ヤクザを拾った猫又~満月に会いにきて~

やの有麻

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第20話 買い物

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「なんでこうなったんでしょう・・・」
「いいじゃん♪俺マリーちゃんの働く姿見たいし!」
「・・・はぁ」

ため息をはきながら犬神くんに抱っこされユラユラ揺れながら移動する。
辺りはもう暗くなっていた。
犬神くんに場所を教えて裏道を通ってもらい店へ辿り着く。

「へぇ~・・・なんか昔ながらな雰囲気だねぇ。」
「築130年は建ってますから。」
「130!凄いね!」
「下ろしてください。・・・鍵を開けます。」



ガチャガチャ・・・カラカラカラ・・・
和風の内片引込み戸を開ける。2人で中に入り犬神くんは物珍しそうに辺りをキョロキョロする。
窓を開け空気を入れ替える。すると窓際に飾ってある金木犀の花の香りが広がる。

ヨロヨロと歩きながら冷蔵庫の中を確認。もう食材は無く空に等しかった。

「う~ん・・・買い物に行かなければなりませんね・・・」
「そうなの?じゃあ俺も・・・」
「付いてこないで下さい。もう帰って下さい。買い物まで付いてこられてはストレスが溜まります。」
「え~だってマリーちゃん、まだ身体辛いでしょ?だったら荷物持ちになってあげるよ♪」
「・・・・・・そう、ですね・・・仕方ありませんね。お願いします。その代わり・・・」

お互い全身真っ黒のスーツを着ているので、これだと目立ちまくるので着替えてもらう事にする。
私と犬神くんは身長以外はあまり体格は変わらないので私の私服を貸す事にして、とりあえず2階へ連れていく。

「うん、これなら犬神くんでも着れるでしょう。ズボンは・・・これですね。って、何してるんですか・・・」
「スンスン・・・あ~マリーちゃんの匂いがする~幸せ♪」
「・・・変態ですか。さぁ、早く着替えて顔見知りの所へ行きますよ。」
「はぁ~い・・・はぁ、幸せ。・・・あっちょっとキツイ。」

私には丁度良いけど、犬神くんは私より筋肉が付いてるせいか肩や腕の辺りがパツパツだった。Vネックの長袖のシャツで肩に刺青の様な龍の模様が描かれていた。下はジーパン。ビジネスシューズに合わせて黒っぽい紺色を選んで渡す。

「収縮性が備わってるのでそんな締め付け感はないと思います。」
「うん、大丈夫だよ。ズボンもちょっとウエストがキツイけど掃けなくはないから。」
「だいたい1時間で買い物済ませますので我慢してくださいね。」
「はぁい!」

何が楽しいのか、いつも以上に上機嫌だった。
自分も似たような服を着替えて鏡を見て仮面を確認する。邪魔な前髪を後ろに縛りまとめる。
その姿を犬神くんはうっとりと眺めていた。なんなんだろう・・・






それから2人で買い物に出かける。馴れ馴れしく肩を抱いてきたが未だに足がフラフラするので我慢する。周りの視線が痛かったが仕方ない・・・
中には犬神くんを知ってるのか黄色い声も聞こえた。それに気付き犬神くんも手を振る。うんざりしながらも市場に来ると私を知ってる店の人が手招きしてくるので犬神くんと一緒に行く。

「おやおや、連れと来るなんて珍しいね!しかもイケメンじゃないか~」
「少し体調が良くなくて付き添ってもらってるんです。それより、何か良いのありますか?」
「生憎この時間だからね~・・・ああ、キノコなんてどうだい?今が旬だから形も良くて良い匂いがするよ~」
「そうですか。ではそれを頂きます。あっ、あるだけ買わせて下さい。暫く休んでたもので冷蔵庫が空なんです。」
「そうかい!じゃあ他に野菜もいるかい?鍋に定番の白菜や人参が良いの入ってるよ~」
「それでは適当に用意してもらえますか。」

「はいよ~」と八百屋の奥さんは笑顔で返事して、いそいそと袋に積めていく。それを見て犬神くんが怪訝な顔をして話しかけてきた。

「マリーちゃん大丈夫?」
「ん?あぁ、ここの奥さんは目利きが良くてお世話になってるんです。いつも来てるので必要な物を熟知してくれてるのです。」
「へぇ~凄い信頼感。」

ニッコリと笑い犬神くんを見ると、つられて笑い返してきた。そして奥さんに袋を手渡され会計をすませる。
それから3~4件店を周り私も犬神くん両手一杯にして家へ帰る。

「はぁ。犬神くんがいて助かりました。まとめて買い物が出来て良かったです。」
「こんな沢山買って全部使いきれるの?」
「ええ、大丈夫です。物を粗末にしません。手伝ってくれたお礼に夕飯食べて行きますか?」
「えっ本当に!?わーい食べる食べる!」
「じゃあ片付けて掃除しますので2階へ行って待っててください。できたら呼びますので。テレビもあるしゆとりのあるソファーもありますので寛いでて下さい。」
「わかった~楽しみだなぁ♪新婚さんみたい!」
「・・・今から出ていきますか?」
「イエ、スミマセンデシタ。」

なにが新婚だよ。調子に乗らせるといつもこうだ。そそくさ上に上がっていく犬神くんの姿を見てため息をはき、食材を仕舞っていく。
部屋を片付けて調理の下ごしらえを済ませる。
準備が出来たので犬神くんを呼びに行くとソファーで眠っていた。仕方なくジーパンのウエストのボタンを外し緩め、そのあとに毛布をかけて上げた。

そして気付けは夜10時を回っていたので暖簾を外に出し開店する。
すると10分も経たずにいつもの常連客が雪崩のように押し寄せてきてすぐに満席になり賑やかになった。

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