ヤクザを拾った猫又~満月に会いにきて~

やの有麻

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第6話 西園寺さんの組の危機

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まずは食料の買い出し。彼、西園寺さんがいるのだから少しは食料を買い足さなければならない。

いつもの海鮮を売ってる店に行くと顔見知りのおっちゃんが私を見つけて手招きしてくる。


「こんにちは。何か良いのありますか?」
「やぁ宇賀神さん。秋の味覚と言えばサンマでしょ!あと新鮮な白子があるよー!」
「あっ白子いいですね。どれくらいありますか?」
「2㎏あるよ。売れ残りと言っちゃ悪いが今日の朝取れたてだから味は落ちてないよ。」
「信用してますから説明不要ですよ。では2㎏売ってください。」
「まいど!それにしても、この時間に出歩くなんて珍しいね~」
「今日は満月の定休日なんですよ。」
「そうかそうか!もうすぐ満月だな。じゃあ準備すりるから待っててくれ。」


《満月の定休日》

その言葉を聞けば話が通じる程浸透している言葉。
毎月満月の日に店を休みにするから、それが印象的で「満月の定休日」と言われるようになった。


それから八百屋などいろいろな食材を買い漁った。少し歩くと私の容姿に周りが注目するから常連の店に声をかけられる。
それは有難い気もするが恥ずかしい気もするので複雑な気分になる。


両手に荷物を抱えて帰宅すると1階に明かりが付いてた。

「ただいま~」

いつもの癖でただいまと言うと目の前に西園寺さんがカウンター席に座っていた。
私の姿を見て立ち上がり近付いてきて荷物を半分持ってくれた。

「あっ、怪我人に荷物なんて持たせられません!」
「宿泊させてもらってるんだ。手伝わせてくれ。」

あぁ・・・そんな事言われると否定するのも悪い気がしてしまう。
結局持ってもらい台所へ行く。

「・・・万理衣、その格好で外であるいたのか?」

うん、西園寺さんの言いたい事わかりますよ。この仮面だよね。

「ええ、いつもの事です。注目を浴びますが買い物しなければ居酒屋なのに何も作れませんから。」

西園寺さんが黙ってしまった。・・・と思ったら後ろから抱き着かれた。一体何事!?

「あっ、あの西園寺さん?どうしましたか?」
「・・・武寅」
「えっ?」
「武寅と呼んでほしい。万理衣」

・・・なんだか恋人っぽい。いやいやいや、男同士ですけど。てか離れてほしい。

「・・・えっと、とりあえず離れてもらえませんか?荷物を・・・」
「・・・武寅。」

えー・・・名前で呼ばなきゃ離れない的な?ナニソレ面倒・・・

「えー・・・武寅さん?荷物を整理したいので離れてもらえませんか」

そう言うと、満足したのか離れて、またカウンター席へ戻った。
やけに人にベタベタする人だなと、始めはそんな軽い気持ちで受け止めていた。





ガラガラガラ・・・

「ん?もう動けるのか?」

休みと張り出されてる扉からあの闇医者の晶さんが入ってきた。
何を感じ取ったのか西園寺さんは立ち上がり身構える。
誰が入ってきたか知ってる私は「西園寺さん、大丈夫です。」と一言掛けて荷物の整理を続ける。

「こんばんは。もう起き上がれるのかい?やっぱりアノ薬は効くね。俺の病院にも回してくれよ。」
「嫌です。いくら有っても足りないでしょ?」
「大事なお客さんだけに使うからさ~」
「そんな事より彼を診てあげてください。」

私がそういうと晶さんは西園寺さんの座ってるカウンターへ足を運ぶ。そして「身構えなくていいから。座って。」と言って西園寺さんを座らせている。
チラッとカウンター席の方を覗くと西園寺さんは威嚇していて晶さんは困った顔をしていた。
やれやれと思いある程度荷物の整理が片付いたので自分もカウンターへ行く。

「西園寺さん、こちらは晶さん。貴方の傷を手当てしてくれた医者ですよ。」
「そうそう!だからそんな威嚇しないでくれよ。」

私が側へ行っても威嚇を辞めない西園寺さんに少し苛立つ。

「・・・西園寺さん、この方は貴方の怪我の状態を確かめに忙しい中来てくれたんですよ。・・・今の貴方のその態度は失礼ではありませんか?」

軽く威圧を込めて言うと、西園寺さんは不満げにこちらを見た。

「・・・俺の組も世話になった事のある闇医者だ。」
「あぁ、多少の縁があったのですね。」
「西のシマの組長とは少し関わった事があるよ。幹部らしきお偉いさんの手当てをした事もある。」
「・・・万理衣と何で闇医者と繋がりがあるんだ?」
「あぁ、その事ですか。私と晶さんは幼馴染だからですよ。」
「・・・・・・・は?」

さっきまでの威嚇が吹っ飛び西園寺さんは呆気にとられた。

「はははっ!そうかそうか!なぁ西園寺さんよ、こいつ何歳に見える?」
「・・・まだ成人したばかりの・・・?」
「はぁ~・・・やっぱり若く見られるのですね。まぁ別に構いませんがね・・・」
「?????」
「俺もこいつも76だ!!!あははは~♪」
「・・・え!?」
「ちょっと・・・正確に年齢を言わなくても良いじゃないですか。まぁ・・・もうすぐ77になりますが・・・」
「・・・は?」
「あははは!いやぁ可笑しい!みんな万理衣さんの年齢を聞くとみんな同じ反応するから可笑しくて可笑しくて!」
「・・・笑いすぎですよ。顔はともかく最近はまた白髪が増えてきたんですよ。もういっそのこと白に染めようかと思います。」
「おいおい、地毛を白に染めるとか、髪の毛が可哀想だろ!」

こうして話してる間、西園寺さんは固まったまま。・・・私はそんなに年相応の姿ではないのだろうかと少し落ち込む。

「とにかく、早く彼を診てあげてください。その間に軽く食べれる物を用意しときますので。」
「おっ♪じゃあちゃちゃっと診察しようか!」
「その茶目っ気な性格どうにかならないんですか?」
「ん?それは誉め言葉か?」
「・・・なんでもありません。」

こうやっていつも変わらず私に接してくれる。それが晶さんの良い所であり私にとって何より救いになる。
それから私は台所へ行き昨日の残ってた煮物を温める、米も炊く。
その間に晶さんは放心状態の西園寺さんの上着を脱がし包帯を取る。

「ああ、完璧に傷は塞がってるね。あとは軽くリハビリして体調管理をしっかりすれば完治するよ。」
「・・・」
「おーい西園寺くん?武寅くーん?」
「!・・・俺の事知ってたのか?」
「おっ正気に戻った?まぁ調べればでてくるよ。例えば西園寺くんとこの組が危ない事も。」

晶さんがそういうと西園寺さんはガバッと立ち上がり右手で晶さんの胸ぐらを掴む。

「どうどう!落ち着いて?傷にさわるよ?」
「どうゆうことだ?組が危ないとは。」

やれやれと首を振り晶さんは西園寺さんの傷口をぐっと掴む。痛みが走り顔を歪ませたところで両肩を掴み椅子に座らせる。

「君は怪我人なんだよ。まずは闇ではあるが医者の言うことを聞こうね。」

子供をあやすように柔らかく話している。
そして西園寺さんの組の話を始めた。

「晶さん、私はその話を聞いても大丈夫なんですか?」
「ん?まぁ関係ないとも言えないから一応聞いて?」
「・・・私に関係あると言うのですか。」

晶さんは何も言わずニコッと笑った。・・・否定はしないんだ。
それから組の勢力争いが起こってると話始めた。

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