マジカルテキスト

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マジカルテキスト9

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 その日の模擬戦は、予定より早く終了した。

 理由は、誰にも説明されなかった。

 ただ一つ、違和感だけが残る。

 教師たちが頻繁に空を見上げ、
 通信用の魔法陣が、何度も明滅していた。

 そして——

「……全生徒、集合」

 校内放送に、聞き慣れない低い声が響いた。

 演習場の空気が、一瞬で凍りつく。

「今から、学長が話をする」

 ざわり、と生徒たちが顔を見合わせる。

「学長……?」
「こんな時間に?」

 凪は胸の奥がざわつくのを感じた。
 理由は分からない。だが、嫌な予感だけは確かだった。

 広場に集められた生徒たちの前に、一人の老人が現れる。

 背は高くない。
 だが、その存在感は圧倒的だった。

 ヒューリーワールド学長。
 現役のティーチャーであり、世界でも指折りの魔法使い。

 学長は、杖を地面に軽く突いた。

 ——それだけで、風が止んだ。

「落ち着いて聞きなさい」

 静かな声だった。
 だが、全員が息を呑む。

「先ほど、結界監視装置に異常が出た」

 学長は空を仰ぐ。

「ルシファードラゴンが、目を覚まし始めている」

 瞬間——
 空気が、完全に変わった。

「……は?」
「ドラゴン……?」

 ざわめきが、恐怖に近い音へ変わる。

 凪はその名を知っていた。
 森を守る存在。
 同時に、特級魔法使いですら命を落とす危険な存在。

「落ち着きなさい」

 学長は続ける。

「今すぐ襲来するわけではない。
 だが、覚醒は確実だ」

 その一言が、決定打だった。

「本来、ルシファードラゴンは数百年に一度しか動かぬ」
「しかし——今回は違う」

 学長の視線が、生徒たちをゆっくりとなぞる。

「お前たちの代で、試練が訪れる」

 誰かが、喉を鳴らした音が聞こえた。

 あくあが小さく凪の袖を掴む。

「……凪、これって」
「ああ」

 冗談じゃない。

 デスくんだけが、少し楽しそうだ。

「ドラゴンデスか。
 なんか、すごそうデス」

 教師たちの表情は硬い。

「今後の授業内容を変更する」
「選抜訓練を開始する」

 学長は、最後にこう告げた。

「——これは“授業”ではない」

 沈黙。

「生き残るための準備だ」

 その言葉と共に、
 ヒューリーワールドに、はっきりとした“危機”が降りた。

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