【本編完結】白紙の未来

Popo

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第24話

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放課後、先生と一緒に駐車場に向かった。
車のそばに篠宮さんがいてくれたおかげで迷わなかった。

「お、姐さん終わりですか?」

篠宮さんって朝もそうだったけど、俺のこと姐さんっていうのなんでなんだろう。

「はい、今日は終わりました。それで…あの…。」

どうやって先生を説明すればいいか分からず戸惑った。

「初めまして、この学校の養護教員をしている夏目といいます。杏君のお見合い相手の方でしょうか?」

「あーっと、ご丁寧にどうも。姐さんのお見合い相手は俺じゃないですね。」

「お話ししたいことがあるので、何か連絡できるものはありますか?」

「あぁ!じゃあ今電話しますね。」

そう言って篠宮さんはどこかに電話を掛けた。

「もしもし、篠宮です。あっいや、今姐さんと一緒なんですけど、学校の先生が話したいことがあるそうで。はい、代わりますね。」

篠宮さんのスマホを先生に渡す。

「代わりました。初めまして。えぇそうです。杏君の臨時保護者の方でしょうか?…え?違う?」

先生が訝しげな表情で篠宮さんを見つめる。
電話の相手が紫苑さんじゃなかったみたいだ。

「杏君の臨時保護者の方ですか?二条紫苑さんですね。はい。初めまして、駒谷高校養護教諭の夏目といいます。杏君に何かあった時などに連絡をする連絡先と住所を教えていただきたいのですが…。はい、担任には一応説明しますが悪用はしません。はい、ありがとうございます。」

先生の電話を聞きながらそばにあった花壇を見る。
マリーゴールドとサルビアがあった花壇はもう枯れて始めていてあまり華やかとはいえない。

お家に帰ったら何すればいいかな?
家の中を彷徨くのもあんまり良くないよなぁ…。
うんうん。確かに、じゃあリビングで紫苑さんが帰ってくるまで勉強してよう。

「あんくーん。ありがとうね。また明日。」

少しして先生に呼ばれて車に乗り込む。

「はい、先生。さようなら」

車が発進する。

「姐さん、今日の夕飯はなにがいいですか?」

「…俺パンしか思いつかなくて。その…。」

「じゃあ、姐さんが好きそうなもの作っときますね。」

「ありがとうございます。篠宮さんが作るんですか?」

「いやぁ!俺は全然料理できないんで、料理係が作ってくれますよ。」

夜ご飯の話をしながら車は一軒の黒いビルの前に止まる。25階まであるこのビルは全部紫苑さんのものらしく、窓の外を初めて見た時はびっくりした。

紫苑さんの部屋が24階丸々全部を使って作られた特別フロアでその一個下に徹さんが住んでいる。

広い家に一人はすごく寂しく感じるんだなと帰ってきて思ったけど、怖がらなくてもいい家って初めてで嬉しい気持ちの方が大きかった。

ちなみにその日の夜ご飯は紫苑さんと一緒にカレーを食べた。


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