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第4章 決戦!皇竜姫ドラグレリア!

第65話 ほんと愛されてるよなぁ、俺……。

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「くくっ、魔王の術など真似るのは容易たやす――くはなかったかの。正直言うとさすがのわらわも少々てこずったのじゃ」

「それを聞いてほんの少しだけ安心できたよ」

 さすがの皇竜姫ドラグレリアも、魔王カナンの秘術を真似るのは簡単じゃあなかったわけだ。

 つまりドラゴンの中でも最上位に属するであろう皇竜姫ドラグレリアといえども、完全に完璧な存在ではないってことだ。

 今の俺には、俺の力に呼応して強大な力を発揮してくれる相棒の聖剣『ストレルカ』がない。
 それでも。
 相手も完璧でない以上、付け入る隙は必ずある。

 そして今日まで時間がかかったのは、この位相次元空間を再現するためだったっていうわけか。

 もしかして中間テストが終わるのを待っててくれたのか?とも思っていたんだけど。
 ドラグレリアの性格からして、そんな人並みの空気の読み方をするわけがないよな。

「まぁ簡単ではなかったのじゃがの。じゃがそれでもこの世界に来る時に、あのなんとかというヤツの開けた異世界へのゲートを通ってやってきたゆえ。その時に術式の残り香を見て取っておったから、やってやれないことはなかったのじゃよ」

「魔王の秘術の跡を少し見ただけで再現してしまうなんて……。ドラゴン族はやはり最強種と言われるだけのことはある恐ろしい種族です……!」

「同感だな。少しは安心できたかと思ったけど、やっぱりドラゴンの力は完全に人間の常識のらち外だ。出だしからこれとか先が思いやられるぜ、ほんと」

 ドラゴンという種族の異常さに溜息をつきたくなるけれど。
 もちろん嘆いてばかりはいられない。

 これから俺はこのドラグレリアと戦い、勝利しなければならないのだから。

「それでどうじゃ? この中は既に別の異世界、どれだけ派手に戦っても元の世界には影響はせぬ。これなら心置きなく全力で戦えるじゃろう?」

「たしかにこれなら誰に気兼ねすることなく戦えるかな。一応ありがとうと言っておく」

「くくっ、気に入ってもらえたようでなによりじゃよ」

 まさかこんな完璧な回答を用意してくるとはな。
 心底恐れ入ったよドラグレリア。

「で、ですがこの位相次元空間は、『使用者に有利な世界』を作り出す特殊な空間秘術です。これではとても対等な戦いとは――」

「まったく、そこな小娘は前からどうもわらわのことを見くびっておるようじゃの」

 疑問の声をあげたリエナに、ここまで上機嫌だったドラグレリアが少し不愉快そうに眉をしかめた。

「見くびっている、ですか……?」

わらわは左様なこすい真似はせぬ。環境設定は『オーフェルマウス』と同じにしてあるのじゃよ」

「『オーフェルマウス』と同じに……?」

「慣れた環境の方が勇者殿も力を振るいやすかろうと思うての。お互いに気持ちよく全力を出せねば、せっかくのメインディッシュも心から楽しめんじゃろうて」

 そう言ったドラグレリアは再び、まるで大きなステーキを前にした子供のように目を輝かせた。
 今はもう少々不愉快なことくらいは軽く流せるくらいに、俺と戦えることがなによりも嬉しいようだ。

 ほんと愛されてるよなぁ、俺。
 リエナの話じゃ、俺は女神アテナイにも愛されているらしいし、もしかして人間にはモテないけど人外には好かれる素養でもあるんだろうか?

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