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ざまぁ編
第14話 突然の来訪者(2)(ざまぁ)
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「元気そうで何よりだメルビル。聞いたよ、ウィリアム第二王子と結婚したんだってね。まずは2人におめでとうと言わせてもらいたい」
ユベリアス王太子がどこか下手に出たような、いびつな作り笑いを浮かべながら祝辞を述べた。
「ありがとうございます殿下。それで、本日は一体どのようなご用件でしょうか? 実は少々体調がすぐれず、長話は身体に堪えるのです」
メルビルは過去の遺恨から内心ユベリアス王太子には会いたくなかったものの、こんなのでも一国の王太子なので会わないわけにもいかず、ウィリアムに連れ添われて仕方なく面会したのだった。
妊娠が順調に進んでいるため、それに比例してメルビルは体調がすぐれない日が多かった。
そのためメルビルの態度は王太子相手だというのに、ややそっけない。
張り付いたような無機質な笑顔を浮かべている。
「で、では早速本題に入らせてもらおう。聞けば改良コンニャクをシェアステラ王国で大量生産しているそうだね」
「おかげさまで順調に生産は拡大し、販路を飛躍的に増えておりますわ」
「それなのだが、我がフライブルク王国も再び改良コンニャクを栽培しようという話になってね。そのために改良コンニャクを知り尽くしたメルビルに助力を求めに来たんだよ」
「申し訳ありませんが、お断りいたします」
「き、君が怒っているのは重々承知している。しかし過去のいきさつは水に流そうじゃないか。もちろん君の地位と名誉も回復する。ボクたちはきっと手を取れるはずだ。ボクには君が必要なんだよ」
実に自己中心的で身勝手で虫のいい話に、メルビルはため息をつきそうになった。
こんな自分にだけ利益がある話が、相手に通じると本気で思っているのだろうか?
濡れ衣で告発して、さらに侯爵家子女としての身分を剥奪。
婚約破棄をした上に国外追放をし、さらには改良コンニャク破棄までしたその口で今さら戻ってこいなどと言われて、いったい誰が戻るというのか。
この男は国の柱たる王族でありながらここまで愚かだったのかと、メルビルは心底落胆した。
それでもメルビルがフライブルク王国の貴族であれば、王家と王国に尽くすという貴族の務めを果すために、しぶしぶ承諾はしただろう。
しかし今やメルビルはシェアステラ王国の第二王子妃なのだ。
フライブルク王国の王太子の言うことをなんでもかんでも聞く必要はなかったし、それどころかシェアステラ王国の品位を守り、愛すべき王国と国民の矜持と尊厳を守るため、むしろきっちりとノーを突きつけなければならないのだった
「残念ですがお断りいたします」
故にメルビルは断固として拒否の言葉を投げつける。
「うぐ、だがボクはこのままでは廃嫡されしてしまうのだ。改良コンニャクの市場を失ったことで国家財政が急激に悪化した責めを負わされてしまうんだ……」
「だからあの時わたしはそう言ったではありませんか。一大産業を一つ潰すなどという愚策はおやめくださいと」
こんな状況に陥るまで、何をしでかしたか理解していなかったユベリアス王太子に、メルビルは呆れたように言った。
ユベリアス王太子がどこか下手に出たような、いびつな作り笑いを浮かべながら祝辞を述べた。
「ありがとうございます殿下。それで、本日は一体どのようなご用件でしょうか? 実は少々体調がすぐれず、長話は身体に堪えるのです」
メルビルは過去の遺恨から内心ユベリアス王太子には会いたくなかったものの、こんなのでも一国の王太子なので会わないわけにもいかず、ウィリアムに連れ添われて仕方なく面会したのだった。
妊娠が順調に進んでいるため、それに比例してメルビルは体調がすぐれない日が多かった。
そのためメルビルの態度は王太子相手だというのに、ややそっけない。
張り付いたような無機質な笑顔を浮かべている。
「で、では早速本題に入らせてもらおう。聞けば改良コンニャクをシェアステラ王国で大量生産しているそうだね」
「おかげさまで順調に生産は拡大し、販路を飛躍的に増えておりますわ」
「それなのだが、我がフライブルク王国も再び改良コンニャクを栽培しようという話になってね。そのために改良コンニャクを知り尽くしたメルビルに助力を求めに来たんだよ」
「申し訳ありませんが、お断りいたします」
「き、君が怒っているのは重々承知している。しかし過去のいきさつは水に流そうじゃないか。もちろん君の地位と名誉も回復する。ボクたちはきっと手を取れるはずだ。ボクには君が必要なんだよ」
実に自己中心的で身勝手で虫のいい話に、メルビルはため息をつきそうになった。
こんな自分にだけ利益がある話が、相手に通じると本気で思っているのだろうか?
濡れ衣で告発して、さらに侯爵家子女としての身分を剥奪。
婚約破棄をした上に国外追放をし、さらには改良コンニャク破棄までしたその口で今さら戻ってこいなどと言われて、いったい誰が戻るというのか。
この男は国の柱たる王族でありながらここまで愚かだったのかと、メルビルは心底落胆した。
それでもメルビルがフライブルク王国の貴族であれば、王家と王国に尽くすという貴族の務めを果すために、しぶしぶ承諾はしただろう。
しかし今やメルビルはシェアステラ王国の第二王子妃なのだ。
フライブルク王国の王太子の言うことをなんでもかんでも聞く必要はなかったし、それどころかシェアステラ王国の品位を守り、愛すべき王国と国民の矜持と尊厳を守るため、むしろきっちりとノーを突きつけなければならないのだった
「残念ですがお断りいたします」
故にメルビルは断固として拒否の言葉を投げつける。
「うぐ、だがボクはこのままでは廃嫡されしてしまうのだ。改良コンニャクの市場を失ったことで国家財政が急激に悪化した責めを負わされてしまうんだ……」
「だからあの時わたしはそう言ったではありませんか。一大産業を一つ潰すなどという愚策はおやめくださいと」
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