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第1章 朝5時にピンポン連打する異世界押しかけ妻
第18話『お約束』
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「あははっ。エリカ、これはテレビっていう映像と音声を伝達するための道具で、別に中に小人さんが閉じ込められているわけじゃないんだよ」
俺は笑いながらテレビについて説明をする。
初めてのテレビを見て小人さんがいると騒ぐ、こっちの世界にやってくる異世界転移あるあるだな。
『お約束』とも言う。
エリカのような美少女がやると本当に可愛らしい。
もちろんリアルで見るのは初めてだった。
というか普通はリアルで見る機会はありえないから。
そんな風に無邪気に驚くエリカの姿を見たことで、俺は気落ちが少し軽くなっているのを感じていた。
まったく、女の子が無邪気にはしゃぐ姿は最強の栄養剤だな。
「そ、そうなんですね! テレビですね、覚えました! 勉強になります! うわー、小人さんが喋ってますよ! すごーい!」
「くっ、なんて可愛いんだ」
目を輝かせてテレビにくぎ付けになるエリカの姿に、俺は思わず胸がきゅんとしてしまっていた。
――と、ピピッピピッ!
注意を引き付けるような音とともに、画面の上に速報テロップが現れた。
「あ、緊急速報ですよ。なんでしょう、早朝から地震でしょうか? それとも議員の不祥事か、はたまた芸能人がクスリでもやって逮捕されたんでしょうか?」
エリカが居住まいを正してその文字を注視していた。
そしてその言動を見聞きした俺は、一瞬で真顔になった。
「…………」
「トール、急に静かになってどうしたんですか?」
「エリカさ、実はテレビのこと知ってたよな?」
「はて、なんのことでしょう?」
「とぼけてんじゃねぇよ!? 緊急速報がどういうものか詳しく知ってるのに、テレビを知らないわけがないだろ!?」
「……てへぺろ」
アリの這い出る隙間もない程に完璧な俺の推理の前に逃げきることは不可能だと思ったのか、エリカが可愛く舌を出す。
「てへぺろまで知ってるのかよ。しかも芸能人がクスリで逮捕とか議員の不祥事とか、実はかなりこの世界について詳しいよな?」
「ええまぁそれなりには?」
「あのなぁ、知ってるのになんでわざわざ知らない振りをしたんだよ?」
「それはもちろん、そうするのが『お約束』だと習いましたので」
「習ったって、こんなこと誰に習うんだよ?」
「学校の先生からです」
「学校??」
「女神国立転移・転生学院です。わたしはそこの生徒でした。一応、入学以来ずっと主席だったんですけど」
「入学以来首席!? マジすげぇな!?」
そうか、そうだよな。
こうやって異世界転移をしてきたエリカは、世界のバランスを回復するために己を捧げることを良しとする、選ばれしエリートなんだよな。
高校時代に特に何をするでもなく遊んですごし、Fランに入るのがやっとで。
しかも大学に入った後も、楽単ばっか取って勉強なんてろくにせず。
なんとか面接に受かった中小企業にとりあえず就職したあげく、特にスキルを磨くでもなくのほほんと過ごし、10年後に会社が倒産して無職になって初めて右往左往するアホで無計画な俺と違って、エリカはすごく優秀な人間なんだ……。
「それにトールは気持ちよくありませんでしたか?」
自己責任という名の感傷にふける俺に、唐突にエリカが言った。
「気持ちよくって、なにがだよ?」
さすがに言葉足らず過ぎて、まったく意味が分からないぞ?
「わたしに知識マウントがとれて、トールは気持ちよくありませんでしたか?」
「……は?」
俺の目が点になった。
俺は笑いながらテレビについて説明をする。
初めてのテレビを見て小人さんがいると騒ぐ、こっちの世界にやってくる異世界転移あるあるだな。
『お約束』とも言う。
エリカのような美少女がやると本当に可愛らしい。
もちろんリアルで見るのは初めてだった。
というか普通はリアルで見る機会はありえないから。
そんな風に無邪気に驚くエリカの姿を見たことで、俺は気落ちが少し軽くなっているのを感じていた。
まったく、女の子が無邪気にはしゃぐ姿は最強の栄養剤だな。
「そ、そうなんですね! テレビですね、覚えました! 勉強になります! うわー、小人さんが喋ってますよ! すごーい!」
「くっ、なんて可愛いんだ」
目を輝かせてテレビにくぎ付けになるエリカの姿に、俺は思わず胸がきゅんとしてしまっていた。
――と、ピピッピピッ!
注意を引き付けるような音とともに、画面の上に速報テロップが現れた。
「あ、緊急速報ですよ。なんでしょう、早朝から地震でしょうか? それとも議員の不祥事か、はたまた芸能人がクスリでもやって逮捕されたんでしょうか?」
エリカが居住まいを正してその文字を注視していた。
そしてその言動を見聞きした俺は、一瞬で真顔になった。
「…………」
「トール、急に静かになってどうしたんですか?」
「エリカさ、実はテレビのこと知ってたよな?」
「はて、なんのことでしょう?」
「とぼけてんじゃねぇよ!? 緊急速報がどういうものか詳しく知ってるのに、テレビを知らないわけがないだろ!?」
「……てへぺろ」
アリの這い出る隙間もない程に完璧な俺の推理の前に逃げきることは不可能だと思ったのか、エリカが可愛く舌を出す。
「てへぺろまで知ってるのかよ。しかも芸能人がクスリで逮捕とか議員の不祥事とか、実はかなりこの世界について詳しいよな?」
「ええまぁそれなりには?」
「あのなぁ、知ってるのになんでわざわざ知らない振りをしたんだよ?」
「それはもちろん、そうするのが『お約束』だと習いましたので」
「習ったって、こんなこと誰に習うんだよ?」
「学校の先生からです」
「学校??」
「女神国立転移・転生学院です。わたしはそこの生徒でした。一応、入学以来ずっと主席だったんですけど」
「入学以来首席!? マジすげぇな!?」
そうか、そうだよな。
こうやって異世界転移をしてきたエリカは、世界のバランスを回復するために己を捧げることを良しとする、選ばれしエリートなんだよな。
高校時代に特に何をするでもなく遊んですごし、Fランに入るのがやっとで。
しかも大学に入った後も、楽単ばっか取って勉強なんてろくにせず。
なんとか面接に受かった中小企業にとりあえず就職したあげく、特にスキルを磨くでもなくのほほんと過ごし、10年後に会社が倒産して無職になって初めて右往左往するアホで無計画な俺と違って、エリカはすごく優秀な人間なんだ……。
「それにトールは気持ちよくありませんでしたか?」
自己責任という名の感傷にふける俺に、唐突にエリカが言った。
「気持ちよくって、なにがだよ?」
さすがに言葉足らず過ぎて、まったく意味が分からないぞ?
「わたしに知識マウントがとれて、トールは気持ちよくありませんでしたか?」
「……は?」
俺の目が点になった。
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