新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

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第十九話 乱戦

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 ◆◇◆◇◆◇


 護衛達を殺されたレイジへとアザカの魔剣の剣尖が迫る。
 中央管理室のコンピュータの掌握に成功して気が緩んだ隙を突かれており、無防備な今のレイジではアザカの攻撃に対処できない。
 アザカの凶刃を止めるべく、閃殻闘手の手甲の一部をスライドさせて攻性レーザーを照射する。


「ッ! 危ないじゃない、ディアボロ!」


 レイジに突き出していた魔剣を引き戻してレーザー攻撃を防いだアザカが文句を言っているが、それを無視して重魔導ライフルの銃口を向ける。
 引き金を引く──直前に横合いから飛来してきた斬撃を飛び退いて躱わす。
 重くて回避するのに邪魔で手放した重魔導ライフルが目の前で真っ二つになる。
 横を見ると、探索隊の生き残りの1人であるバンダナ男がレーザーブレードを振り抜いた体勢でいる姿が視界に入った。


「チッ。略奪組も動くか」


 俺へと攻撃を仕掛けたバンダナ男だけでなく、同じように略奪を企んでいた別の3人の男も他の探索隊のメンバーへと襲い掛かっていた。
 視線をアザカ達の方へと戻すと、態勢を立て直したレイジとアザカによる戦闘が始まっていた。
 レイジの近接戦闘能力がどれほどのレベルか分からないが、どちらにせよ急いだ方がいいだろう。


「〈強化エンハンス〉」


 出し惜しみ無しにメタトロンの【強化】を使用して身体能力を一気に引き上げる。
 無手のまま地面を蹴って瞬時にバンダナ男との距離を詰めると、バンダナ男の胸部へと全力の掌底を打ち込んだ。


「ペギャッ!?」


 強化服〈リーヴスラシル〉による身体強化にメタトロンの【強化】を加えた状態での掌底の威力は凄まじく、バンダナ男の身体が爆発四散した。
 その様子を目撃した者達の顔が驚愕に染まるのを見つつ、更に全身に力を込める。


「ちょうどいい。今の全力を確かめるとするか」


 バンダナ男が破裂して宙を舞ったレーザーブレードの柄を掴み取り、再起動させると近くにいる略奪組の1人へと振り下ろした。
 バンダナ男が即死してから1秒にも満たない間に、俺の動きに反応出来なかった相手を袈裟懸けに斬り裂いた。
 そのレーザーブレードを超高速でアザカに投擲し、武器を跳ね飛ばされたレイジへの攻撃を妨害する。
 その隙に略奪組の1人であるガトリング男による銃撃が行われたが、閃殻闘手に備わる光波シールドを展開して防御した。
 高ランクのシールド発生機のジャンク品によって付加されたシールド発生機能は優秀で、ガトリング男のガトリング銃による攻撃を受け止めてもビクともしない。


「う、ウォオオオオーーッ!!」

「無駄だ」


 光波シールドを発生させている右の閃殻闘手を前に突き出しながら前進し、左手に持ったテンペストを振るう。
 変幻自在の刀身が鞭のようにしなり、シールドを迂回してガトリング男を真っ二つにした。


「あと1人」


 略奪組最後の男の方へ向き直ると、俺とレイジを除けば探索隊最後の生き残りである寡黙男の片腕を斬り飛ばしたところだった。
 寡黙男──中央管理室への道中で電磁グレネードを使ってくれた男だ──の斬られた腕は機械腕であるため、あの程度のダメージでは死ぬことはない。
 だが、斬り飛ばされたのは武器を持っていた方の腕であり、戦闘力は失っている。
 予備武器ぐらいはあるだろうが、その前に追撃を受けて殺されてしまいそうだ。

 両足を斬られて倒れたレイジへと魔剣を振り下ろそうとするアザカ。
 寡黙男に追撃を仕掛けようとする略奪男。
 2つの場所は少し距離があり、どちらか一方を助けている間にもう一方は斬られてしまうだろう。
 両者を纏めて救うべく、手にしているテンペストに大量の魔力を注ぎ込む。
 テンペストの刀身を最大限にまで引き伸ばしながら、室内を横一閃に薙ぎ払う。


「ガハッ!?」

「クッ!」


 手前の略奪男を胴から両断した斬撃は、勢いを保ったままアザカにも到達したが、彼女には攻撃を防がれてしまった。
 そのまま振り抜き、受け止めた魔剣ごとアザカを弾き飛ばした。
 仰け反った勢いに逆らわずに一回転し、空中で体勢を立て直してから着地したアザカへと斬り掛かる。
 長剣サイズにしたテンペストの刃を光刃化させて攻撃力を上げているが、何度打ち合ってもアザカの魔剣が溶断する様子はない。
 溶断どころか刃が欠けることすらないとは、思った以上に高ランクの魔剣らしい。


「全く、邪魔してくれるわねッ!」

「悪いね。こっちも仕事なんだよ」

「あら。私が仕事で殺しに掛かったのを知ってたの?」

「状況から推測しただけだ」

「そのわりには私が作った料理は食べようしなかったじゃない。あの時から気付いてたんでしょう? 食べていたら他の人達みたいに楽だったのに」

「やはり毒か」

「ええ。2種類のとても弱い毒に掛かることで魔力阻害という本当の効果を発揮するの。魔力が練れなくなれば、魔力が必要な武器や魔法は使えなくなる。警備ロボットとの戦闘の進捗具合を見ながら残りの毒を室内に撒けば終わりというわけよ」

「……同時に襲い掛かってきた奴らには、食事に入れた分の毒の解毒剤を渡していたってわけか」

「ご名答。察しの良い男は好きよ!」


 急にアザカの剣撃の威力が上がり、今度は俺がテンペストごと弾き飛ばされる。
 身体が浮かび上がった瞬間にリーヴスラシルの飛行機能を発動させ、アザカの姿を視界から外さないように空中に浮かんだまま体勢を立て直す。
 空中型無人兵器のデータで可能になった短時間の飛行機能を使い、ゆっくりと地上へ降り立つ。

 アザカの全身を覆う魔力の密度が先ほどよりも上がっている。
 おそらくはアレが急にアザカの剣撃が重くなった原因だろう。
 メタトロンの【強化】込みでも吹き飛ばされるとは、厄介だな。
 テンペストの柄を強く握りながら、アザカの次の動きを警戒した。


 
 
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