狼は腹のなか〜銀狼の獣人将軍は、囚われの辺境伯を溺愛する〜

花房いちご

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ファルロの蜜月【2】*

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 ラズワートの裸体は引き締まって逞しく瑞々しい。そして、幾つもの古傷が走っていた。左腕の傷に当てられた布と隷属の首輪は忌々しいが、それ以外はどこもかしこも美味そうだ。特に、形のいい逸物は触ってもいないのに半勃ち状態で、ファルロを惹きつけた。紺色の下生えが汗とこぼれた先走りで濡れている。唾液が湧いて仕方ない。

(ラズワートも興奮している。感じてくれている。嬉しい。もっと感じて欲しい)

 ファルロは口を開いた。人間よりも分厚く長い舌を出す。舌からはだらりと唾液が垂れ、ラズワートの隷属の首輪を濡らした。鎖骨から胸へと舌を這わせる。ねっとりと舐めまわし、ラズワートの感じる場所を探る。若い身体はピクピクと揺れ、くぐもった声が上がる。

「っ……ぅ、ん……ぐっ……う……くっ…んんっ……ひぁっ?」

 声を殺そうとするラズワートの口に片手の指を入れる。睨まれたが抜かない。

「ラズワート、どうか貴方の声を聞かせてください」

 全てを暴きたい。胸の弾力を楽しむように舌を這わせ、揉みしだき、まだ芯のない小さな乳首と乳輪を摘んだりしゃぶったりした。

「んぁっ!あぁっ!そこっ……!」

「ああ、乳首を愛されるのがお好きですか。もうこんなに固くなっている」

「いうっ……なあっ……!あああっ!な、なんれっ!むね、こんなに!」

 ラズワートは身体をビクビクと跳ねさせ、ファルロの頭を抱いて身悶えた。逸物が服越しにファルロの腹筋に擦り付けられ、染みを作っていく。
 ラズワートは、妻帯していたとはいえ二十八歳。まだ若い。閨事の経験は浅いだろうと予想していたが、予想以上だ。しかもかなり感じやすい。経験豊富な悪い大人はほくそ笑んだ。

「ああ、こちらばかりでは辛いですか」

 ファルロはラズワートの胸と口を解放して身をずらし、反り返った逸物を口内に招いた。唇を窄め、頭を前後に動かしてしゃぶる。

「あついっ……!ファルロ!ああっ!だ、だめだ……!ぐっ……うっううっ!で、でるっ!」

 ラズワートの手が引き離そうとするが、逃さぬよう限界まで深く咥え込んだ。喉を使って根本まで咥え込むと、下生えが肌に当たった。生々しい感触に夢中になる。
 間もなく、青臭く苦い精液が吐き出された。ファルロは喉を鳴らして飲んでいく。一夜の遊び相手や男娼の精液を口にしたことはないが、ラズワートの精液は別だ。不快なはずの匂いと味に陶酔した。
 射精が終わり逸物が萎えていく。口を離して、鈴口や幹に残った精液を吸い、舐めしゃぶった。

「この……なんて、ことを……」

 ラズワートは快楽の余韻に浸りながら、羞恥と怒りのこもった目でファルロを睨んだ。少し涙目なのが色っぽい。ファルロはにっこりと微笑む。

「ご馳走様です。気持ちよかったですか?」

 ラズワートは真っ赤になって答えないが、逸物はまた少し芯をとり戻した。どうやらラズワートは、羞恥が快楽になる性質らしい。しっかりと記憶した。

「ラズワート、答えてください。私は貴方の嫌なことをしたくない。気持ちよくなって欲しいんです」

 懇願の意を込め、脚に唇を落とす。軽く吸い付くようにすると、金混じりの青い目がとろりと潤んだ。

「きもち……よかった」

「よかったです。もっと気持ちよくなれるよう頑張りますね」

「……俺もお前を気持ちよくしたい」

 眼差しがファルロの股間に向けられた。いじらしい。ファルロはその手を取り、甲に口付けた。

「では……触ってくれますか?」

 ラズワートは素直に頷いた。ファルロは身を起こし、手早く夜衣を脱ぎ捨てた。ラズワートの痴態で芯を持った逸物が揺れる。

「っ!」

 ラズワートが息を呑む。無理もない。人間のモノとは、大きさも形も違う。一回りは大きく、血管が浮いた幹の根本は丸く膨らんでいる。再び手の甲に口付けながら懇願する。

「怖いですよね。でもどうか、少しだけでも触って下さい」

 ラズワートは手を振り払って鼻で笑った。

「お前なんか怖くない。……じっとしてろ」

 いつも剣を握っていたあの手、ラズワートの固く骨張った手が、とうとうファルロの逸物に触れる。
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