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第三章
第百二十一話 氷炎の守護者
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女悪魔系ボスモンスターとの戦いを終えると、戦利品を回収してから先に進む。
ダンスホールを突っ切り、階段を上がったところにある扉を開くと衣装部屋らしき部屋があった。
一瞬マジックアイテムかと思ったが、室内に置かれている衣服から魔力は感じられなかった。
「む、手に取れないどころか触ることもできないな」
「部屋の飾りみたいですね」
「この先に進む道が見当たりませんね。行き止まりなんですかね?」
「んー、いや、隠し通路があるみたいだ。あの壁だな」
衣装部屋の一角に飾られている絵画の前に移動する。
アーティファクト〈月神の賢眼〉の空間認識能力によれば、壁に掛けられた絵画の向こう側に謎の空間があることが分かった。
絵画は外せなかったが室内の衣類とは違って触ることはできた。
絵画は、巨大なモンスターと4人の人間らしき者達が相対しているような内容だった。
意味深な絵なので、壁を動かすギミックはこの絵画にありそうだ。
ヒントは室内にあるんだろうが、手掛かりを探すのは〈盗賊王の七つ秘具:盗賊王の技装手〉の【盗賊王の万能錠】を試してからにしよう。
「……あ、開いた」
能力を発動させてから絵画に触れると、絵の中の4人の人影が動き出し、巨大なモンスターへ攻撃を仕掛けて打ち倒した。
倒されたことで巨大なモンスターの絵が掻き消えると、絵画が掛けられた壁の一部が迫り出し、その後に横にスライドしていき隠し通路を露出させた。
【盗賊王の万能錠】は『手で触れた同ランク以下の対象物にかけられている凡ゆるロックを解除する』という能力なので、魔王城のギミックにも通じるか怪しかったが、どうやら上手くいったようだ。
「今のってクロヤのスキル?」
「いや、この手袋型マジックアイテムの能力だ。駄目元でやってみたら成功したよ」
開かれた隠し通路を暫く進んでいくと再び壁に突き当たった。
ギミックらしきものは見当たらなかったので壁を押してみたところ、普通に開いていった。
押し扉の先には魔王城のエントランスホールと同じ内装の空間が広がっていた。
右は下りの階段、左は上り階段、そして正面には無駄に豪奢な造りの通路があった。
「右の階段は、通常難易度のルートだよな?」
「たぶんね。私のスキルは正面の道を示しているわ」
「左じゃなくて?」
「うん。正面よ」
「ふむ……」
てっきりエリスのクエストの目的地は、ラスボスである迷宮主がいる玉座の間かと思ってたんだが、どうやら違うらしい。
俺も〈システム〉のクエスト情報を表示して確認してみると、クエストの目的地を示す矢印は正面を指していた。
「正面には何かあるんですか、リーダー?」
「正面は、おそらく宝物庫へと繋がる通路だと思う」
「宝物庫!」
「宝物庫ということは、お宝が手に入るんですね!」
「そこが私の目的地なのね」
「宝物庫には俺もテンションが上がるんだが、情報が正しければそこを守るボスモンスターは2体いるんだよな」
「2体のボスモンスター……それは厳しそうですね」
「ああ。だから気を引き締めて挑んでくれ」
宝物庫前のボスモンスターの情報の共有を行い、支援魔法による事前強化を済ませると、正面の道を進んでいく。
高難度だが道程の短いルートを選択したのもあって、まだクエストの終了時間まで10時間近く残っている。
その分だけ道中の戦いは少々大変だったが、時間に余裕ができたので苦労した甲斐はあった。
宝物庫に到達するまでに複数ある大扉を潜る度に、そこを守る悪魔騎士系統のモンスターの集団を倒していく。
ここに至るまでに戦ったデビルズナイト達と能力も戦法も変わらないので、苦戦することはなかった。
先ほど倒した女悪魔系ボスモンスターのボス宝箱に入っていた指環型マジックアイテム〈聖邪の魔環〉は俺が、通常ドロップのイヤリング型マジックアイテム〈悪魔姫の秘涙〉はリリアがそれぞれ装備済みだ。
先に進めば進むほどレベルと装備が強化されるのがRPGの醍醐味だが、そのおかげで俺達の戦力は格段に上がっている。
そう考えると、たった4人で2体のボスモンスターを相手することに対する不安も薄まってきた。
さっきの女悪魔系ボスモンスターと違ってボスの情報があるのも好材料だな。
「さて、感じられる気配の大きさと数からして、2体のボスはこの扉の先だろう。準備はいいな。行くぞ」
彼女達が頷くのを確認してから大扉を開く。
そこには回帰前の情報通り2体のボスモンスターが待ち受けていた。
1体は高位の魔法金属製の全身鎧に身を包んだ巨人系モンスター〈青生霊鎧の氷凍巨人スカジャダ〉。
もう1体は高位精霊の亜種である精霊系モンスター〈堕ちた炎熱の精霊イラダム〉。
物理的に頑強なパワーファイターである氷の巨人と、非実体かつ高火力な炎の精霊という、屋内で戦うには厄介そうな2体のボスモンスターを前にして、即座に【堕天の枷】を使用する。
弱体化と行動阻害のデバフでボスモンスター達の動きを止めると、続けて全体強化スキルを発動させた。
「【影ノ城】」
ユニークスキル【影ノ城主】の内包スキルにより フィールド効果〈影ノ城〉が展開され、俺とパーティー全体の戦闘行動における身体能力に補正(大)が付与される。
更に、フィールド内の影を自由自在に支配できる効果を用いて氷の巨人スカジャダを実体化した影で拘束していく。
「よし! 巨人は任せたぞ!」
「任せてください!」
マリヤがスカジャダの敵意を稼ぐべく攻撃を仕掛けるのを横目に、俺は相性の良い炎の精霊イラダムの相手をすべく距離を詰めていった。
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