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今夜は賓客を招いての晩餐会。
夕方から用意を始め、薄い青色の総レースに中地がベージュの落ち着いたドレスを着せてもらう。
ドレスに合わせて、産出量世界一のグリムヒルトが誇る藍石の装飾品を身につける。
髪はアップで青い花の髪飾りを飾ってくれた。
各国の賓客との食事なので、やっぱり緊張する。
特に今回は女性の出席者は私だけなので、どう振る舞えばいいのか正直よくわからない。
笑顔で、不快にさせる事だけは無い様にしなきゃ。
私の発言は国の発言。
国を背負う事。
その行い全てが陛下に影響する。
決して陛下の不利益になってはいけない。
多分、こういう緊張は私が正妃である以上ずっと向き合うんだろう。
いつか慣れて来るんだろうか?
というよりも、慣れなきゃいけないんだろう。
時間になって、陛下と一緒に1階の大広間に行く。陛下に手を取られて、エスコートされながら歩いてお話をする。
今日はずっと人と会っていて、陛下のご機嫌はあまり良くない。
と、言っても他の人にはわからないらしいので、多分問題ない。
「陛下、お疲れですか?」
「ああ。そろそろ辛抱ならん」
「明日には皆様帰路に着かれますから、どうぞ今夜だけ、ご辛抱下さいね」
「お前が横におるなら今しばらく辛抱してやろう」
私の手を取った陛下は、手の甲にキスを落とす。
私はやっぱり赤くなる。
「お前はやはり可愛いな。今日の装いも似合っておる」
「陛下はやはり軍服が一番お似合いで素敵です」
「儂はこれがせめて気楽で良いから着ておるだけだ。あまり華美なものは好かん」
今日の陛下も黒の軍服に深紅のマントを羽織っている。
これが一番陛下には似合ってると思う。
というよりも、一番陛下らしい気がする。
「……もしかして私は地味だから、陛下にお気に召して頂けたのでしょうか?」
今の陛下のお言葉になんとなく思い至った事を口に出した。
陛下が目を見開いて私の顔をまじまじと見た。
そして、くつくつと笑い出す。
「なかなか王妃は面白い事を言う。これは愉快だ。ふむ、これは気分も上々だ。……だが、儂がお前を寵愛するのは無論地味だからではないぞ?」
陛下のご機嫌が直ったので一安心だけど、そんなに可笑しかったかしら?
私は真面目に聞いたのだけれど……。
「お前はお前が思っておる以上に可愛いぞ、レイティアよ」
「陛下にそう思って頂けるなら、これ以上の僥倖はございませんね」
私はそう言って陛下に笑んだ。
「さて、王妃に気分も上げられたからな。最後の一仕事をするか」
「はい、陛下」
大広間に二人で入場する。
ジャハランカのコニー・アンブロシウス・ヘーグルンド公、
ボラオルーシのリシャルト・レンブラント・スメールデルス王弟殿下は既に先に入っておられた。
二人でご挨拶をする。
「お待たせした、ボラオルーシ王弟殿下、ヘーグルンド公」
「大変お待たせ致しました」
ボラオルーシ王弟殿下が口を開く。
「いえ、私は今来たばかりです」
ヘーグルンド公もそれに続く。
「私も今来たばかりですよ」
「今宵は皆様とゆるりとした晩餐をと思っておる。楽しんで行かれよ」
陛下がお二人に声をかける。
私はその横で微笑む。王妃モードで頑張ろう。
これは完全にお母様の猿真似なので、いつボロが出るかとヒヤヒヤする。
王妃としての立ち居振る舞いは私はお母様の振る舞いしか知らないのでとにかくお母様を踏襲する事を目指している。
お母様は官吏や諸侯自身だけでなく、その部下や家族の名前まで覚えていた。
グリムヒルトの官吏や諸侯の数はマグダラスよりずっと多いのでさすがにお母様の様に全員と家族に至るまで、とはいかないものの、
せめて本人とどんな事をしてる人なのかは覚えておこうと思った。
マグダラスは外交に関しては鎖国に近い状態だから、大して覚える事もないだろうけど、それでもお母様の事だ。
きっと外交相手の名前と家族とどんな功績のある人か完璧に覚えていたのだと思う。
私も振る舞いはお母様に敵わなくても、せめて覚えられる事は全部覚えておこうと頑張った。
その自信で少し位は王妃然としてられるだろう。
「どうぞ良き晩餐になります様に」
笑顔でお二人に声をかける。
ボラオルーシ王弟殿下は、式と夜会の時には正礼装で参加しておられたけど、今日は陛下と同じ様に軍服だ。
彼の紺青の髪色と同じ、紺青の軍服に白のパンツに長いブーツをお召しになってる。
正礼装よりもこちらの方が彼にはしっくりくる気がする。
ヘーグルンド公は式と同じ様に民族衣装を着ている。前回は青と緑を基調とした、複雑な刺繍の施された衣装を着ておられたけど、今回は深い紅と白を基調にした、とてもシンプルな刺繍の落ち着いた衣装だ。
挨拶をしている内にプトレド第二王子殿下と、ビアニア第七王子殿下も来られた。
「お待たせしてしまいました。グリムヒルト国王陛下、王妃陛下。それにボラオルーシ王弟殿下にヘーグルンド公も」
「大変お待たせしました、皆様」
プトレド第二王子殿下とビアニア第七王子殿下は二人して謝罪する。
「皆、今集まった所だ、問題はない。皆、掛けられよ」
陛下が皆様に着席を促す。
プトレド第二王子殿下は正礼装をキチンと着こなし、優雅な足取りで自分の席に着く。
その時、チラリと私を見て、薄く笑いかけた。
陛下はこれにほんの僅かだけ、眉を上げた。
ビアニア第七王子殿下も正礼装で、少し緊張した面持ちで着席した。
ボラオルーシ王弟殿下も、ヘーグルンド公も着席された。
その後、食事が始まって、他愛のない話を皆で始めて晩餐会は恙無く、平穏に終わった。
夕方から用意を始め、薄い青色の総レースに中地がベージュの落ち着いたドレスを着せてもらう。
ドレスに合わせて、産出量世界一のグリムヒルトが誇る藍石の装飾品を身につける。
髪はアップで青い花の髪飾りを飾ってくれた。
各国の賓客との食事なので、やっぱり緊張する。
特に今回は女性の出席者は私だけなので、どう振る舞えばいいのか正直よくわからない。
笑顔で、不快にさせる事だけは無い様にしなきゃ。
私の発言は国の発言。
国を背負う事。
その行い全てが陛下に影響する。
決して陛下の不利益になってはいけない。
多分、こういう緊張は私が正妃である以上ずっと向き合うんだろう。
いつか慣れて来るんだろうか?
というよりも、慣れなきゃいけないんだろう。
時間になって、陛下と一緒に1階の大広間に行く。陛下に手を取られて、エスコートされながら歩いてお話をする。
今日はずっと人と会っていて、陛下のご機嫌はあまり良くない。
と、言っても他の人にはわからないらしいので、多分問題ない。
「陛下、お疲れですか?」
「ああ。そろそろ辛抱ならん」
「明日には皆様帰路に着かれますから、どうぞ今夜だけ、ご辛抱下さいね」
「お前が横におるなら今しばらく辛抱してやろう」
私の手を取った陛下は、手の甲にキスを落とす。
私はやっぱり赤くなる。
「お前はやはり可愛いな。今日の装いも似合っておる」
「陛下はやはり軍服が一番お似合いで素敵です」
「儂はこれがせめて気楽で良いから着ておるだけだ。あまり華美なものは好かん」
今日の陛下も黒の軍服に深紅のマントを羽織っている。
これが一番陛下には似合ってると思う。
というよりも、一番陛下らしい気がする。
「……もしかして私は地味だから、陛下にお気に召して頂けたのでしょうか?」
今の陛下のお言葉になんとなく思い至った事を口に出した。
陛下が目を見開いて私の顔をまじまじと見た。
そして、くつくつと笑い出す。
「なかなか王妃は面白い事を言う。これは愉快だ。ふむ、これは気分も上々だ。……だが、儂がお前を寵愛するのは無論地味だからではないぞ?」
陛下のご機嫌が直ったので一安心だけど、そんなに可笑しかったかしら?
私は真面目に聞いたのだけれど……。
「お前はお前が思っておる以上に可愛いぞ、レイティアよ」
「陛下にそう思って頂けるなら、これ以上の僥倖はございませんね」
私はそう言って陛下に笑んだ。
「さて、王妃に気分も上げられたからな。最後の一仕事をするか」
「はい、陛下」
大広間に二人で入場する。
ジャハランカのコニー・アンブロシウス・ヘーグルンド公、
ボラオルーシのリシャルト・レンブラント・スメールデルス王弟殿下は既に先に入っておられた。
二人でご挨拶をする。
「お待たせした、ボラオルーシ王弟殿下、ヘーグルンド公」
「大変お待たせ致しました」
ボラオルーシ王弟殿下が口を開く。
「いえ、私は今来たばかりです」
ヘーグルンド公もそれに続く。
「私も今来たばかりですよ」
「今宵は皆様とゆるりとした晩餐をと思っておる。楽しんで行かれよ」
陛下がお二人に声をかける。
私はその横で微笑む。王妃モードで頑張ろう。
これは完全にお母様の猿真似なので、いつボロが出るかとヒヤヒヤする。
王妃としての立ち居振る舞いは私はお母様の振る舞いしか知らないのでとにかくお母様を踏襲する事を目指している。
お母様は官吏や諸侯自身だけでなく、その部下や家族の名前まで覚えていた。
グリムヒルトの官吏や諸侯の数はマグダラスよりずっと多いのでさすがにお母様の様に全員と家族に至るまで、とはいかないものの、
せめて本人とどんな事をしてる人なのかは覚えておこうと思った。
マグダラスは外交に関しては鎖国に近い状態だから、大して覚える事もないだろうけど、それでもお母様の事だ。
きっと外交相手の名前と家族とどんな功績のある人か完璧に覚えていたのだと思う。
私も振る舞いはお母様に敵わなくても、せめて覚えられる事は全部覚えておこうと頑張った。
その自信で少し位は王妃然としてられるだろう。
「どうぞ良き晩餐になります様に」
笑顔でお二人に声をかける。
ボラオルーシ王弟殿下は、式と夜会の時には正礼装で参加しておられたけど、今日は陛下と同じ様に軍服だ。
彼の紺青の髪色と同じ、紺青の軍服に白のパンツに長いブーツをお召しになってる。
正礼装よりもこちらの方が彼にはしっくりくる気がする。
ヘーグルンド公は式と同じ様に民族衣装を着ている。前回は青と緑を基調とした、複雑な刺繍の施された衣装を着ておられたけど、今回は深い紅と白を基調にした、とてもシンプルな刺繍の落ち着いた衣装だ。
挨拶をしている内にプトレド第二王子殿下と、ビアニア第七王子殿下も来られた。
「お待たせしてしまいました。グリムヒルト国王陛下、王妃陛下。それにボラオルーシ王弟殿下にヘーグルンド公も」
「大変お待たせしました、皆様」
プトレド第二王子殿下とビアニア第七王子殿下は二人して謝罪する。
「皆、今集まった所だ、問題はない。皆、掛けられよ」
陛下が皆様に着席を促す。
プトレド第二王子殿下は正礼装をキチンと着こなし、優雅な足取りで自分の席に着く。
その時、チラリと私を見て、薄く笑いかけた。
陛下はこれにほんの僅かだけ、眉を上げた。
ビアニア第七王子殿下も正礼装で、少し緊張した面持ちで着席した。
ボラオルーシ王弟殿下も、ヘーグルンド公も着席された。
その後、食事が始まって、他愛のない話を皆で始めて晩餐会は恙無く、平穏に終わった。
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