悪役令嬢の番犬~かつて悪役令嬢の取り巻きだった私は敵になってでも彼女を救ってみせる~

うにたん

文字の大きさ
3 / 40
1章 追放

第三話:国外追放①

しおりを挟む
 私たちは馬車に乗り隣国を目指していた。王都から七日程かかる距離でそろそろ道程の半分に差し掛かるころ。

 やることもなくて窓の外を眺めていた。

「天気は悪く雨が降っており、まるで私たちの心模様を表しているようだった。」

「マルグリット? あなた、突然何を言い出してるの?」

 はっ、つい心の声が!
 
 フィルミーヌ様は綺麗な姿勢のまま、ジト目でこちらを見つめてくるが、これはこれでご褒美だと思っている。

「あなた、本当にこの三年間で性格がガラッと変わったわよね。初めて会った時は周りがたてる音にすぐ反応してビクビクする子犬みたいだったのにね」

「!!!」

 言い方の違いはあれども、やっぱり私の犬扱いは変わらないんだ……。
 
 イザベラは何かを思い出したかのように口元をにんまりさせながら首を縦に振っている。出会った当初の私を思い出しているのだろうか。そんなにニンマリする程に何を思い出しているんだ? 君は!
 
 フィルミーヌ様は口を押えながら思い出し笑いをしている。可愛すぎか、やっぱりあの王子にこの人は勿体なさすぎる。
 
 まあ、学園に入る前の性格を思い出したら自分でもびっくりするくらい今と性格が百八十度変わっているという自覚はありますがね。
 
 そう、きっかけとなったのは一年生の頃……

「ぽわんぽわんぽわん」

「マルグリット?」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 これは私がフィルミーヌ様、イザベラと行動を共にするようになった直後辺りの話。


「あれ、今何時だっけ?」

 昔から体が弱く、外にあまり出ない私は本の虫だったので実家にいた時からお父様の書斎から本を引っ張り出しては読み耽っていた。
 
 それは学園に入ってからもあまり変わっておらず、暇を見つけては図書室に籠って本を読んでいた。
 
 あまり周りに馴染めなくて不憫に思ってくれたのか、最近仲良くして頂いているフィルミーヌ様からお茶に誘われていたので、時間まで本でも読んでいたところ読みすぎてしまったのか時間がギリギリになってしまっていた。

「じ、時間!時間ががが! お、お、お、遅れちゃったら、ど、ど、ど、どうしよう!! と、とにかく急がないと!」

 私は慌てて図書館を出る。学園のルール上走ってはいけないと言われていることは知っているが、フィルミーヌ様を待たせてしまう方が大問題だと思っていたので人目につかないところは体力の続く限り走る。教師を見かけたら早歩きでごまかす。そうして待ち合わせ場所付近に差し掛かったところ男女の声が聞こえてきた。

「そう言わずに、上級貴族同士の交流は必要ではありませんか?」

「学園にいる間は上級も下級も貴族も平民も関係ありません。わたくしは、先約がありますとお伝えしたはずです。」

 この声はフィルミーヌ様? よかった、間に合ったんだ。でも声にちょっと落ち着きがない。どうしたんだろう?

「あなたにいつも付きまとっている伯爵家と子爵家の令嬢ですよね。であれば、侯爵家である私の方を優先するべきかと」

「わたくしの大切な友人に対して、そのような失礼な物言いはやめて頂けませんか? わたくしが彼女らをお誘いしてたのです。わたくしにとっては最優先事項といってもいい大切な時間なのです。ご理解いただけませんか?」

 フィルミーヌ様の後ろに立っていたイザベラさんもすごい形相で男の人を睨んでる。こ、怖いからできればその顔をやめてほしいです。

 正直まだ人と会話も難しいのに、会話の最中に割って入るのが本当に無理なんだけど、フィルミーヌ様がすごい嫌そうというか困っているみたいだからなんとか勇気を出さないと。

「あ、あの…… フィルミーヌ様?」

「あら、マルグリットさん。お待たせしてごめんなさいね。すぐお茶の準備にしますね。ではサイモン様、失礼いたします。」
 
 割り込んできた私の声に不快感を示したサイモン?という人が私を睨みつけてくる。
 
「ん?なんだ、君は?ここは子供の来る場所ではないぞ。」
 
 ひえええええ、すごい睨まれてる。わ、わたしはちょっと発育が遅めかもしれないけど、これでも十六歳なんですって言いたいけど顔が怖くて言葉が出ない。ていうか制服着てるんだからわかってくださーい。
 
「マルグリットさんはれっきとした私たちと同じ十六歳ですよ。見た目だけで女性を判断しようなど失礼ですよ。謝ってください」

 フィルミーヌ様が困ってらっしゃるし、怒ってらっしゃる。わ、わ、わ、わたしのせいだー。どどどどどどうしよう。
 
「はぁ…… いいかい、小さなレディ。私たちはこれから国の未来を考えた話し合いをしなければならないんだ。だからおままごとは他でやりたまえ」

 サイモン?は呆れた表情でフィルミーヌ様の腕をつかもうとする。婚約者がいる女性に対する扱いじゃない。と、と、と、止めないと

 私は腕を広げてフィルミーヌ様を庇う様にサイモン?とフィルミーヌ様の間に割り込む。
 
「め、め、め、迷惑です。フィ、フィルミーヌ様には、そ、その…… こ、婚約者がい、い、いらっしゃるんですよ。か、か、か、関係ない男性がさ、触ろうとしないで、く、く、ください」

 言っちゃったー、もう取り返しがつかなーい。サイモン?が怒りのオークの様な表情をしているー! ていうか本で見たオークそのものだー
 
「こ、このクソガキ」

 あー、わたし死んだかも…… さようなら、お父さま、お母さま、お兄さま、先立つ不孝をお許し……
 
「何を騒いでいる!」

 ハッ、先生の声?
 
「あ、あ、あ、あの! こ、こ、このオーク……じゃなくてさ、サイモン?様がフィ、フィルミーヌ様に手を出そうと」

 フィルミーヌ様は私の言葉を一言一句きっちり聞いていたみたいで『オーク』という単語に反応して口に手を当てて声を殺して笑っている。
 
 イザベラさんも笑いを堪える為か壁に頭を打ち付けている。令嬢のすることじゃないよ、それ。
 
 完全に失敗した。オーク(多分)を見てみると顔を真っ赤にして私を睨んでいる。先生がいなかったら、ここでオーク(候補)に絞殺されていたに違いない。
 
 先生は状況を理解したのか、ため息をついてサイモン?を『コイツ、またかよ!』みたいな表情で見ながら呆れている。
 
「サイモン君? 君はこっちに来て私の仕事を手伝いたまえ」

「なっ、先生!違うんです、これは」

 オーク(ほぼ確定)は動揺しながら先生に言い訳をしようとするが先生が制止する。

「二度は言わん、早くしたまえ」

「クッ」

 オーク(確定済)は忌々しそうに先生についていく際に私の横を通り過ぎると私だけに聞こえるように小さな声で話しかけてきた。
 
「覚えておけ」

 ひえええええ、私やばいのに目をつけられちゃったかも…… ど、ど、ど、ど、どうしよう。や、や、やっぱりグラヴェロット領にか、帰るしかあああああ
 
「フフフッ、あなた、面白いのね。人前で笑ってしまうなんて淑女としては反省しないといけないわね」

 イザベラさんはフィルミーヌ様の肩に手をおいて『今のは仕方ない』とでも言いたそうに満面の笑みで頷いている。

「私の前に立ってくれた時、とってもかっこよくて素敵だったわ。騎士様かと思ってしまったもの」

 き、騎士? わ、わたしが? で、でもわ、わたしにとってはボッチから救ってくれたフィルミーヌ様こそが私の騎士様だから……
 
 そんなわたしでもフィルミーヌ様のお役に立てるのであれば騎士になりたい。お役に立ちたい。か、変わりたい
 
 違う、変わらないといけないんだ。わたしがフィルミーヌ様の本当の騎士になるために!
 
 この日を境に私は体を鍛え始めたのだ。願いを現実にするために
 
 
………
……



◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「戻りました。」

「どこから?」

 フィルミーヌ様は不思議そうな顔をして私を見ている。私の事を見つめたまま時が止まってしまえばいいのに。と、思ったことは一度や二度はありません。
 
 しかし、このままではいけない。妄想から戻りましたなんて恥ずかしくて言えない。一旦無理やりにでも話をそらさないと。

「パラスゼクルについたら、生活費をまずは稼がないといけませんね」

 私は国を渡った後の事を考えなければならない。フィルミーヌ様に不自由な生活などさせられない。可能な限りお金を稼いで、できる限り良い宿泊施設にお連れしないといけない。
 
 そして、ここで間違えてはいけないのが、泊まる部屋は一部屋。ベッドは二つの部屋。何故って? 一つはイザベラに使用してもらって、もう一つは「フィルミーヌ様を(ベッドの中まで)お守りしないといけませんから」とかいいつつ一緒のベッドに入っちゃう的な?
 
 フフッ、フフフッ、かんっぺきね!なーてんいう考えをしていたらイザベラに肩を叩かれた。
 
「ん? どうしたの? イザベラ?」

 イザベラは諭すような顔をして首を左右に振り、私に訴えかけるのだ。『黙っておくから考えを改めなさい』とでも言いたげだ。私の心を読まないで貰えますか?

「せめて実家によって自分のお金でも持ってこれればよかったんだけど、取りに行くこともできない状態だし。」

「大丈夫ですよ。私は冒険者登録をしてますから、すぐにギルドに向かって終わりそうな依頼を受けて、先ずは生活費をサクッと稼ぎましょう」

「あなたばかりに苦労をかけてごめんなさい。足を引っ張ってしまうわね。こういう時に何もできないなんて本当に情けない。」

 フィルミーヌ様は申し訳なさそうにしているが、とんでもない。あなたの為に働くことこそわが喜び。
 
 番犬たる私にお任せくださいと言おうか迷ったが、自ら犬呼ばわりとは負けた気がするので言わないでおこう。

「あれ、そういえば急に暗くなってきましたね。」

「そうね。今は森の中だから星の光も届かないし余計に暗く感じてしまうのかもしれないわね」

 不気味だ。嫌な予感がする。はっ、これはフラグか!

 そんなたわいもない話としょうもない考えををしていたところ、急に馬車が止まってしまった。
 
「「キャッ!」」

「!!!???」

 御者に文句のひとつでも言ってやろうと窓を開けてみたら御者台に誰もいない。
 
 どうして? 森のど真ん中で? 嫌な予感がすると思い、周りを探ってみるとやっぱりだ。人の気配はする。
 
 でも、これは…… 思ったより人数が多い…… とかいうレベルじゃない。

 木の陰から現れたのはどう見ても見た目も服装も汚らしい盗賊といえばいいのか。

 今目に見える範囲だけでも五十人はいる。気配自体はもっとある。
 
 リーダー格であろう赤い服を着た盗賊が前に出てきた。不気味にうすら笑いをうかべながら呟いた。
 
 
「荷物はいらねえから、命だけおいてけ」
 

あ! やせいの とうぞくがたくさん とびだしてきた!







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

処理中です...