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第45話
それは校門での出来事だった。
「杏。いくぞー。」
「うん。聖君今行く。それじゃあ、先生さようなら。」
「うん、また明日ね。」
新学期が始まり、また聖君と登校し始めた。
登下校の車の運転も変わらず。
少し変わったのは帰りの車には聖君と一緒に乗って紫苑さんの部屋で紫苑さんが帰ってくるまで一緒に過ごすようになった。
何でも近頃は治安が悪いらしい。
そうなんだー。で終わってしまったけど。
職員玄関から出て少し先にある駐車場へ向かう。
すると校門のそばに見覚えのある立ち姿の男性がいた。
「聖君…ちょっと待ってて。」
「あ?一緒に行く。」
心強い味方と共に男性のそばへ行く。
「あの…なんで…ここにいるの?…蓮。」
「お前に話がなければこんな学校には来ない。」
この地域でトップの進学校の制服を纏った蓮は見ないうちにαらしい凛々しい男性になっていて俺とは大違いだ。
「そう…だね。」
「君は少し離れていてくれないかな?家族以外に聞かせたくない話なんだ。」
聖君にそう言う蓮。
「杏。大丈夫か?」
「うん。待っててくれる?」
「すぐそばにいるから何かあったらすぐこい。あんた、変なことすんなよ?」
「君に言われる筋合いはない。」
舌打ちして離れて行く聖君。
「…お前、今懇意にしている人のそばで暮らしいてるらしいな。」
「そうですが…。」
「その男性、二条と言うのか?」
それがどうかしたのだろうか?
「お前、騙されてるぞ。」
「…え?」
「何歳になってもお前は馬鹿だな。この前、その二条という奴が家にきた。」
紫苑さんが水野に…?俺に関わること?
「両親たちと話していたのが漏れて聞こえたが、お前のことを売る気だったぞ。」
嘘だ。
売る気なのは親でしょ?だって紫苑さんはあのクソどもにお金払って俺を居候させてくれてるじゃん。
「…そんな嘘をわざわざ言いにきたの?俺には、響かないよ。」
「夏までに杏を売る。これが本当だったら滑稽だな。お前は信じてる人に裏切られるんだから。そう、言っていたのは二条だから。本人に聞いてみろよ。」
きっと嘘。
だって紫苑さんがそんなこと言うはずない。
この前だって俺に気持ちを伝えてくれたじゃないか。
…でも本当だったら?
俺は、また売られるのか?
「なんで…何で俺に言おうと思ったの?俺がこうなるのを見にきたの?」
「気まぐれだ。」
蓮はそのまま立ち去り、俺はずっと上の空のまま家に帰った。
気がついたら、聖君は帰っており、紫苑さんと夕飯を食べ終わった頃だった。
「何かあったのか?」
「あ…。」
聞けなかった。
本当に俺を売るのか。
もし、本当だったら俺はどうすればいいかわからない。家にも帰りたくないのにここにもいれなくなるなんて無理だ。
でも、蓮の顔は嘘をついているような顔じゃなかった。
俺はどうすればいい?
紫苑さんを信じたいけど、信じきれない俺がいる。
あぁやっぱりって思っている俺がいる。
考えれば考えるほど出てくる不安が俺の心に根を生やしていく。
聞けばいい。けど、答えが怖い。
新学期が始まったばかりなのに幸先のいいスタートじゃなくなったなと思った。
「杏。いくぞー。」
「うん。聖君今行く。それじゃあ、先生さようなら。」
「うん、また明日ね。」
新学期が始まり、また聖君と登校し始めた。
登下校の車の運転も変わらず。
少し変わったのは帰りの車には聖君と一緒に乗って紫苑さんの部屋で紫苑さんが帰ってくるまで一緒に過ごすようになった。
何でも近頃は治安が悪いらしい。
そうなんだー。で終わってしまったけど。
職員玄関から出て少し先にある駐車場へ向かう。
すると校門のそばに見覚えのある立ち姿の男性がいた。
「聖君…ちょっと待ってて。」
「あ?一緒に行く。」
心強い味方と共に男性のそばへ行く。
「あの…なんで…ここにいるの?…蓮。」
「お前に話がなければこんな学校には来ない。」
この地域でトップの進学校の制服を纏った蓮は見ないうちにαらしい凛々しい男性になっていて俺とは大違いだ。
「そう…だね。」
「君は少し離れていてくれないかな?家族以外に聞かせたくない話なんだ。」
聖君にそう言う蓮。
「杏。大丈夫か?」
「うん。待っててくれる?」
「すぐそばにいるから何かあったらすぐこい。あんた、変なことすんなよ?」
「君に言われる筋合いはない。」
舌打ちして離れて行く聖君。
「…お前、今懇意にしている人のそばで暮らしいてるらしいな。」
「そうですが…。」
「その男性、二条と言うのか?」
それがどうかしたのだろうか?
「お前、騙されてるぞ。」
「…え?」
「何歳になってもお前は馬鹿だな。この前、その二条という奴が家にきた。」
紫苑さんが水野に…?俺に関わること?
「両親たちと話していたのが漏れて聞こえたが、お前のことを売る気だったぞ。」
嘘だ。
売る気なのは親でしょ?だって紫苑さんはあのクソどもにお金払って俺を居候させてくれてるじゃん。
「…そんな嘘をわざわざ言いにきたの?俺には、響かないよ。」
「夏までに杏を売る。これが本当だったら滑稽だな。お前は信じてる人に裏切られるんだから。そう、言っていたのは二条だから。本人に聞いてみろよ。」
きっと嘘。
だって紫苑さんがそんなこと言うはずない。
この前だって俺に気持ちを伝えてくれたじゃないか。
…でも本当だったら?
俺は、また売られるのか?
「なんで…何で俺に言おうと思ったの?俺がこうなるのを見にきたの?」
「気まぐれだ。」
蓮はそのまま立ち去り、俺はずっと上の空のまま家に帰った。
気がついたら、聖君は帰っており、紫苑さんと夕飯を食べ終わった頃だった。
「何かあったのか?」
「あ…。」
聞けなかった。
本当に俺を売るのか。
もし、本当だったら俺はどうすればいいかわからない。家にも帰りたくないのにここにもいれなくなるなんて無理だ。
でも、蓮の顔は嘘をついているような顔じゃなかった。
俺はどうすればいい?
紫苑さんを信じたいけど、信じきれない俺がいる。
あぁやっぱりって思っている俺がいる。
考えれば考えるほど出てくる不安が俺の心に根を生やしていく。
聞けばいい。けど、答えが怖い。
新学期が始まったばかりなのに幸先のいいスタートじゃなくなったなと思った。
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