君に噛み跡を遺したい。

卵丸

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小さな一歩

いじめ

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黒板の落書きに動揺したが要は笑い声を無視して机に向かうと机にもマジックペンで落書きされていた。書かれていたものは「バカ」「アホ」とただの悪口もあれば「Ωキモイ」「Ωは学校に来るな!」「ガキ生んで死ね」「落ちこぼれの性」などΩの性に対する悪口が殆どだった。
それを見つけた生徒はクスクス笑い要を嘲笑っていると1人の生徒が彼の肩に手を置いて嫌な笑顔で言ってきた。

「どうよ、俺達の作品、よく出来てんだろ?」

生徒はニヤニヤ笑っていたが要は生徒を完全無視をして手を置かれた肩を回すと彼から離れて要は雑巾を濡らして冷めた目で落書きされた机を丁寧に拭いた。反応が無かったのが面白くなかったのか無視されてイラついた生徒が有るまじき物を要にぶん投げた。それは要の後頭部に見事にコツンと当たり要は無言で拾うと彼は今更拾った事を後悔した。桃色のパッケージに丸いものが入っているコンドームだった。

「ガキ産まないようにやるよ!!」

その言葉を合図に他の生徒達もゲラゲラと下品に笑い出した。その中には笑っている人達を睨んで嫌そうな顔をした生徒もいたが誰1人、要を庇う人は現れなかった。
帰り道でもいじめる生徒達3人に無理矢理河川敷に連れて行かれそのまま蹴り落とされて要は冷たい川に全身が濡れて寒さで震えた。出て行こうとすると生徒達は面白がって要を這い上がらないように彼の背中を押さえつけて楽しんでいた。

「Ωで汚い体を洗おうな!」  

「暴れんなよΩ!!」

「あっいい事思いついた!」

1人の生徒が要の頭を川に押さえつけて彼は息が出来ずに体全身を使って藻掻くが暴れると他の生徒が要の背中を大人しくなるまで蹴った。

「ふがっふごっうぶっ!?」

「今から10秒耐えたら今日は止めてやる・・・いーち、にーい」

と数えていたが生徒はニヤニヤしながら口にした。

「ごー・・・の次は何だっけ?えーとえーと」

「うぶっふがが!!」

わざと数字を忘れたフリをしてのんびり数えていると要に限界がきて彼は力強く這い上がって息を整えようとしたが1人の生徒が縄跳びを持ってきて彼の体を強く打った。打たれた脹脛は紐の跡を残していた。

「いだ!!」

「はーいペナルティー!!」

彼は何回も要の身体に縄をムチのように打って他の生徒はそれを見て笑っていた。

「や・・・・やめ・・・」

「何してんだよ!!」

新しい声に皆が振り向くとそこには怒った裕一郎が立っていた。

「なぁんだ、裕一郎か・・・。」

「お前も遊ぶか?」

裕一郎は無言で近づいてきて縄跳びを持っている生徒から縄跳びを奪った。その生徒は呆然として裕一郎は縄跳びの持つ方を踏んだ。プラスチックなので直ぐに粉々になり生徒は驚いて縄を持った。

「俺の縄跳びがー!!」

裕一郎は嘆いている生徒を無視して要と生徒が2人いる川の方に近づいた。無表情で近づく裕一郎に1人の生徒が怯えながら川の小石を裕一郎の方に投げが全部外れていた。

「くっ来るな!!」

そして裕一郎は川の中に入り彼は拳を作り生徒の腹を思いっきりぶん殴った。

「ぐべぇ!?」

殴られた生徒は川の中でお腹を押えて痛そうに蹲っているのを2人は怯えて眺めいたが裕一郎が2人を睨むと彼らは蹲っている生徒をほって全力で逃げていった。要は唖然と見ていると裕一郎に腕を引っ張られて誰もいない公園に着いた。裕一郎は手提げカバンからタオルを取りだし要の頭をガシガシと乱暴だが拭いてくれた。

「なっなに!!」

「わりぃ、けど早く乾かさないと風邪ひいちゃうだろ?」

「・・・・・うん」

要の身体を一通り拭き終わると2人は錆び付いている青いベンチに座り裕一郎から話しかけてきた。

「大丈夫・・・じゃないよな・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「箕輪?」

要は黙っていたが真面目な顔になり深呼吸をしてから小さな声で裕一郎に話した。

「Ωって嫌だね・・・。」

「・・・・・でも、お前はΩに生まれたくて生まれた訳じゃないじゃん!・・・なのに・・・。」

「・・・・・・・・。」

その間、黙っていたが裕一郎は要に語るように話した。

「今ならお前の言ってた言葉わかるな・・・。」

「言葉って?」

「人が嫌な思いをしたらいじめなんだなって・・・。」

「・・・うん・・・でも、真中君が僕の事を守ってくれて嬉しかったなぁ。」

要は下を向いてベンチから立ち上がると裕一郎の前で少しだけ口角を上げてお礼を言った。

「助けてくれてありがとう」

初めて見る笑顔に裕一郎は心臓が速くなって要を見つめていたが彼は公園から出て行ってしまった。裕一郎は初めての事でベンチから動けずに固まって誰もいない場所で小さく一言だけ呟いた。

「あいつ笑えたんだな」

***

次の日、昨日に要を川に無理矢理、沈めていじめていた生徒の1人が体と服がボロボロで泣いて登校してきた。その後に目が泳いでいる要と6年生の隆志が教室の黒板の落書きを見て要に怒鳴った。

「やっぱり、いじめられてるじゃないか!!」

「・・・えーと・・・・。」

「連絡帳の後ろのページにΩ来るな とか今日の朝もこいつがいじめようとしてたし、かなちゃんはどうして何も言わなかったの!!」

「・・・心配されたくなくて・・・・。」

要がボソボソ呟くと隆志は深いため息を吐き、黒板消しで落書きを消して教室中を睨んで見渡した。

「・・・要をいじめたら許さないから」

隆志は低い声で宣言するとクラスメイトは青白い顔になり怯えた表情で赤べこのように何回も頷くと隆志は要に手を振って教室から出て行った。
隆志が出ていった後、皆はホームルームまで無言のままだった。

***

休み時間、皆は各々遊びに行って要は本を読んでいると真っ黒い影が浮かび上がり上を見ると机に手を乗せている裕一郎と目が合った。

「何読んでんだ?」

「・・・ヘレン・ケラーだけど?」

「難しいの読んでんだな」

「結構、面白いよ?」

「でも、俺も歴史上の人物の本読むの好きだな」

「えっ以外!」

「失礼だな」

結構、会話が弾み2人はぷっと吹き出すとあははと一緒に笑った。

「真中君と話せるとは思ってなかったよ。」

「・・・あのさー・・・真中じゃなくて裕一郎って呼んでもいいけど?」

要はキョトンとした後に考える素振りを見せた後、ふわりと微笑み小さく呟いた。

「じゃあ、裕君で」

要の笑顔に顔を赤くさせながら裕一郎は小声で聞いた。

「なんで、裕君なんだよ!」

「だって、あの子達と一緒に裕一郎って言うのが嫌なんだもん」

要は頬をプクーと膨らますと裕一郎は右手で顔を隠して言った。

「・・・俺もさ・・・要って言って良い?」

それを聞いて要はまた微笑んで呟いた。

「いいよ」

その一言だけで胸が高まり、裕一郎は目を泳がせながらお礼を言った。

「・・・・ありがとう」

その後、たまに要をいじめる奴が現れたが裕一郎が全部助けてくれて高校までΩの性で酷い目に遭う事は無かったが大学1年の時に先輩達に犯されて裕一郎にも襲われて彼は要の目の前から消えた。

***

裕一郎が大学を辞めて、違う大学に合格して授業が終わった深夜に町を歩いていると路地裏で女性が厳つい男性に襲われていたので助けるとその女性はベロベロに酔っ払っていてしかも女性のスマホは充電が切れていて裕一郎は仕方なくビジネスホテルに向かい彼女をベッドに寝かせて、裕一郎はソファで眠った。次の日女性の悲鳴で裕一郎は目が覚めた。

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