上 下
22 / 26

22,帰宅してこれからのこと

しおりを挟む


政和の話を聞いて、俺は頭を抱えてしまった。

あの人何やっちゃってんの?



まず、ピコリオは俺の部屋に勝手に入り物色してる所に政和が乱入。そこで政和がピコリオ見て一瞬俺かと思ったが雰囲気が違うし、なにより俺にはコスプレする趣味はない事を知っていたので冷静に行動をした。

まず、お前は誰か?今ここで何をしているのか?ここの家主はどこにいるのか?と、様々な質問をピコリオにぶつけたようだ。
そしたらちゃんと律儀に一つ一つピコリオさんは答えたらしい。そしてちゃっかり「ここにいる間、僕の面倒見て♡」と要求してきたよう
だ。

とにかく何か面倒な事に首を突っ込んだ自覚がありつつも俺の事が気掛かりってのもあり世話役を引き受けたみたい。……さすが世話好きマサくん。

とにかく耳と尻尾はこの世界にはないって事から説明し魔法も使えないし危険な動物もいなければ何かと戦うって事事態滅多にない事をコンコンと説明したようだ。

それから部屋にあったテレビに驚き、お腹が空いたと言われたので政和が料理したらガスコンロや冷蔵庫などに驚きはしゃがれ、作られたご飯の美味しさに驚きと………ピコリオさんの百面相に付き合ったらしい。


「あの人、本当に56歳か………?」

「………は?あの人56歳なの?………なんの冗談?」

「え、これマジ話。あっちの世界、平均寿命150なんだって。だからピコリオさん、56とは言ったけどあちらではまだ1/3しか生きてない若造に部類されるらしい。」

「うわぁ……さすが異世界って感じだな。」



うん、さすが異世界って感じだよね。俺もそう思う。てか政和ほどそんな容易く俺の話を鵜呑みする奴も珍しいがな。ま、これは腐れ縁の幼馴染だからって事で。……政和さん信頼してます。


「で?アオの方はどうだったんだ?…………その、ピコリオから一応話は聞いてるんだが………男が妊娠できる世界だとか?」

「あ~~~~…………………」



うわっ…………俺、その話、しなきゃダメ?






斯々然々……………




「…………………………………マジ?」

「うん。」



はい、赤裸々に全て話しました。

王様の子が出来ない事で問題になってる事から話し、ピコリオさんが王様の相手に選ばれ、それが嫌で俺と入れ替わり~……………俺が子を産み、タイミングよくピコリオと通信が取れて有無言わせず勝手に帰省させられたと。


………実際、上半身裸になって母乳でるか乳首を捻ったら白い液が出たのを政和がマジマジ観察され………話を理解?してくれた。



「アオがもう2児の母にねぇ~。しかも男なのに出産とか………凄いな。」

「実際体験したからね。………うん、モフモフな我が子は可愛かったよ。大きくなるのは早かったけど。」


そうなんだよね。生まれて一ヶ月ちょっとでゴールデンレトリバー並に大きくなったんだよね。もうその頃には抱っこするのに一杯一杯で………

あ、思い出したら辛くなってきた。


「…………もう、戻る事はできないのか?」

「わかんない。けど、無理なんじゃないかな。てかピコリオさん的にもうこの世界に用はないだろうし。」

「……そ、か。」


…………ん?なんか政和の様子が……?


「あの、さ………実は、お前だからぶっちゃけるんだけど…………俺、ピコリオさんと恋人になってたんだよね。」

「………………………………………」



…………………………はぁ?
………………………………………はあああ?!



「はぁあ?!え、マジで?え、え、だってマサは……」

「そう。俺はノーマルだよ。普通に俺は女のコが好きなんだ。………でも、ピコリオは特別だった。」


ま、マジかぁ~~~~………………

あ、だから政和、なんか悲壮感が漂ってたんだ。なんだそっか~。ふ~ん。へぇ~え。


「…………なんだよ。」

「……ぶっちゃけ聞いてい?…どっちが上?」

「ブフッ!!」


あ~茶を噴いちゃったよ。……うん、ゴメン。単刀直入だった。


数分後、顔真っ赤にして自白してくれた。…………へぇ~政和が下だって。うん、友よ。仲間が出来て俺は嬉しいよ。確かに王様も「ピコリオは孕ませる側だ」って言ってたもんね。政和も俺に似た所があって小柄だもんね。世話焼き好きだし。なんやかんや言い包められ食べられちゃったんだろうな。……俺も人の事言えないし笑えないし。うん。


「…………通信手段とかないの?」

「う~ん……………俺とピコリオさんと通信できたのって……」


月を眺めて胸に手を置く事。


「あ~……それ、ピコリオ毎日、儀式の様にやってた。数分くらい。それで月から目を反らせていつも俺にこう言うんだ……」


………僕はまだここに居れるみたい。


「それって……少なからずピコリオさんも戻りたくなかったって事?」

「そう、だと良いんだけどな。」

「そっか………俺、ピコリオさんとの通信手段が『月を眺め胸に手を充て祈ること』って事だったの知らなくて……あの時、そうあの時なんだか胸騒ぎがして、無意識にやった行動でピコリオさんと通信できたんだよね。」

「そっか………あぁ、あの人は口下手だよな。肝心な事を言わず自己完結する人だったな。」

「マサ………」



なんなんだよピコリオ・ジェルウェ!周りをこんなに荒らして勝手に帰りやがって!
どうしてくれるんだ!




しおりを挟む

処理中です...