎてやめておきたいというのが本音だ。
入り口でソフィアや帰蝶と別れて男湯へと入る。脱衣所で特に脱衣するものもなく真っ直ぐに通過し、のれんの下を歩いて外へと出た。
凍てつくような宵闇の中、行燈でわずかに照らされた露天風呂からは、湯気が視界を遮ってしまうほどに立ち込めている。漂う湯の香りが、早くこちらに来いと手招きしているようにも思えた。
石畳の床に、湯を縁取る大小さまざまな石。外界や女性湯との間を仕切る木製の壁の下には土が敷かれていて、草木たちが胸を張って並んでいた。
うひょー、久々の温泉だ。俺もこの世界に来てからというもの、湯船に浸かる機会がめっきり減ってしまって悲しくなっていたところだ。この旅で思う存分に満喫してやろう。
風呂に近付いて湯面を覗き込めば、あまりにも尊すぎるチワワの顔もまたこちらを見つめていた。
そっと右前足を湯に向けて伸ばし、ゆっくりと触れてみる。するとその瞬間、燃えるような熱さが前足から身体の中心へと入り込み、堪らず脳が手を引っ込めろという指令を脊髄に下した。
あっつ、何これめっちゃ熱い。
飛び跳ねるように下がって、自分の右前足が火傷を負っていないか確認する。そんなことをしてしまうくらい熱かった。江戸っ子じゃないと入れないくらいの熱さなのに、この世界に江戸はまだ出来ていない。
などとしょうもないことを考えていたら、背後からひたひたと何者かが歩く足音が聞こえてくる。
「これはこれはプニ長様。お湯が熱かったのですかな」
振り返れば、そこには露わな姿になった六助がいた。誰も得しないまさかのサービスカットに驚愕して固まっていると、六助は大きな桶を持ってきてその中にお湯を入れてくれる。
「どうぞこちらでお湯に浸かってください」
「キュ、キュキュ、キュキュ(あ、ありが、とととと)」
気持ちはありがたいけど、この寒い中でお湯がぬるくなるのを待つというのはちときついなあ、と震えていると。
「おっと、これはいけませんな。少々お待ちください」
そう言って脱衣所へと消えていったかと思えば、すぐに戻って来た。手には先ほどまで六助が纏っていた着物が。
「これを」
ふぁさっ、とそれが俺の身体にかけられる。やだ、何この人かっこいい……。
必要以上に強く焚かれ、染みわたった香木の香り。そしてその向こうから届く六助の体臭に心を揺さぶられてしまう。
何だかとても不安な気持ちになるな。もしかして、これが恋……?
その六助はと言えば、今正に温泉に浸かって身体を沈めていくところだった。
「うっ………………ああああぁぁぁぁ~~~~~~~~」
湯に身体を沈めながら、次第に恍惚の表情を浮かべていく六助。
まじかこいつ、あれをストレートに入って行きやがった。もしかしなくても人間じゃないのかもしれない。それとも犬の身体が熱さに弱い、あるいは敏感過ぎるだけなのか。
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