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負の連鎖

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俺は目の前の状況を理解できなかった

橋本さんが死んだ……?

俺の大切な人を守れなかった

死神「あーあ残念でした」

そう言ってケラケラ笑う死神に殺意がわく

「そうだ」

俺が死んだらこの世界はループされる

つまり俺が死ねば橋本さんが生きている世界に

戻れるのではないか?

急に頭が冷えて冷静になる

俺は立ち上がり駅を後にした

橋本さん、俺が貴女を救ってみせる

死神「何をするんだ?」

会社の屋上に向かう

「わかるだろ?」

フェンスを乗り越え両手を広げる

「死神、ループだ」

俺は両手を広げたまま後ろ向きに倒れる

体が地面へ吸い込まれていく

俺の体は地面へ叩き付けられた













「あのー」

目を開けると橋本さんの顔があった

雪「大丈夫ですか?ボーッとしてましたけど」

「橋本さん……あぁ、大丈夫です」

戻ってこれた

俺は束の間の安堵、そしてこれからへの不安

「ふぅ」

どうやら俺と橋本さんが外回りすると言うことは

変わってないらしい

だが一つだけ違うことがある

ここは駅ではないということ

駅であれば最後尾に立ち安全を確保できるが

ここは駅ではなく普通の歩道

歩いて取引先へ向かっているらしい

さぁ、どうやって橋本さんを死なせる気だ

俺は気付かれないように周囲を見渡す

不審点は無し

通り魔でもくるか?

なんだ……何がくる……?

「橋本さ」

声をかけようとしたら橋本さんは居なかった

「え……?橋本さん?」

俺は周囲を見渡す

「きゃあぁあぁ!!」

つんざくような悲鳴が聞こえ俺は後ろを振り向いた

女の人は俺の横の地面を見ている

俺は首を下に傾ける

横の地面には工事現場で使われる鉄板が落ちていた

そしてその下にはーーー

「は、橋本さん……!」

俺の声は震えていた

鉄板を退け急いで橋本さんを抱き抱える

「橋本さん!」

橋本さんは息をしていない

当たり所が悪かったのかもしれない

どちらにしろもう手遅れだ

「すいません!救急車をお願いします!」

俺と同じサラリーマンが急いで携帯を取り出した

橋本さんは救急車に乗せられ去っていった

「まただ……」

また橋本さんを助けられなかった

俺は傷心の身で会社の屋上に向かう

死神「もう止めとけよ」

「まだ、まだ助かるはずだ」

俺はもう一度フェンスを乗り越える

「ループだ」

飛び降りた









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