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第2章 四葉の役割
2ー6 なんだか変な話に事が進んでしまったよ?
しおりを挟むマルファスが帰って来てクロウが起きたら朝食を取る。
朝はいつもの通り、ご飯・味噌汁はセットで出し、ご飯のお供にウインナーと玉子焼きとレンソーのお浸しを作る。
ご飯は釜を出して炊く。味噌汁の中身は豆腐に油揚げ。ウインナーは焼けば良し。玉子焼きは中にタタマとキャロロを細かく刻んで味付けをしてオムライス風に形を整えて人数分作る。
マーランには主に火を使う所に待機してもらい簡単な味噌汁とウインナーを焼くよう伝える。
四葉はフンフフフン♪と鼻歌を歌いながら野菜を切ったり玉子焼きを作ったりしている。マーランは野菜以外全てが初めて見るもので見入ってた。
「こっこれは何ですか?」
「これはウインナーと言います。軽く焼き目が付けば充分ですからね。」
「この黄色いのは?」
「玉子焼きです。あっこの世に鶏は居ますか?」
「にっにわとりとは?」
「あ~その様子じゃいないんですね。もしかしたら魔物に似たような存在がいるかもしれませんね。」
「ん~どんな姿なんですか?」
「えっと、今説明できないのでご飯が済んだらイラストを書きます!」
「いっいらすと?」
所々、言葉の壁にあたる・・・
他愛ない話をしながら朝食を作り終わる。
そして、いざ!実食ぅ~!
「うまっ!!何この食べ物!!食べた事ない!」
『美味だな。俺はあまり食すのは興味なかったのだが、このタマゴヤキというのは美味だな。この白いオコメも穀物とは思えない程の美味だ。・・・これなら毎日食べても飽きぬ。』
「マルスさん玉子焼きが気に入りましたか?私の分も食べますか?」
『良いのか?貰えるのなら頂きたい。』
四葉は自分の皿にある玉子焼きをマルファスの皿に移し変える。
「どうぞ。・・・やはりまだ食欲が戻らないみたいです。作るので精一杯でした・・・」
『ヨツバよ大丈夫か?この後は我の背中に乗って移動しようぞ。』
「あ・・・いえ、移動はクロウくんに任せようかと思います。」
「ブッ!!!!」
四葉の予想外な発言にクロウは味噌汁を溢してしまった。噎せているクロウにマーランは背中を擦る。
「あー大丈夫かクロウ・・・」
「ゲホッ、ゲホッ、っ大丈夫・・・んんっ、ヨツバ殿、何で俺なんです。」
「ごめんなさい動揺させるつもりはなかったんだけど・・・えっとね、応龍様は私にずっと結界を張っていたから疲れてると思うの。だから休んでほしいと言う事で、クロウくんなら何度か抱っこしてくれてるから慣れてるかなって思って・・・迷惑ですか?」
「いえ、いいえ!迷惑だなんて!喜んでやらせてもらいます!」
『おい、聞き捨てにならない事を言わなかったか?』
クロウが喜ぶ姿を見て応龍がギロッとクロウを睨む。
『・・・調子に乗るなよクロウよ・・・今回はヨツバに礼を尽くすため!今回限りだからな!ヨツバに触れられるのはー!!!』
「何を意味がわからない事を言ってるのですか?食事中ですよ。応龍さんはもうご飯はいらないという事でしょうか?」
『えっ、いや、まだまだ食べるつもりだが・・・』
『クックックッ・・・』
「ごめんなさいクロウくん。じゃあこの後宜しくね。かなり歩くのが辛くて・・・こんな事この世界に来て初めて味わったわ。」
「・・・えっこの世界って?ヨツバさんは何を言ってるんだ?」
今まで黙々とご飯を食べてたマーランが口をはさんだ。
「後で話すつもりだったんだけど、えっと・・・私、異世界人なんです。」
「・・・は?異世界人?えっと、ヨツバさんが?」
『そうだ。我が異世界の「地球」という所から連れてきた。』
「・・・・・・・」
マーランは頭の中が真っ白になる。するとクロウがポンッと肩に手を乗せて頷いた。
「うん、頭が追い付かないよな。俺も初めはそうだった。だが、今目の前にいる方は応龍様だ。この土地の守護霊で滅多にお目にかかれない存在の方が今目の前にいて、そのお方が言ってるのだ。嘘偽りなんか話すはずはないよ。・・・とりあえず吹っ切れるしかないよ。」
『なんだ吹っ切れるとは!?クロウまだヨツバが異世界人じゃないとでも思ってるのか』
「いえ、この数ヶ月一緒にいたので信じてます。でも本当に、急に「こちらは応龍様です。」とか「私は異世界人です。」と言われても理解できませんよ!」
『・・・そうか。まぁ仕方のない事か。この世界は狭いからな・・・我みたく異世界へ移動できるのは我くらいだからな。』
「ねぇ、マーランさんが固まったままよ?早く朝食取って中庭へ行きましょう。」
「そうでした。マーラン起きろ。早くしないと美味しいご飯がなくなるぞ?」
「あ・・・あぁ戻ってきた。うし、まずこの上手いご飯を堪能しなくてはな!」
『ほう、こ奴は神経図太いな。もう割り切ってるようだ。』
「あぁそういえばマルスさん、ピスパロウ達はどこに?」
『ん?あいつらは町の外にある大木に全員止まってるぞ。後で行くか。』
「はい。ディモルが気になります。」
そうして朝食は終了した。
「この度は町を救って頂き誠に有難うございます。儂は町長をしていますアルザスと申します。以後お見知りおきを。」
日本時間でいう朝10時頃、会議で使われてるという中庭へ皆が集まった。そして町の長であるアルザスが町人の先頭に立つ。
「俺は町長の息子でトマススと申します。改めてご挨拶申し上げます。」
トマススはアルザスの斜め後ろで角度45度に腰から折り曲げ頭を下げて挨拶をする。
四葉はクロウにお姫様抱っこしてもらい中庭へ連れてきてもらい噴水のすぐ側に座れるところがあったので、クロウに頼んで座らせてもらう。「まだまだ抱っこできるのに」と不満を漏らしていたが応龍が一睨みしてクロウはそっぽを向いた。
「こちらは私から紹介します。私はヨツバ・アマミヤと申します。単刀直入に申し上げます。私は「地球」という遠い異世界から応龍さんに導かれ連れてこられた異世界人です。で、私の首回りにいるお方がこの土地を守護している四霊・応龍様です。」
『うむ。我が応龍なり。』
「そして私の膝の上にいるのがピスパロウの進化形態、魔鳥獣のディモルフォセカ改めディモルです。」
『ギュリ!(どうも、襲ってこなければこちらも襲いませんので。良しなに。)』
「そしてクロウくんの肩に乗っているのが大魔鳥マルファス様です。」
『・・・マルファスだ。』
「以上です。私と応龍さんはこの世界の争い事を治める為にあちこちと足を運んでます。旅のとちゅーーー」
「すみませんヨツバ殿。皆さん聞いてませんね・・・」
「・・・ん?」
四葉が坦々と話を進めていたが、町人が釘付けだったのはマルファスだった。マルファスはそっぽを向いて不機嫌そうにしていた。
そして四葉はパンパンと2回手を叩いて注目を集める。
「私達がここテールの町に来たのは偶然であり、ここにいるディモルとピスパロウとオオカラスたちが助けを求めてきたので、成り行きで皆さんを助けた感じになります。」
少し冷たい目をして町人を見る。すると皆が同じ気まずそうな顔をする。焦った感じに町長アルザスがフォローにはいる。
「もっ申し訳ございません。何分、儂らはマルファス様を初めてこの目で見たものですから・・・」
「それは言い訳でしょう。マルファス様はずいぶんと不愉快な気分でいらっしゃいますよ。一体この温厚なマルファス様に何をしたのですか?」
「いや・・・その・・・」
アルザスがシドロモドロに口をモゴモゴし始めた。それを見て四葉はふぅと溜め息を吐く。
「私達がここにいるのは偶然の重なりです。たまたまピスパロウたちに助けを求められ、たまたまマルファス様がここテール町にいる情報を突き止め、たまたま町人の様子がおかしかったので助けただけです。本当に偶然の積み重なりで今現在にいたります。」
「はっはい!重々承知しております。」
「・・・ではアルザスさん、何故町人たちが広場に集められたか察しがつきますか?」
少し冷たい目線を更に冷たく目を細めてアルザスを見る。蛇に睨まれた蛙の如く瞳が忙しなく動き額が汗で濡れていた。
「・・・儂らに何か聞きたい事がお有りで?」
「その通りです。何故あの大きな建物にマルファス様が閉じ込められてたのでしょうか。」
「そっ、それは存じませんでした。あの物置家は普段食料などの保管庫として使われており、滅多に使われません。」
「そうですか。では兵士達がくる前に何か変わった出来事はありませんか。例えば変わった服の者が町にやってきたり、または急に体調が悪くなったり、なんでも構いません。気づいた事があれば教えてください。」
「ん~どうでしょうか。トマスス、何か変わった事はないか?」
「・・・数週間前に旅人が訪ねてきて、いらないからと女性が好みそうな飾り物を袋一杯詰まったのを置いていったとマーランから聞きましたが。」
「あっ俺?・・・・・・・・・ああ!確かにいたな~なんか灰色のローブに顔が見えない程深く帽子を被った変な奴がきたよ。」
「うんうん、それで?」
「それをトマススさんが丁度通りかかったトマススさんに話して飾り物の入った袋を渡したんだよ。」
「ああ、それを町長の家に・・・あっ!」
話の途中で思い出したかのように話を中断させた。そう、町長の家は今は崩壊している。
「・・・襲ってきた奴等はその飾り物が狙いだったって事か?」
「話からしてそうなりますね。・・・話が進まないので、とりあえず町長の家へ行ってみましょう。」
四葉がそう言うとクロウが急かさず四葉を抱っこする。四葉はニッコリ笑いクロウの首回りに腕を回して身を寄せるとクロウの尻尾は左右にブンブン振って喜んでた。
応龍は少し不満そうに思いながら四葉の首回りでモソモソ動き、マルファスはクハハと笑いながらクロウに寄り添って飛び出し、ディモルはマルファスの斜め後ろで飛び回っていた。
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