【五章完結】サラリーマン、オークの花嫁になる

花房いちご

文字の大きさ
59 / 129
第三章エルフ、オークの花嫁になる

エルフ、オークの花嫁になる【24】

しおりを挟む
 これで色々と終わった。と、思ったが、私はまた体調をくずしてしまう。というか、色々な事を自覚して興奮した途端、高熱を出したのだ。

「あわ……あわわわわわ!グイドに名前よばれれれ……裸みられ……いや、抱かれちゃっ……あばばばばば!」

 いつの間にか名前を呼び合っているは、裸を見られた上に抱かれているはで、私は混乱していた。二百歳にもなって落ち着きがないが、仕方ない。

「も、もう死んでもいいぃ!しあわせええ!」

「不吉なことをいうな!レグレースが死んだら俺も後を追うからな!って違う!医者は安静にすれば治るって言っただろうが!」

 グイドも混乱していたが、しっかり看病してくれた。お陰で翌日には熱が下がったし、寝台から降りられるようになった。
 グイドは心配だと言って私を再び寝台に戻し、お医者さんを引きずって帰ってきた。速やかに診察を受ける。

「大事をとってあと十日は安静にして下さい」

「え?でももう平気です。事後処理もあるでしょうしお手伝いを……」

「平気じゃない!手伝うな!食って寝てろー!」

「そうですよ。しっかり食べてゴロゴロしてなさい。この村の全員がそう願っていますよ」

「村の皆様の願い、ですか?」

 お医者さんはにっこり笑った。

「皆、ゴブリンマスターを退治してくれた貴方たちに感謝しています。そして、それ以上に心配しています。しっかり回復してから顔を見せてやって下さい」

 私の胸は熱くなり、安堵と喜びでいっぱいになった。涙がこぼれる。この村に来て、本当によかった。優しい方々ばかりだ。

「あとそれまで性交禁止です。ちょんぎりますからね。二人とも」

「「ヒッ!」」

 グイドと共に股間を押さえて震えながら頷いた。
 訂正。この村の方々は優しく、頼もしく、時にとても厳しいようだ。

 ◆◆◆◆◆

 その後、たくさんの人がお見舞いとお祝いに来てくれた。中にはグイドとの結婚を泣いて祝福してくれる人たちもいて、ジンとした。

 《いや、失恋の涙だよ。泣き叫んでいる奴もいたじゃん》

「俺もそう思う。レグレース、誰とも二人きりで会うなよ?」

「またまたー。二人とも大袈裟なんですから」

「レグレース……」

 《駄目だこりゃ。花婿さん、頑張って》

 風の精霊の言葉に、グイドは頷く。本来、オークであるグイドは精霊を見聞きできないが、この風の精霊だけは例外となった。

「任せてくれ。俺自身もレグレースを守りたいし、風の精霊には返しきれない恩がある」

「恩があるのは私です。風の精霊、貴方には本当に苦労をかけました」

 私がゴブリンに攫われた時、風の精霊はセリオリス様たちを迎えに行く手筈になっていた。しかし、風の精霊は誰にも知らせずに向かう事ができなかった。
 風の精霊はグイドに魔法をかけ、自身の姿と声を見聞きできるようにした。その上で私がゴブリンに攫われたことと、ゴブリンの向かう先が迷いの暗森であることと、私を見つけるための手段を教えてくれたのだ。

 《あのままじゃレグレースが危なかったからね。まあ、僕が好きでやったから気にしなくていいよ》

 ふふん。と、得意げに胸を張る風の精霊。風の精霊の行動がなければ、あそこまで早く解決しなかっただろう。おまけに隠しているが、かなり力を消耗して消滅しかかったのだ。

「毎日、花の露と魔石を用意しますね。これからもよろしくお願いします」

 花についた朝露や夜露、魔石が発する光は風の精霊の好物だ。

「俺からも頼む。一緒にレグレースを守ろう」

 風の精霊は少し頬を染め《仕方ないなあ。いいよ》と、言ってくれたのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

苗床になった元騎士

鵜飼かいゆ
BL
引退した元騎士の老人が触手に寄生されて若返って苗床になるラブラブハッピーエンド話です。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

異世界から戻ってきた俺の身体が可笑しい

海林檎
BL
異世界転生で何故か勇者でも剣士でもましてや賢者でもなく【鞘】と、言う職業につかされたんだが まぁ、色々と省略する。 察してくれた読者なら俺の職業の事は分かってくれるはずだ。 まぁ、そんなこんなで世界が平和になったから異世界から現代に戻ってきたはずなのにだ 俺の身体が変なままなのはどぼじで??

処理中です...