狼は腹のなか〜銀狼の獣人将軍は、囚われの辺境伯を溺愛する〜

花房いちご

文字の大きさ
31 / 65

ファルロの蜜月【8】*

しおりを挟む
 静々と降り積もる雪のように、互いの想いと過去が重なる。そんな穏やかな日々を過ごす内に、本格的な冬になった。降り積もる雪は厚くなり、距離はあるが雪嵐の声と風が常に響き渡る季節。
 その頃になると、ラズワートはすっかり閨事に慣れていた。もともと、向上心と対抗心の強い性格だ。ファルロの手管を吸収し、時に翻弄するまでになった。特に口淫は巧みだ。

「ふっ……!うぅ……!」

「ん……いいか?ファルロ……」

 今も、ファルロは込み上げる喘ぎ声を堪えるので精一杯だ。寝台の上で半身を起こしているファルロの股ぐらに、ラズワートがむしゃぶりついて奉仕している。もう二回も射精しているのに、逸物は張り詰めていた。

「いぃっ……!ぐっ……ラズ、ワート!」

 ラズワートはにんまりと笑い、舌でグチュグチュと鈴口をくすぐる。ただ舐めるだけではない。欲望を掻き立てる舌使いだ。音も計算の内だろう。気をやりそうになった寸前で、すっかり巧みになった舌が散々いじめた鈴口から舌を外し、ぱんと膨れた根元のコブを舐めて唇で食む。優しく、焦らすように。

「くぅ!おぉっ!」

 逸物がさらに反り上がる。ラズワートは唇をずらして竿を擦り、舌で舐め上げ、たどり着いた亀頭を頬張った。

「ぐるるっ!……良い……眺めで……!貴方が、こんな……くっ……淫らな……っ!」

 ちゅっと吸い付いてから唇が離れた。逸物に頬擦りしながらラズワートは挑発した。

「はぁ……。俺に……仕込んだのはお前だろう?……なあ、今度は俺のどこに出したい?」

「っ!……あなたの、背中に……!」

 ラズワートは顔を曇らせた。

「……まだ挿れないのか?せっかく、こんなに膨れて固いのに……今夜も尻は準備してあるぞ?お前が散々いじって拡げたから……なあ、疼くんだ」

 幹をちゅっちゅと口付け、自らの指で尻穴を慰めながら言う。たっぷり仕込まれた香油の淫らな音が響く。最初はあった恥じらいは最早どこにもない。ファルロは危うく理性を喪いかけた。歯を食いしばって耐える。そんなファルロを、ラズワートの舌使いが更に追い詰めていく。

「なあ、挿れてくれ。お前で中をいっぱいにしたいんだ。お前の指と舌でたっぷり慣らしたのもその為だろう?」

「いっ!ぃ……わたしも、いれたい……!ですが……」

「なんだ?理由があるのか?ん?言ってみろ」

 言いつつ、ラズワートはクチュクチュ、ちゅうちゅうと亀頭を愛する。

「……っ!な、なめ、ないでくださっ!ちゃんと話したい!」

 ラズワートは大人しく舌を外した。ファルロは深呼吸してから告げる。息は荒いままだったが、何とか話せた。

「あと三日で、貴方に帝国民籍が発行されて隷属の首輪が外れます」

「そうだな。それが?」

「私の番として記録されますが、番を拒否した場合も身分は保証されます。……私は、その上で改めて貴方に求愛します。繋がるのはそれからがいいかと……」

 こう考えるようになったのは最近だ。ちゃんとラズワートと相談していなかった事を謝罪した。

「もっと早くお話するべきでした。対等な立場で、魔法が使えて拒否ができる状態で、改めて私の想いを受け入れて欲しいという我儘で……ラズワート?」

 ラズワートは真っ赤になって黙り込んでいた。どう見ても照れている。あんな淫らで巧みな口淫と誘いをしていたというのに、今さら何故だ。
 ラズワートはしばし固まっていたが、急に動き出した。逸物から手を離し、シーツの端をめくって身体に巻きつけ、白い塊となる。

「どうされました?やはり身勝手すぎて呆れて……」

「ばか」

「え?」

 白いかたまりが、もぞもぞ動きながら話す。

「お前は馬鹿だ。俺の事を好きすぎて恥ずかしい。普段はデレデレの癖に、いきなり歳上らしい包容力を発揮しやがる。こんなに大事にされると、どんな顔をしていいかわからん。……だから、馬鹿だ」

 この時ファルロは、目の前の生き物が愛しすぎて呼吸が止まるという初めての経験をした。

「ラズワート!可愛い!好きです!顔を見せて下さい!」

「やだ。……あっ!こら、触るな!んんっ!」

 ファルロはシーツを剥がして愛しい生き物に口付け、全身を愛でた。やがてラズワートも素直に受け入れ、尻の割れ目でファルロの逸物を愛撫し射精を促したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。  そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。   最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

処理中です...