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第3章 1年生タッグトーナメント
第43話 ユリーナ・リリィホワイト(2)
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「でもすごく怒ってるぞ?」
「ただの演技よ。難くせを付けてるだけ」
「いやいや、そんなわけないだろ? だいたい俺とユリ……リリィホワイトさんは初対面なんだしさ。難癖を付けられる理由がない」
うーむ。
長年ユリーナって呼んできたキャラをリリィホワイトさんって呼ぶのは、半端ない違和感があるな。
同一人物だと脳がパッと理解してくれない。
「でもユータは私に勝ったでしょ? どうせ私を倒したユータを自分で倒せれば、私よりも格上だって証明できるとか考えてて、あわよくば決闘に持ち込んで、私に勝ったユータに勝ってやろうとかセコイことを思ってるだけだから」
「いやいや、さすがにそれはないだろ――」
そう言いかけた俺の言葉に被せるようにして、ユリーナが言った。
「ふふっ。姉の七光りとはいえ、さすがは名門ローゼンベルクの姫騎士ですわね。なかなか頭がまわるじゃないですの」
「ユリーナの考えることなんて全部お見通しよ」
「マジだったのかよ!」
「ね、言ったでしょ。だからこれからもユリーナって呼んどけばいいのよ」
「どうしようもなく自己中心的かつ心が狭いな……」
「誰の心が狭いですって!? この屈辱は決闘で晴らさせていただきますわ!」
「ちょっとユータ、なに煽ってんのよ。話が進まないでしょ」
「ご、ごめん。でも全然そういうつもりじゃなくてさ。つい思ったままつい言っちゃって」
「せっかく私が『姉の七光り』ってムカつく煽り文句を、聞かなかったことにしてスルーしたって言うのに。スルーしたって言うのに」
「……ついつい2回繰り返しちゃうくらいムカついたんだな」
「だからムカついてなんかいないわよ……ちょっとしか」
「うん、ちょっとしかな」
でもそうだよな。
お姉ちゃんコンプレックスなアリエッタに、この煽り文句は一番の禁句だ。
よく我慢してスルーしたな。
偉いぞ。
俺はアリエッタに心の中で特大の花丸をあげた。
「ま、いいですわ。わたくしは名門リリィホワイトの姫騎士。澄んだ冬の青空のごとく広大な心を持ち合わせておりますから、特別にわたくしのことを名前で呼ぶ権利を与えて差し上げましょう」
や、やったー!
リリィホワイトさんを特別に名前で呼ぶ権利を与えてさしあげてもらっちゃったぞー!(棒読み)
「ああ、うん……じゃあユリーナ……これからよろしくな……」
わずか数分の会話だったのに、なんかドッと疲れたな。
話しかけられたアリエッタが、露骨にげんなりした顔をしたのにも納得だよ。
「それでユリーナはわざわざ、ユータに名前を呼んでもらいに来たわけ? なに? ユータのことが好きなの?」
「そんなわけないでしょう」
「断言された……」
自分がモテるタイプだとは間違っても思ってないけど、美人に眉一つ動かさずにお断りされるって、結構心にダメージあるな……。
「今日は、近く開催される1年生タッグトーナメントであなた方をまとめて倒して差し上げますと、宣戦布告をしに来たのですわ」
「へぇ?」
ユリーナの宣戦布告を受けて、アリエッタの目に好戦的な火が宿る。
「あなた方2人を同時に倒して、誰もがはっきりと分かる形で1年生主席の座をわたくしのものにいたします。今日はそれを伝えに来ましたの」
「大した自信ね。こっちこそコテンパンに返り討ちにして、泣きながら参ったと言わせてあげるわ。誰もがはっきり分かる形でね」
「その言葉そっくりお返しいたしますわよ。ふふっ、今からあなたが泣いて詫びを入れる顔を見るのが楽しみですわね」
「弱い犬ほどよく吠えるって言うよね。そういうセリフは一度でも勝ってから言ったら?」
「弱い犬とは、まさかわたくしのことでして?」
「いいえ? ただの一般論だけど? でもユリーナがそう思ったのなら、実は心の中で自分でそう思っちゃってるんじゃないの?」
「このっ、後で吠え面をかかせてさしあげますわ!」
もはや売り言葉に買い言葉。
アリエッタとユリーナの間にバチバチと火花が散った。
それを一歩引いたところから見守る俺とリューネ。
「同い年の美人で優秀な名門の姫騎士同士、仲良くすればいいのになぁ」
「ですねぇ」
「でもあれか。似た者同士だからこそ、競い合っちゃうのかもな」
「かもですねぇ」
もちろん俺はアリエッタの味方なので、戦うからにはユリーナには負けてもらうがな。
ぶっちゃけ今の俺の強さなら、入学初期スペックのユリーナに負ける要素はない。
断言できる。
そのことはユリーナも分からないはずがないんだけどな?
なにか秘策でもあるんだろうか?
それが少しだけ気になったが、そこへレベッカ先生がやってきた。
「よーしお前ら、席に着け。授業を始めるぞー。リリィホワイト、お前は早く自分の教室に戻れ」
「申し訳ありませんでした、レベッカ先生。少々話し込んでしまいまして。皆さん、それではまた」
ユリーナは優雅にカーテシーをすると、実にエレガントな足取りで去っていった。
「朝から無駄に疲れたわ……」
「正直俺も……」
「悪い人じゃないんですけどね」
こうして。
俺とユリーナとの初顔合わせは、精神的に疲れに疲れて幕を閉じたのだった。
「ただの演技よ。難くせを付けてるだけ」
「いやいや、そんなわけないだろ? だいたい俺とユリ……リリィホワイトさんは初対面なんだしさ。難癖を付けられる理由がない」
うーむ。
長年ユリーナって呼んできたキャラをリリィホワイトさんって呼ぶのは、半端ない違和感があるな。
同一人物だと脳がパッと理解してくれない。
「でもユータは私に勝ったでしょ? どうせ私を倒したユータを自分で倒せれば、私よりも格上だって証明できるとか考えてて、あわよくば決闘に持ち込んで、私に勝ったユータに勝ってやろうとかセコイことを思ってるだけだから」
「いやいや、さすがにそれはないだろ――」
そう言いかけた俺の言葉に被せるようにして、ユリーナが言った。
「ふふっ。姉の七光りとはいえ、さすがは名門ローゼンベルクの姫騎士ですわね。なかなか頭がまわるじゃないですの」
「ユリーナの考えることなんて全部お見通しよ」
「マジだったのかよ!」
「ね、言ったでしょ。だからこれからもユリーナって呼んどけばいいのよ」
「どうしようもなく自己中心的かつ心が狭いな……」
「誰の心が狭いですって!? この屈辱は決闘で晴らさせていただきますわ!」
「ちょっとユータ、なに煽ってんのよ。話が進まないでしょ」
「ご、ごめん。でも全然そういうつもりじゃなくてさ。つい思ったままつい言っちゃって」
「せっかく私が『姉の七光り』ってムカつく煽り文句を、聞かなかったことにしてスルーしたって言うのに。スルーしたって言うのに」
「……ついつい2回繰り返しちゃうくらいムカついたんだな」
「だからムカついてなんかいないわよ……ちょっとしか」
「うん、ちょっとしかな」
でもそうだよな。
お姉ちゃんコンプレックスなアリエッタに、この煽り文句は一番の禁句だ。
よく我慢してスルーしたな。
偉いぞ。
俺はアリエッタに心の中で特大の花丸をあげた。
「ま、いいですわ。わたくしは名門リリィホワイトの姫騎士。澄んだ冬の青空のごとく広大な心を持ち合わせておりますから、特別にわたくしのことを名前で呼ぶ権利を与えて差し上げましょう」
や、やったー!
リリィホワイトさんを特別に名前で呼ぶ権利を与えてさしあげてもらっちゃったぞー!(棒読み)
「ああ、うん……じゃあユリーナ……これからよろしくな……」
わずか数分の会話だったのに、なんかドッと疲れたな。
話しかけられたアリエッタが、露骨にげんなりした顔をしたのにも納得だよ。
「それでユリーナはわざわざ、ユータに名前を呼んでもらいに来たわけ? なに? ユータのことが好きなの?」
「そんなわけないでしょう」
「断言された……」
自分がモテるタイプだとは間違っても思ってないけど、美人に眉一つ動かさずにお断りされるって、結構心にダメージあるな……。
「今日は、近く開催される1年生タッグトーナメントであなた方をまとめて倒して差し上げますと、宣戦布告をしに来たのですわ」
「へぇ?」
ユリーナの宣戦布告を受けて、アリエッタの目に好戦的な火が宿る。
「あなた方2人を同時に倒して、誰もがはっきりと分かる形で1年生主席の座をわたくしのものにいたします。今日はそれを伝えに来ましたの」
「大した自信ね。こっちこそコテンパンに返り討ちにして、泣きながら参ったと言わせてあげるわ。誰もがはっきり分かる形でね」
「その言葉そっくりお返しいたしますわよ。ふふっ、今からあなたが泣いて詫びを入れる顔を見るのが楽しみですわね」
「弱い犬ほどよく吠えるって言うよね。そういうセリフは一度でも勝ってから言ったら?」
「弱い犬とは、まさかわたくしのことでして?」
「いいえ? ただの一般論だけど? でもユリーナがそう思ったのなら、実は心の中で自分でそう思っちゃってるんじゃないの?」
「このっ、後で吠え面をかかせてさしあげますわ!」
もはや売り言葉に買い言葉。
アリエッタとユリーナの間にバチバチと火花が散った。
それを一歩引いたところから見守る俺とリューネ。
「同い年の美人で優秀な名門の姫騎士同士、仲良くすればいいのになぁ」
「ですねぇ」
「でもあれか。似た者同士だからこそ、競い合っちゃうのかもな」
「かもですねぇ」
もちろん俺はアリエッタの味方なので、戦うからにはユリーナには負けてもらうがな。
ぶっちゃけ今の俺の強さなら、入学初期スペックのユリーナに負ける要素はない。
断言できる。
そのことはユリーナも分からないはずがないんだけどな?
なにか秘策でもあるんだろうか?
それが少しだけ気になったが、そこへレベッカ先生がやってきた。
「よーしお前ら、席に着け。授業を始めるぞー。リリィホワイト、お前は早く自分の教室に戻れ」
「申し訳ありませんでした、レベッカ先生。少々話し込んでしまいまして。皆さん、それではまた」
ユリーナは優雅にカーテシーをすると、実にエレガントな足取りで去っていった。
「朝から無駄に疲れたわ……」
「正直俺も……」
「悪い人じゃないんですけどね」
こうして。
俺とユリーナとの初顔合わせは、精神的に疲れに疲れて幕を閉じたのだった。
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