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第56話 ドラゴン四天王・ハイペリオルドラゴン

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『久しいですねミストルティア。あなたがこのドラゴンズ・ハイランドを去って以来でしょうか』

「ボクは一度も戻らなかったし、ハイペリオルドラゴンもずっとドラゴンズ・ハイランドに引きこもってたもんねー」

「ハイペリオルドラゴンだって?」
「ドラゴン四天王の残る1体です!」

『おや、これは失礼いたしました、ご挨拶が遅れましたね。わたくしはハイペリオルドラゴンと申します。どうぞお見知りおきをくださいませ』

 巨大なドラゴンがぺこりと頭を下げた。

「あ、これはこれはご丁寧にどうも。俺は勇者リョーマ=オクムラです」

「初めまして、私は≪盾の聖女≫リュスターナ=ミルフォードです。どうぞよろしく」

 やられたらやり返す。
 俺たちもぺこりと頭を下げ返した。

『もちろん存じ上げておりますよ勇者様、聖女様。先ほどは実に見事な戦いぶりでした』
「ちょっと! ボクも一緒に戦ってたんだからね!」

『ミストルティアも大変見事な戦いぶりでしたよ。さすかですね』

「えへへ、ありがと♪ やっぱりハイペリオルドラゴンは優しいね♪」

 えっ、なにこのドラゴン?
 やたらと礼儀正しいんだが?

「なんかえらく礼儀正しいんだな? ドラゴンにそんなに丁寧に接せられると、ものすごく違和感があるんだが……」

「ですねぇ……」
 この事態にリュスターナも目を丸くしている。

『わたくしに言わせれば他のドラゴンたちが粗暴なのですよ。実るほど首を垂れる稲穂かな。自らを偉大な存在と自負するのであれば、せめてもう少しその言動には気を付けて欲しいものです』

「な、なるほど……」
「一理ありますね……」

 人間のことわざを使いこなしたりと、本当に変なドラゴンだなぁ……(もちろんいい意味だ)。

「それで、あんたがハイペリオルドラゴンってことは、俺たちの味方ってことでいいんだなよな? 前もってミストルティアからは話は聞いてる。ハイペリオルドラゴンは四天王だけど大魔竜ドラグバーンとは対立していて、昔みたいに人間とドラゴンが共存する世界に戻そうとしているんだって」

 だからさっきの戦いでも『先ほどは実に見事な戦いぶりでした』と言うように、大魔竜ドラグバーンに加勢することなく見ているだけだったのだ。

 できれば俺たちに加勢して欲しかったところだが、そうは言っても俺たちの間には信頼関係も何もないわけだし、数だけ増えて結果的に烏合の衆になったら本末転倒だからなかなか難しいところだな。

『おおむねそのような理解で問題はありません』

「信じてるぜ?」
『信頼には行動でもって応えましょう』

 うわぉ、カッコいい返し!

「じゃあまずは手っ取り早くまだ戦闘が続いている場所まで乗せていってくれないかな? さっきの戦いでみんなヘトヘトなんだよ」

『お安いご用です。私がこうやって姿を見せたのも、元々はそれが目的でしたしから』

 さぁ乗りなさいとばかりに背中を向けたハイペリオルドラゴン。
 その背中に、俺、リュスターナ、ミストルティアの3人で乗り込んだ。

 すぐにハイペリオルドラゴンは陽動部隊が戦っている戦場に向かって飛び立つ。

「ボク、ドラゴンの背中に乗るのって初めてかもー」
 ミストルティアがはしゃいでいる。

「そりゃドラゴンなら自分で飛んだ方が早いだろうからなぁ」
「ふふっ、それはそうですよね」

「じゃあ今度はおにーさんにおんぶして飛んでもらおうかなー」
「なにがどう『じゃあ』なんだよ……」

「最終決戦で頑張ったご褒美ってことで」
「頑張ったのはみんな同じだったっつーの」

「まぁまぁ、おんぶくらいはいいじゃないですか」
「だよね! さすがリュスターナさん。話が分かるー!」

 そんな感じで俺たちはついに訪れた平和な時を待ったりと満喫した。


 その後は長いので要約するけど。
 大魔竜ドラグバーンが既に打たれたことを、人間サイドには俺とリュスターナが。
 ドラゴンサイドにはミストルティアとハイペリオルドラゴンがそれぞれ説明をしたことで、戦闘は中断した。

 結構な大激戦だったにもかかわらず、不幸中の幸いでメイリンやメンデル司令官は無事だった。

 そして大魔竜ドラグバーン亡き今、ドラゴンたちも特に人間を攻め滅ぼそうという強い意志を持った個体はおらず。
 かつての相互不可侵の盟約を改めて確認した人類とドラゴンは、過去は水に流して未来志向で共存することを選択。

 こうして長きに渡った人間とドラゴンの戦いは、大魔竜ドラグバーンの死をもって終戦となったのだった。

 めでたしめでたし。
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