89 / 132
第4章 ヒロインズ・バトル
第87話 たい焼き
しおりを挟む
◇
「なんだか分厚い衣をつけた、変てこな魚が売っているわね?」
「え? どこだ?」
「ほらあれ」
アリエッタが指差した先を見ると、たい焼き屋台があった。
「ああ、たい焼きな」
「たい焼きってことは、あれはタイに衣を付けて焼いたものなの? その割には小さいわね。子供のタイかしら」
「あれは本物じゃなくて、タイの形をした小麦生地の中に、甘いあんこが詰まったお菓子なんだ」
「へぇ、そんなのがあるんだ」
「せっかくだからたい焼きも食べようぜ。美味しいぞ。すみませーん、たい焼き2個お願いしまーす。あんこと、カスタードを1つずつで」
「あいよ!」
俺はたい焼きを2個購入すると、
「はい、どうぞ」
「ありがと」
王道かつ定番のあんこたい焼きをアリエッタに渡す。
俺のはカスタードたい焼きだ。
たい焼きのあんこの代わりにカスタードを入れるのは邪道という人もいるかもしれないが、俺はカスタードたい焼きが好きなんだよ!
ワッフルみたいで美味しいだろ?
ならワッフルを食べろって?
ごもっともな意見だけど、敢えてたい焼きにカスタードってのが俺的にはポイント高いんだよなぁ。
もちろん、あんこたい焼きも嫌いってわけじゃない。
2個目を食べるならマストであんこだ。
カスタードのがより好きってだけで。
まぁ俺の個人的な主張はさておいて、だ。
「ところでどっちから食べればいいの? 頭から? それとも尻尾から?」
アリエッタがたい焼きをじっくりと観察しながら呟いた。
「これはまたベタな質問が来たな。俺は頭から行くけど、どっちでも好きな方でいいぞ。特に決まりがある訳じゃないから」
たい焼きは、お上品でヴォンジュールでな食事マナーのある食べ物じゃない。
庶民のお菓子だ。
「じゃあ尻尾からにしようかな。頭からはちょっと可哀想だもんね。それに尻尾のほうが細くて食べやすそうだから」
ほうほう、アリエッタはたい焼きは尻尾から食べる派、と。
しかもすごく女の子らしい可愛い理由だ。
俺は心の中の推しの子ノートに、アリエッタ新情報を書き込んだ。
「はむはむ……ごくん。へぇ、上品で控えめな甘さがすごく美味しいわ。心が一息つく感じ」
たい焼きを食べたアリエッタが満足そうに微笑む。
「あんこの優しい甘さは、ホッとするよなぁ」
アリエッタの意見に同意しつつ、俺もカスタードたい焼きをパクリとする。
俺は尻尾からではなく頭からだ。
特に意味はない。
昔からそうだっただけ。
頭から食べることを可哀想と感じたこともない。
この辺は男女の違いなのかもしれないな。
「あ、ユータのたい焼きは中身が違うんだ」
「俺のはカスタード入りだ。好きなんだよカスタードたい焼き」
「ふぅん」
アリエッタの視線が、俺の持つカスタードたい焼きをロックオンする。
「よかったら少し食べるか?」
なんとなく物欲しそうな視線に感じたので、一応聞いてみる。
「べ、別に食べたいなんて言ってないでしょ」
そうは言うものの、アリエッタの視線はまだ俺が持つカスタードたい焼きに注がれている。
明らかに強がりだった。
普段は節制してるからかたくさんの量は食べないけど、基本的にアリエッタは甘いものが好きだもんなぁ。
というわけで、ここは俺が水を向けるとしよう。
なにせ俺はお祭りのエスコートを任されたのだ。
エスコートする以上はアリエッタの気持ちを汲み取って、最高の体験を提供しないとだよな。
「うーん残念。カスタードたい焼きの美味しさを、アリエッタにも分かって欲しかったんだけどなー。(チラッ) いやー、残念だなー。(チラッ) あんことはまた違った美味しさがあるんだけどなー。(チラッ) 本当に残念だなー(チラチラッ)」
若干、棒読みだったかもしれない俺の露骨な提案を受けて、
「な、何ごとも経験よね。ユータがそこまで言うんだもの。美味しさを味わってあげないと、カスタードたい焼きも可哀想だもんね。それじゃあ一口だけいただくわ」
少し恥ずかしそうに早口で言ったアリエッタに、俺はカスタードたい焼きを差し出した。
それをアリエッタは受け取るのかと思ったら、パクっと直接かじって食べた。
なんとなく、親鳥に餌をもらう雛みたいで、ほんわか可愛い。
「なんだか分厚い衣をつけた、変てこな魚が売っているわね?」
「え? どこだ?」
「ほらあれ」
アリエッタが指差した先を見ると、たい焼き屋台があった。
「ああ、たい焼きな」
「たい焼きってことは、あれはタイに衣を付けて焼いたものなの? その割には小さいわね。子供のタイかしら」
「あれは本物じゃなくて、タイの形をした小麦生地の中に、甘いあんこが詰まったお菓子なんだ」
「へぇ、そんなのがあるんだ」
「せっかくだからたい焼きも食べようぜ。美味しいぞ。すみませーん、たい焼き2個お願いしまーす。あんこと、カスタードを1つずつで」
「あいよ!」
俺はたい焼きを2個購入すると、
「はい、どうぞ」
「ありがと」
王道かつ定番のあんこたい焼きをアリエッタに渡す。
俺のはカスタードたい焼きだ。
たい焼きのあんこの代わりにカスタードを入れるのは邪道という人もいるかもしれないが、俺はカスタードたい焼きが好きなんだよ!
ワッフルみたいで美味しいだろ?
ならワッフルを食べろって?
ごもっともな意見だけど、敢えてたい焼きにカスタードってのが俺的にはポイント高いんだよなぁ。
もちろん、あんこたい焼きも嫌いってわけじゃない。
2個目を食べるならマストであんこだ。
カスタードのがより好きってだけで。
まぁ俺の個人的な主張はさておいて、だ。
「ところでどっちから食べればいいの? 頭から? それとも尻尾から?」
アリエッタがたい焼きをじっくりと観察しながら呟いた。
「これはまたベタな質問が来たな。俺は頭から行くけど、どっちでも好きな方でいいぞ。特に決まりがある訳じゃないから」
たい焼きは、お上品でヴォンジュールでな食事マナーのある食べ物じゃない。
庶民のお菓子だ。
「じゃあ尻尾からにしようかな。頭からはちょっと可哀想だもんね。それに尻尾のほうが細くて食べやすそうだから」
ほうほう、アリエッタはたい焼きは尻尾から食べる派、と。
しかもすごく女の子らしい可愛い理由だ。
俺は心の中の推しの子ノートに、アリエッタ新情報を書き込んだ。
「はむはむ……ごくん。へぇ、上品で控えめな甘さがすごく美味しいわ。心が一息つく感じ」
たい焼きを食べたアリエッタが満足そうに微笑む。
「あんこの優しい甘さは、ホッとするよなぁ」
アリエッタの意見に同意しつつ、俺もカスタードたい焼きをパクリとする。
俺は尻尾からではなく頭からだ。
特に意味はない。
昔からそうだっただけ。
頭から食べることを可哀想と感じたこともない。
この辺は男女の違いなのかもしれないな。
「あ、ユータのたい焼きは中身が違うんだ」
「俺のはカスタード入りだ。好きなんだよカスタードたい焼き」
「ふぅん」
アリエッタの視線が、俺の持つカスタードたい焼きをロックオンする。
「よかったら少し食べるか?」
なんとなく物欲しそうな視線に感じたので、一応聞いてみる。
「べ、別に食べたいなんて言ってないでしょ」
そうは言うものの、アリエッタの視線はまだ俺が持つカスタードたい焼きに注がれている。
明らかに強がりだった。
普段は節制してるからかたくさんの量は食べないけど、基本的にアリエッタは甘いものが好きだもんなぁ。
というわけで、ここは俺が水を向けるとしよう。
なにせ俺はお祭りのエスコートを任されたのだ。
エスコートする以上はアリエッタの気持ちを汲み取って、最高の体験を提供しないとだよな。
「うーん残念。カスタードたい焼きの美味しさを、アリエッタにも分かって欲しかったんだけどなー。(チラッ) いやー、残念だなー。(チラッ) あんことはまた違った美味しさがあるんだけどなー。(チラッ) 本当に残念だなー(チラチラッ)」
若干、棒読みだったかもしれない俺の露骨な提案を受けて、
「な、何ごとも経験よね。ユータがそこまで言うんだもの。美味しさを味わってあげないと、カスタードたい焼きも可哀想だもんね。それじゃあ一口だけいただくわ」
少し恥ずかしそうに早口で言ったアリエッタに、俺はカスタードたい焼きを差し出した。
それをアリエッタは受け取るのかと思ったら、パクっと直接かじって食べた。
なんとなく、親鳥に餌をもらう雛みたいで、ほんわか可愛い。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる