万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
122 / 140
第三章

第百二十一話 氷炎の守護者

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


 女悪魔系ボスモンスターとの戦いを終えると、戦利品を回収してから先に進む。
 ダンスホールを突っ切り、階段を上がったところにある扉を開くと衣装部屋らしき部屋があった。
 一瞬マジックアイテムかと思ったが、室内に置かれている衣服から魔力は感じられなかった。


「む、手に取れないどころか触ることもできないな」

「部屋の飾りみたいですね」

「この先に進む道が見当たりませんね。行き止まりなんですかね?」

「んー、いや、隠し通路があるみたいだ。あの壁だな」


 衣装部屋の一角に飾られている絵画の前に移動する。
 アーティファクト〈月神の賢眼〉の空間認識能力によれば、壁に掛けられた絵画の向こう側に謎の空間があることが分かった。
 絵画は外せなかったが室内の衣類とは違って触ることはできた。
 絵画は、巨大なモンスターと4人の人間らしき者達が相対しているような内容だった。
 意味深な絵なので、壁を動かすギミックはこの絵画にありそうだ。
 ヒントは室内にあるんだろうが、手掛かりを探すのは〈盗賊王の七つ秘具:盗賊王の技装手〉の【盗賊王の万能錠】を試してからにしよう。


「……あ、開いた」


 能力を発動させてから絵画に触れると、絵の中の4人の人影が動き出し、巨大なモンスターへ攻撃を仕掛けて打ち倒した。
 倒されたことで巨大なモンスターの絵が掻き消えると、絵画が掛けられた壁の一部が迫り出し、その後に横にスライドしていき隠し通路を露出させた。
 【盗賊王の万能錠】は『手で触れた同ランク以下の対象物にかけられている凡ゆるロックを解除する』という能力なので、魔王城のギミックにも通じるか怪しかったが、どうやら上手くいったようだ。


「今のってクロヤのスキル?」

「いや、この手袋型マジックアイテムの能力だ。駄目元でやってみたら成功したよ」


 開かれた隠し通路を暫く進んでいくと再び壁に突き当たった。
 ギミックらしきものは見当たらなかったので壁を押してみたところ、普通に開いていった。
 押し扉の先には魔王城のエントランスホールと同じ内装の空間が広がっていた。
 右は下りの階段、左は上り階段、そして正面には無駄に豪奢な造りの通路があった。


「右の階段は、通常難易度のルートだよな?」

「たぶんね。私のスキルは正面の道を示しているわ」

「左じゃなくて?」

「うん。正面よ」

「ふむ……」


 てっきりエリスのクエストの目的地は、ラスボスである迷宮主ダンジョンボスがいる玉座の間かと思ってたんだが、どうやら違うらしい。
 俺も〈システム〉のクエスト情報を表示して確認してみると、クエストの目的地を示す矢印は正面を指していた。


「正面には何かあるんですか、リーダー?」

「正面は、おそらく宝物庫へと繋がる通路だと思う」

「宝物庫!」

「宝物庫ということは、お宝が手に入るんですね!」

「そこが私の目的地なのね」

「宝物庫には俺もテンションが上がるんだが、情報が正しければそこを守るボスモンスターは2体いるんだよな」

「2体のボスモンスター……それは厳しそうですね」

「ああ。だから気を引き締めて挑んでくれ」


 宝物庫前のボスモンスターの情報の共有を行い、支援魔法による事前強化を済ませると、正面の道を進んでいく。
 高難度だが道程の短いルートを選択したのもあって、まだクエストの終了時間まで10時間近く残っている。
 その分だけ道中の戦いは少々大変だったが、時間に余裕ができたので苦労した甲斐はあった。

 宝物庫に到達するまでに複数ある大扉を潜る度に、そこを守る悪魔騎士デビルズナイト系統のモンスターの集団を倒していく。
 ここに至るまでに戦ったデビルズナイト達と能力も戦法も変わらないので、苦戦することはなかった。
 先ほど倒した女悪魔系ボスモンスターのボス宝箱に入っていた指環型マジックアイテム〈聖邪の魔環〉は俺が、通常ドロップのイヤリング型マジックアイテム〈悪魔姫の秘涙〉はリリアがそれぞれ装備済みだ。
 先に進めば進むほどレベルと装備が強化されるのがRPGの醍醐味だが、そのおかげで俺達の戦力は格段に上がっている。
 そう考えると、たった4人で2体のボスモンスターを相手することに対する不安も薄まってきた。
 さっきの女悪魔系ボスモンスターと違ってボスの情報があるのも好材料だな。


「さて、感じられる気配の大きさと数からして、2体のボスはこの扉の先だろう。準備はいいな。行くぞ」


 彼女達が頷くのを確認してから大扉を開く。
 そこには回帰前の情報通り2体のボスモンスターが待ち受けていた。
 1体は高位の魔法金属製の全身鎧に身を包んだ巨人系モンスター〈青生霊鎧の氷凍巨人アポイラ・フロストジャイアントスカジャダ〉。
 もう1体は高位精霊の亜種である精霊系モンスター〈堕ちた炎熱の精霊イフリート・ダウンフォールンイラダム〉。
 物理的に頑強なパワーファイターである氷の巨人と、非実体かつ高火力な炎の精霊という、屋内で戦うには厄介そうな2体のボスモンスターを前にして、即座に【堕天の枷】を使用する。
 弱体化と行動阻害のデバフでボスモンスター達の動きを止めると、続けて全体強化スキルを発動させた。


「【影ノ城ダン・スカー】」


 ユニークスキル【影ノ城主スカアハ】の内包スキルにより フィールド効果〈影ノ城〉が展開され、俺とパーティー全体の戦闘行動における身体能力に補正(大)が付与される。
 更に、フィールド内の影を自由自在に支配できる効果を用いて氷の巨人スカジャダを実体化した影で拘束していく。


「よし! 巨人は任せたぞ!」

「任せてください!」


 マリヤがスカジャダの敵意ヘイトを稼ぐべく攻撃を仕掛けるのを横目に、俺は相性の良い炎の精霊イラダムの相手をすべく距離を詰めていった。



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵
ファンタジー
 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。  新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。  旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。  そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。  命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。  泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。  

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

処理中です...