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Rin
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僕はリーダーにチュロスの許可を取ると、早速家族にチュロスを作っていいか相談をした。
「そうねぇ一日位ならお店を休みにしてチュロスを作る日を作っても良いわ!文化祭前日で良いのよねえ?」
お母さんの問いに僕は頷くと由香里姉さんが目を輝かせて僕に聞いてきた。
「ねぇねぇ晃、私もチュロス作り手伝って良いかしら?」
「ちょっと由香ねえ、アキくんの邪魔しちゃ駄目でしょ?」
「邪魔じゃないよ!お手伝いだよ!」
「人数沢山欲しいから、姉さん達に手伝って貰いたいなあ。」
僕が言うと由香里姉さんは和姉さんにドヤ顔で「だってさ」と呟いた。するとお父さんは微笑んで僕に話しかけた。
「じゃあ、チュロス作りの監督は私が努めようか?」
「そうしてほしいな。お父さんよろしくお願いします。」
そして前日にチュロス作りが決定したので会話アプリで皆に説明を入力した。
☆映画サークルの皆さんへ
チュロス作りは文化祭の前日に作る事に決定しました。もし、作りたい人が入れば連絡お願いします。人数は10名までです。
場所は洋菓子店「lapin」で当日はエプロンと三角巾を持ってきてくれると有難いです。
「送信」
僕がメッセージを送ると真っ先に藤野先輩からメッセージが着て大体の女性陣がチュロスを作りたがった。
『チュロス上手く作れると良いなぁ・・・・。』
*
文化祭前日になり、映画サークルの10名が「lapin」に集まり、調理室でお父さんがチュロスのレシピのプリントを配り、今日の事を話した。
「今日はチュロスをノーマル、シナモン、ココアの味を二十本作ります。よろしくお願いします。」
お父さんの言葉に皆は「よろしくお願いします!」と挨拶をした。
最初は失敗してシナモンのチュロスが黒焦げになったが二回目は大成功だった。
「この、黒焦げのチュロスどうしよう・・・・・。」
「そんなの、捨てるに決まってんでしょ?」
呆れた顔をした由香里姉さんに言われて、同感するしか無かったが藤野先輩が真顔で黒焦げのチュロスを食べ始めた。
「ちょっと先輩!お腹痛くなりますよ!?」
僕の言葉を完全無視をして先輩はリスのように黒焦げのチュロスを飲み込んだ。
「・・・・・・・・めっちゃ焦げとる!!!」
「当たり前でしょ!バカタレ!」
女性の先輩に頭を叩かれて、場の空気が少し盛り上がった。
チュロスを合計六十本作り終了し、皆は帰って行ったが藤野先輩がまだ残っていた。
「藤野先輩、帰らなくて良いんですか?」
僕の問いに先輩は応えず、「lapin」の店の中をぶらぶら歩いていた。
「うん、アキちゃんのお店が可愛らしいから、まだ居りたいねん!」
「何言ってるのか、分かりませんけど?」
「だってさ、どうしてアキちゃんが女装する様になったか気になるやん!そりゃあ、こんな可愛らしいお菓子とお姉ちゃんに囲まれたら、そうなるわなぁ!」
「・・・・・悪いですか?」
僕は拗ねて言うと藤野は「なはは」と笑った後、僕に近づいて頭を撫でて優しい声で囁いた。
「全然、寧ろ愛らしいなぁと思うわぁ。」
先輩の顔が近すぎて、目を逸らしてしまった。
「愛らしいってなんですか!」
「そのまんまの意味やけど?」
先輩が揶揄っていると、由香里姉さんが不思議そうな顔で藤野先輩を見つめていた。
「あのさ、アキちゃん今君のお姉さんに見られてるんやけど俺何かしたかなあ?」
「さぁ?分からないですけど一応聞いてきましょうか?」
「ホンマに!ありがとう。」
僕は由香里姉さんの所に行って耳元で聞いてみた。
「姉さん、どうして藤野先輩を見ているの?」
僕の問いに由香里姉さんは藤野先輩を見つめながら小さい声で言った。
「前に和が好きなコスプレイヤーのRinに似てるなぁ~って思ってさ。」
「Rin?」
「そうそう、この人何だけど。」
姉さんはスマホを開いて調べるとそこには、前に見せて貰った藤野先輩のコスプレが映っていた。
「へぇかっこいいね。」
僕は知っていたが敢えて言った。すると由香里姉さんは水色のドレスを着た金髪の女性を見せてきた。
「この人は?」
「これもRinだよ。今は女装してないみたいだけど。」
『僕、知らなかったけど藤野先輩も女装してたんだな。』
僕達はスマホを見ていると影が出来たので振り向くと、険しい表情をしている藤野先輩がいた。
「あ・・・・藤野先輩その・・・・」
僕が言い訳を考えていると、ガサっと音がしたので音がした方を見るとお店の床にエコバッグを落とした和姉さんが唖然とした顔で突っ立っていた。
「・・・・・Rin・・・・・・・ですよね?」
その言葉に藤野先輩はいつも通りの表情に戻り、和姉さんに明るい声で言った。
「せやで、コスしてへんのに、よく分かったな!」
すると和姉さんは急に嗚咽を出して泣き出した。
「嬉しい!大ファンなんです!特に「ヴァンパイアハンターズ!!」のライバル役のデスのコスプレ最高でした。特に瞳にダイヤの形をしたカラコンの再現が最高でした!それに「四神物語」の青龍のコスプレも・・・」
藤野先輩が押されるぐらい和姉さんは喋り出した。
『姉の意外な一面を見たような気がする・・・・。』
結局藤野先輩の険しい表情が聞けずに終わってしまった。
*
大学の文化祭の当日になった。映画サークル部に椅子を二十個用意して、後ろにジュースやチュロスがある小さい売店を開いて準備が完了した。最初に僕と柚木さんが売店の販売係をした。お客さんは十二人と満員では無いが、来てくれるだけ有難かった。これから、一回目の上映会が始まる。
「そうねぇ一日位ならお店を休みにしてチュロスを作る日を作っても良いわ!文化祭前日で良いのよねえ?」
お母さんの問いに僕は頷くと由香里姉さんが目を輝かせて僕に聞いてきた。
「ねぇねぇ晃、私もチュロス作り手伝って良いかしら?」
「ちょっと由香ねえ、アキくんの邪魔しちゃ駄目でしょ?」
「邪魔じゃないよ!お手伝いだよ!」
「人数沢山欲しいから、姉さん達に手伝って貰いたいなあ。」
僕が言うと由香里姉さんは和姉さんにドヤ顔で「だってさ」と呟いた。するとお父さんは微笑んで僕に話しかけた。
「じゃあ、チュロス作りの監督は私が努めようか?」
「そうしてほしいな。お父さんよろしくお願いします。」
そして前日にチュロス作りが決定したので会話アプリで皆に説明を入力した。
☆映画サークルの皆さんへ
チュロス作りは文化祭の前日に作る事に決定しました。もし、作りたい人が入れば連絡お願いします。人数は10名までです。
場所は洋菓子店「lapin」で当日はエプロンと三角巾を持ってきてくれると有難いです。
「送信」
僕がメッセージを送ると真っ先に藤野先輩からメッセージが着て大体の女性陣がチュロスを作りたがった。
『チュロス上手く作れると良いなぁ・・・・。』
*
文化祭前日になり、映画サークルの10名が「lapin」に集まり、調理室でお父さんがチュロスのレシピのプリントを配り、今日の事を話した。
「今日はチュロスをノーマル、シナモン、ココアの味を二十本作ります。よろしくお願いします。」
お父さんの言葉に皆は「よろしくお願いします!」と挨拶をした。
最初は失敗してシナモンのチュロスが黒焦げになったが二回目は大成功だった。
「この、黒焦げのチュロスどうしよう・・・・・。」
「そんなの、捨てるに決まってんでしょ?」
呆れた顔をした由香里姉さんに言われて、同感するしか無かったが藤野先輩が真顔で黒焦げのチュロスを食べ始めた。
「ちょっと先輩!お腹痛くなりますよ!?」
僕の言葉を完全無視をして先輩はリスのように黒焦げのチュロスを飲み込んだ。
「・・・・・・・・めっちゃ焦げとる!!!」
「当たり前でしょ!バカタレ!」
女性の先輩に頭を叩かれて、場の空気が少し盛り上がった。
チュロスを合計六十本作り終了し、皆は帰って行ったが藤野先輩がまだ残っていた。
「藤野先輩、帰らなくて良いんですか?」
僕の問いに先輩は応えず、「lapin」の店の中をぶらぶら歩いていた。
「うん、アキちゃんのお店が可愛らしいから、まだ居りたいねん!」
「何言ってるのか、分かりませんけど?」
「だってさ、どうしてアキちゃんが女装する様になったか気になるやん!そりゃあ、こんな可愛らしいお菓子とお姉ちゃんに囲まれたら、そうなるわなぁ!」
「・・・・・悪いですか?」
僕は拗ねて言うと藤野は「なはは」と笑った後、僕に近づいて頭を撫でて優しい声で囁いた。
「全然、寧ろ愛らしいなぁと思うわぁ。」
先輩の顔が近すぎて、目を逸らしてしまった。
「愛らしいってなんですか!」
「そのまんまの意味やけど?」
先輩が揶揄っていると、由香里姉さんが不思議そうな顔で藤野先輩を見つめていた。
「あのさ、アキちゃん今君のお姉さんに見られてるんやけど俺何かしたかなあ?」
「さぁ?分からないですけど一応聞いてきましょうか?」
「ホンマに!ありがとう。」
僕は由香里姉さんの所に行って耳元で聞いてみた。
「姉さん、どうして藤野先輩を見ているの?」
僕の問いに由香里姉さんは藤野先輩を見つめながら小さい声で言った。
「前に和が好きなコスプレイヤーのRinに似てるなぁ~って思ってさ。」
「Rin?」
「そうそう、この人何だけど。」
姉さんはスマホを開いて調べるとそこには、前に見せて貰った藤野先輩のコスプレが映っていた。
「へぇかっこいいね。」
僕は知っていたが敢えて言った。すると由香里姉さんは水色のドレスを着た金髪の女性を見せてきた。
「この人は?」
「これもRinだよ。今は女装してないみたいだけど。」
『僕、知らなかったけど藤野先輩も女装してたんだな。』
僕達はスマホを見ていると影が出来たので振り向くと、険しい表情をしている藤野先輩がいた。
「あ・・・・藤野先輩その・・・・」
僕が言い訳を考えていると、ガサっと音がしたので音がした方を見るとお店の床にエコバッグを落とした和姉さんが唖然とした顔で突っ立っていた。
「・・・・・Rin・・・・・・・ですよね?」
その言葉に藤野先輩はいつも通りの表情に戻り、和姉さんに明るい声で言った。
「せやで、コスしてへんのに、よく分かったな!」
すると和姉さんは急に嗚咽を出して泣き出した。
「嬉しい!大ファンなんです!特に「ヴァンパイアハンターズ!!」のライバル役のデスのコスプレ最高でした。特に瞳にダイヤの形をしたカラコンの再現が最高でした!それに「四神物語」の青龍のコスプレも・・・」
藤野先輩が押されるぐらい和姉さんは喋り出した。
『姉の意外な一面を見たような気がする・・・・。』
結局藤野先輩の険しい表情が聞けずに終わってしまった。
*
大学の文化祭の当日になった。映画サークル部に椅子を二十個用意して、後ろにジュースやチュロスがある小さい売店を開いて準備が完了した。最初に僕と柚木さんが売店の販売係をした。お客さんは十二人と満員では無いが、来てくれるだけ有難かった。これから、一回目の上映会が始まる。
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