ストーリー・フェイト──最強の《SS》冒険者(ランカー)な僕の先輩がクソ雑魚美少女になった話──

白糖黒鍵

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ARKADIA──それが人であるということ──

ARKADIA────もう充分さ

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「リズ。今状況はどうなってる」

 場所は打って変わり、冒険者組合ギルド輝牙の獅子クリアレオ広間ロビー

 急遽今回の第四の『厄災』──『理遠悠神』アルカディア討滅戦により、それにおける作戦本部となったそこでは、現在『輝牙の獅子』に所属する全受付嬢を総動員させており、『鋼の巨人メタイツ』ガラウ=ゴルミッドと『虹の妖精プリズマ』、『三精剣』及び『大翼の不死鳥フェニシオン』クラハ=ウインドアらを筆頭リーダーにした、冒険者ランカー部隊を全力で補助する為、本格的に交戦が始まった時から忙しくなく動き回っていた。

 そんな受付嬢たちをまとめ上げ、逐一的確な指示を飛ばすのは、同じく受付嬢たるリズティア=パラリリス。ここだけの話ではあるが最近三十路を迎えたばかりの彼女だが、『輝牙の獅子』GMギルドマスター、アルヴァ=クロミアから全幅の信頼を置かれており、後輩である他の受付嬢からも慕われている、誰もが認める『輝牙の獅子』の受付嬢長である。

 他の受付嬢から舞い込んでくる大量の報告を順次捌き整理すると同時に、己も数十個に及ぶ魔石から流れ込む、最新の戦況や情報の確認も行なっている。常人であればとっくのとうにパンクしている仕事量を、リズティアは日常いつもと変わらない顔で、変わらない様子でこなしていた。

 そんな時、不意にアルヴァからそれを訊ねられ、だが予めわかっていたかのような滑らかさでリズティアは答える。

「はい。戦況の方ですが、こちらが優勢です」

「……それは本当かい?」

 リズティアの返事に対し、胡乱げな反応を見せるアルヴァ。それも無理はない──何故ならば今冒険者たちが相手にしている魔物モンスターは〝殲滅級〟最上位個体で、最前線で戦っているガラウや『三精剣』、クラハならばともかく他の冒険者など、確実な策を取らなければとても太刀打ちできない。しかもそれがこちらの全戦力を大幅に上回る、千体もいるのだ。

 本来であれば苦戦必須────万が一にも、こちら側が優勢になることはありえない。……そのはずだった。

「どうやら、今交戦している魔物は魔力量こそ〝殲滅級〟最上位と称しても断じて間違いないのですが、戦闘の様子を見る限り動作こそ素早いものの単調で見切り易く、また耐久力も並以下のようなんです。……現に、ガラウ=ゴルミッド様、『三精剣』の皆様が既に二百体近くの数を倒していますし、クラハ=ウインドア様の指揮下で戦っている《A》冒険者たちも対処できています。そしてクラハ=ウインドア様本人も魔物を何体か倒しました」

「…………そう、か」

 リズティアの報告を受け、渋々といった様子でアルヴァはそう返す。……だがその内心では、如何とも言えぬ不安を抱いていた。

 ──弱いんだったら、別にそれに越したことはない。ないが……何か、嫌な予感がするね。

 そして彼女は考える。ここは一旦彼ら冒険者部隊を退がらせるべきではないかと。考えて──だが、次にはその考えを頭の中から振り払っていた。

 ──今、あの子たちを退がらせる訳にはいかない。一応住人はこの辺りに全員避難させたが、一人だって犠牲を出す訳にはいかない。心苦しいが、ここは踏ん張ってもらうしか、ない……。

 それでも、一度こびりついてしまった不安は拭えず、アルヴァは浮かない表情をする──その時だった。



「なあ、アルヴァ」



 と、不意にそんな声がアルヴァの背後からかけられた。咄嗟に振り返って見れば、そこには神妙な面持ちの、紅蓮の髪の少女が立っていた。

 彼女の────否、の名はラグナ。ラグナ=アルティ=ブレイズ。恐らくこの世界オヴィーリスに生きる人間の、大半に知られている名前だろう。

 この世界最強と謳われ、誰からもそうだと一片の疑いもなく認め信じられていた三人、《SS》冒険者ランカーの一人にして、その戦いぶりから『炎鬼神』と称されていたが、今や訳ありの事情があってこのような、最初と比べればだいぶマシになったものの、かつての強さとは程遠い可憐な少女となってしまっている。

 そんなラグナの顔を見て、アルヴァはスッと瞳を細める。

 ──只事、って訳じゃあなさそうだね……。

 そう心の中でラグナに呼びかけられた理由の推察を立てながら、アルヴァが口を開く。

「どうした『炎鬼神』。アンタにしては珍しい顔色みたいだけど、何かあったかい?」

「……いや。そういう訳じゃ、ねえんだけど」

 そう言いながらも、アルヴァの瞳から逃れるようにラグナは視線を逸らして口を閉じてしまう。が、意を決したようにその琥珀色の瞳を、彼女の方にきちんと彼は向けた。

 向けて、閉じてしまったその口を開いた。

「こんな状況でってのはわかってるし、承知の上だ。……ちょっと、いいか?」

「……」

 ラグナの琥珀色の瞳を見ながら、アルヴァは観念するように小さく静かに息を吐く。

 ──……そういや、昔からこの子は妙に鋭いというか、勘が良かったんだっけね。

 心の中でそう呟いて、アルヴァはポンとリズティアの肩を叩いた。

アタシはちょいと席を外す。すぐ戻って来るから、その間ここは任せたよ」

「っえ?ちょ、GMギルドマスター!?」

 これには流石のリズティアも悲鳴を上げるが、そんな彼女の悲鳴など無視してアルヴァはラグナの傍に歩み寄る。

「サシになりたいんだろう?。執務室に行こう」















『輝牙の獅子』、執務室。つい先程まで人で溢れそうになっていたのが、まるで嘘のように静まり返ったこの場所に、アルヴァとラグナは二人きりでいる。

「……それで『炎鬼神』。話ってのは何だい?」

 窓枠に寄り掛かりながら、アルヴァがラグナに対しそう訊ねる。彼女に訊かれ、ラグナは少しの間を置いてから、言った。

「あんた、あいつを……本気でフィーリアを倒すつもりなのか?」

 アルヴァとラグナ、二人の間に沈黙が流れる。それを最初に破いたのは、アルヴァのため息であった。

「ああ。倒す。……あの子を、討つ」

「じゃあその後あんたはどうするんだ。全部が片付いた後……終わらせた後、どうする気でいるんだ」

 そのラグナの問いかけを受けて、アルヴァは先程己が立てた推察は間違っていなかったと確信する。確信して、この執務室へ向かう道中で予め考えてあった言葉を、彼女は口に出す。

「今回の事態を招いたのは私だ。十六年前、あの子を是が非でも手放したくないと、自前てめぇの感情に流された、私のせいだ。それに、この始末にアンタたち若い衆も巻き込んじまった。……然るべきケジメをつける」

 そこまで言い終えて、アルヴァはラグナの顔を見やる。彼はこちらに、真摯な眼差しを向けていた。

 数秒黙って、アルヴァは続きを語る。

「私はあの子を独りにする気はない。一体どのくらいかかるかはわからないけれど、それでもケジメをつけ終えたら……私はあの子の元に、行くよ」

 それがアルヴァの、ラグナの問いに対する答え。対し、彼女の答えを受け、聞き終えたラグナは刹那、琥珀色の瞳に揺らぎを見せて。しかしそれを誤魔化すように口を開く。

「つまりそれって、そういうこと・・・・・・だよな?」

 ラグナの言葉に、アルヴァは黙って頷く。彼女のその仕草を見やって、一瞬だけ瞳を見開かせるが、すぐに彼女から顔を逸らし俯いた。

「……そう、か」

 そうして、二人の会話は終わった。アルヴァが窓枠から離れ、執務室から去ろうと扉へと歩き出す。

 顔を俯かせたままでいるラグナの傍を通り抜け、アルヴァは扉を開ける為にノブに手を伸ばす────その瞬間だった。

「これしか、なかったってのか……もっと他に方法とか、なかったのかよ」

 伸びるアルヴァの手を、ラグナの微かに震えるその声が止めた。

「余計なお世話だってのはわかってる。わかってるけどよ。……でも、そんなのって、あんまりじゃねえのか」

 扉の方に身体を向けたまま、ラグナに背中を向けたまま、その場で立ち止まるアルヴァ。そんな彼女に、感情の滲む声で、訴えるようにラグナは続ける。

「心の底から信じてた奴に最悪な形で裏切られて、それでも死に物狂いで守り抜いた自分よりも大切なモンを、よりにもよって自分から捨てて、そんで最後は死ぬって……あんたそれでいいのか?本当にいいのか?……だったらあんたの人生って一体何なんだよ!!!」

 そこで遂に、今の今まで必死に抑え込んでいたのだろう、ラグナの感情が爆発した。

「昔からずっとずっと傷ついて、傷ついて!そんでようやく手に入った幸せも手放して!あんた馬鹿じゃないのか!?あんたにだって幸せな人生一つくらい、送る権利あっただろうが!なのに、なのに……あんた一体この人生で何がしたかったん、だよ……!」

 ラグナの、涙に濡れた言葉を背を向け黙ったまま聞きながら、アルヴァは内心驚きを隠せないでいた。

 ──……そんなこと、よもやアンタから言われるとはついぞ夢にも思わなかったよ。

 本来ならば、そんな言葉を投げかけられても、アルヴァの心が揺れることはないし、逆に何を知っているのかと逆上するところだっただろう。だが、ラグナの場合は違う。彼はアルヴァ本人から、全てではないが彼女が送った半生を聞いた上で、そしてフィーリアとの間に何があったのか知った上で、そう訴えかけたのだ。

 ──……幸せな人生、か。

 言われて、アルヴァは思い返す。己が歩んだ、己の人生の道のりを。



 言ってしまえば、ろくな人生ではなかった。穢れの血だと、呪われし魔女の血筋だと幼い頃から、生まれ故郷で散々差別され迫害され忌み嫌われて。その末に妹諸共家を焼かれ、斧や鍬を持って目を血走らせた村人たちに追いかけられ殺されそうになりながら、故郷から命からがら逃げ出した。

 不幸中の幸いとでも言えばいいのか、こんな目に遭った原因でもある血筋のおかげで、自分は人よりも魔法の才に恵まれていた。だから故郷から逃げ出せた後は、旅をしながら用心棒紛いの仕事をして、金を稼いだ。……まあ、自分は都合の良いことに女だったから、その一本で稼いでいた訳ではないが。

 ともあれ、そうして語るに値しない生活を送り続け、五年。十七になった自分に、ある転機が訪れる。

 フォディナ大陸に伝えられる、伝説の大魔道士──レリウ。その偉大なる名を継ぐ、所謂二代目大魔道士と自分は出会ったのだ。

 話を聞けばその二代目は自分を捜していたらしい。同じ場所に留まることなく、各地を転々としながら用心棒や、人員の足りない冒険者ランカーチームの一時メンバーに入る、素性不明の、下手な一流魔道士を凌駕する女魔道士がいる──と、噂を耳にして。

 自分を捜していた二代目の目的は、ずばり後継者を育成する為。己の限界を悟り、数年前から後を継ぐに相応しい後継者を捜していた二代目は、自分に目をつけたのだ。

 どうしても弟子にしたい、弟子になってくれと懇願する二代目を、とりあえず自分は────ブチのめした。それはもう、徹底的に。二度と立ち上がることのないように。

 誰かの下に付くなど、真っ平ごめんだった。だから自分は二代目をブチのめし、そしてそのレリウの名を無理矢理奪ってやった。無論、自分がより効率良くこれまで以上の金を稼ぐ為の、知名度ネームバリューとして都合が良かったからだ。

 けれど、このレリウの名を継いだことによって、後にさらなる人生の転機が訪れることになろうとは、この時の自分はついぞ思いもしていなかった。……そしてこの二つの転機が、巡り巡ってこんな事態を引き起こすことになることも。



 ──こうして思い返せば、ろくでもない人生だったんだ。……全く、本当にろくでもない人生だったよ。

 だが、そんなろくでもない人生の中にも一握りの、ほんの一握りくらいの救いはあった。その救いが、一体どれだけ自分に生きる希望を与えてくれたことか。

 ──…………もう、充分さ。

 そう欠片程の心残り・・・をひた隠しながら、アルヴァは口を開いた。

「ありがとうね」

 背を向けたまま、ラグナに告げる。……返事はなかった。

 多少後ろ髪を引かれながらも、アルヴァは途中で止めていた手をノブに伸ばし、扉を開き執務室から出る。そんな彼女を、一人の女性が出迎えた。

GMギルドマスター!」

 女性──現場の指揮を任せたはずのリズティアがそこに立っていた。それも、血の気の引いた青ざめた顔で。酷く慌てた様子の彼女が、アルヴァに急いで告げる。

「大変です!このままでは、このままでは────

 その、報告は。

 ────冒険者ランカーたちが全滅・・します!!」

 アルヴァを動揺させるには、あまりにも容易く、充分なものであった。
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