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中級冒険者

大儲け

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 新生くにどん商会となってからは、作っては売れ、作っては売れと飛ぶ鳥を落とす勢いで、売れていった。

 特に生活魔道具が、王様の宣伝もあって、貴族や大臣などのセレブに大好評であり、かなり高い金額を提示しても、製造が間に合わず、納品まで何ヶ月の待たせるほどの大人気であった。

 僕は、商会の仕事が忙しく、ギルドに行く事もなくなっていた。

 従業員にも、報酬を充分に与え、働きたいと売り込んでくる従業員希望を断るのが忙しいぐらいであった。

 商会は金貨で溢れ、次第に僕は奢り高ぶっていた。

 「魔法1つで大儲け、、チョロいなぁ」

 番頭のフランチェスカさんが通っていたという花街にひょんな事から通うようになり、最近ではすっかり入り浸りとなっていた。

 いくら遊んでも金があるのである。

 金があれば、良い女も良い酒も寄ってくる。

 15歳の外見にして酒と女、バクチにのめり込んでいったのである。生まれ変わって今まで、前世の記憶が戻ることはほとんどなかったが、そもそも自堕落的な生活をしていたおっさんだったのだ。

 ズキッ!

 その頃からたまに頭痛がするようになった。

 酒を浴びる程飲むと痛みも感じなくなる。


 ズキズキッ!

 今日も頭痛がしている。

 何やら幻聴も聞こえる。

 「オ…モ………ダ…セ…」

 馴染みの店に行き昼間から酒を飲み始めた。

 酔っ払うと前世の記憶が蘇ってくる。

 「おい!くにどん。」

 見たことがある顔である。

 「クロードじゃねーか?どうしたんだい?」

 「お前最近、どうしたんだ?酒ばっかり飲んでるみたいじゃねーか?』

 「お前も一杯やってくかい?」

 女の身体を触りながら話している。

 「くにどんお前しっかりしろよ。」

 「なんだいクロードお前金が欲しいのかい?ほれ持ってけドロボー。」と金貨を数枚投げて渡した。

 ズキズキッ!

 頭が痛い…割れるようだ…

 「いてぇ、、、なんじゃこりゃ~」




 ふと気付くと真っ白な空間にいた。

 目の前には髭を蓄えた老人が座っている。

 「くにどんよ。お前の体たらくはなんじゃ?こんな自堕落な生活をさせるために、お主を転生させたのじゃないぞ?」

 「お主に能力を授けたワシの責任じゃ。お主に授けた能力は取り上げるぞい。命は残してやるから生き直すのじゃ!初心をオモイダセ!」



 夢か?

 目覚めると花街の隅に倒れていた。

 腰が痛い。

 「ヒール!」と回復魔法をかける……かかってない!?

 ん?腹が出ている。

 【探索】【鑑定】発動してみるが、何も起こらない……

 魔法が使えない……

 花街の店の前のガラス戸に僕の姿が映っている。

 おっさんに戻っている…

 前世の姿のぽっちゃりおっさんに戻っている…

 手持ちの金貨もない。

 まさか異世界転生した時のように生きろと?

 しかも魔法も使えず、中年の身体で生きろと?

 姿が変わり、くにどん商会に行っても誰も相手にしてくれない。

 魔法が使えない自分は空っぽだ…

 金もなく、食べ物は残飯を漁るのがやっとだ…


 ◇ ◇ ◇ ◇


 惨めな生活を何日過ごしたろうか…

 腹が減って仕方がない。

 街の外に出て何か採取しよう。

 腹が減りすぎて、倒れ込んでしまった。

 目の前には、いつも狩っていた[角ウサギ]がいる。今はとても捕まえる事も出来ない。

 もうダメだ……

 ポケットに忍ばせておいた一欠片のパンを[角ウサギ]の前に差し出した。

 「いつも狩って悪かったな。許しておくれ…」

 僕は事切れた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 僕は白い空間にいた。

 「くにどんよ。最期の最後で優しい気持ちを取り戻したの。反省したのじゃな?もう一度生きてみるか?」


 ◇ ◇ ◇ ◇


 僕は花街で女をはべらせながら、酒を飲んでいる。

 「おい!くにどん!」

 クロードだ。

 「お前最近どうしたんだ?酒ばっかり飲んでるみたいじゃねーか?」

 「……そうだな。クロード忠告ありがとう。帰るとするよ……」

 僕は、夢か幻か酔っ払っていたのか分からないまま、屋敷に帰ってきた。
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