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第61話
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高速に乗り1時間半くらい経ったころ、車はサービスエリアに止まった。
「飯の時間だから飯食うぞ。」
「…こんな人が多いところでご飯食べて大丈夫?紫苑、敵多いでしょ?」
「ここのサービスエリアにもう警備が待っている。よって労ってあげたあげた方がいいだろ?」
「うん。でも、俺今食べたいのないから紫苑の見てていい?」
「うどんでも食べない?」
「……一杯は食べれないよ?」
「俺がうどん食うから俺のあげる。」
「うん、じゃあもらおうかな。」
「少しでも食べることが大切らしいからな。足りない分は点滴でも打ってもらえ。」
「うん。頑張って食べるようにする。」
サービスエリアのフードコートに初めてきたからかいろんなもの、周りのものが新鮮で紫苑の服を握りながらきょろきょろしていた。
紫苑はサービスエリアの至る所に組の人がいると言っていたけど、それらしき人を見つけることはできなかった。
「紫苑、本当に警備の人いるの?」
「あぁ。あそこの席に座っている奴もそうだぞ。」
紫苑が教えてくれた席に座っている人は周りの人に溶けていて全く裏世界の人とは思えなかった。
「てっきりスーツとか柄物のTシャツとか着てると思ってた。」
「なんだそれ。」
「紫苑の家で読んだヤクザの漫画はそうだったんだもん。紫苑の部下さんたちはビルのお料理班の人たちとしか会ってないし。」
「今度こそ本家に連れて行くからもう少ししたらたくさん会えるぞ。会いたいのか?」
「うん。紫苑の大切を知りたい。」
紫苑が部下さんたちにあんまり紹介したがらないのは俺の信用が足りないからだと思っていたけど、そうじゃなくて紫苑が俺のそばにいる状態で紹介できないから心配というか、杏のそばに俺がいれないのに部下さんたちはいれるのはずるいだろという考えだったらしい。
つまるところ嫉妬していた。
想像に。
「俺から離れるなよ。」
「うん。ずっと離れない。」
「そうしてくれ。杏が自分から消えるのはもう耐えられない。」
「ごめんね紫苑。」
「いや、いいんだ。それよりうどんを食べよう。」
力が弱い俺はフォークでお椀半分程度のうどんをつつく。
紫苑は大盛りを頼んでいた。
食べるの早いし、たくさん食べるから本当にすごいと思う。
病院でもいつもコンビニのお弁当にもう2個ぐらいパンを夕飯時には食べていた。
なんでも、一日中書類仕事だなんだとするとお腹がものすごく空くらしい。
徹さんは、太らない体質なのが羨ましいって言っていた。
俺も、そう思う。太らない体質の人って脂肪になるエネルギーが別に使われているのかな?
「飯の時間だから飯食うぞ。」
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「うどんでも食べない?」
「……一杯は食べれないよ?」
「俺がうどん食うから俺のあげる。」
「うん、じゃあもらおうかな。」
「少しでも食べることが大切らしいからな。足りない分は点滴でも打ってもらえ。」
「うん。頑張って食べるようにする。」
サービスエリアのフードコートに初めてきたからかいろんなもの、周りのものが新鮮で紫苑の服を握りながらきょろきょろしていた。
紫苑はサービスエリアの至る所に組の人がいると言っていたけど、それらしき人を見つけることはできなかった。
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紫苑が教えてくれた席に座っている人は周りの人に溶けていて全く裏世界の人とは思えなかった。
「てっきりスーツとか柄物のTシャツとか着てると思ってた。」
「なんだそれ。」
「紫苑の家で読んだヤクザの漫画はそうだったんだもん。紫苑の部下さんたちはビルのお料理班の人たちとしか会ってないし。」
「今度こそ本家に連れて行くからもう少ししたらたくさん会えるぞ。会いたいのか?」
「うん。紫苑の大切を知りたい。」
紫苑が部下さんたちにあんまり紹介したがらないのは俺の信用が足りないからだと思っていたけど、そうじゃなくて紫苑が俺のそばにいる状態で紹介できないから心配というか、杏のそばに俺がいれないのに部下さんたちはいれるのはずるいだろという考えだったらしい。
つまるところ嫉妬していた。
想像に。
「俺から離れるなよ。」
「うん。ずっと離れない。」
「そうしてくれ。杏が自分から消えるのはもう耐えられない。」
「ごめんね紫苑。」
「いや、いいんだ。それよりうどんを食べよう。」
力が弱い俺はフォークでお椀半分程度のうどんをつつく。
紫苑は大盛りを頼んでいた。
食べるの早いし、たくさん食べるから本当にすごいと思う。
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