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プロローグ
第4話 この場から、逃がすわけにはいかない……っ!
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「えっと、なんだって? もう一回。もう一回、今の説明をしてもらっていいかな?」
「もう、『え? なんだって?』はディスペル系のS級チートですよ。たいていの人は言われたらムカつくので、シロウトが安易にマネして使うのはお勧めできませんね」
「ちげーし! あ、いやほんとそんなんじゃなくてさ。ちょっと確認したいだけだから、もう1回さっきの説明を頼む! ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから!」
「ひゃ――ッ」
ちょっと喰い気味で前のめりになった俺に、アリッサは少しビビったようだった。
露骨に距離をとられてしまう。
おっと、テンションが上がりすぎたようだ。
「じゃ、じゃあ、もう一回読みますね……じゃない、言いますけど……この中から好きなチートを一つ選んでください。チートを付与したら、そのチートに向いた異世界が自動的に選ばれて転生完了となります」
「ペーパーを読み上げてるみたいだけど、それはつまり言いかえれば契約条項そのままってことだよね?」
「べ、別に読み上げたっていいじゃないですか! ここ大事なとこだから間違えられないんです! それにこれでも初仕事に向けて、昨日の夜は必死に準備してたんです! 私も寝てないんですよ!」
「いや別にそこは問題視してないから……」
「じゃあ何が問題なんですか!」
ほっぺを膨らませてぷんすかするアリッサ。
明らかに演技過剰だが、それがまたあざとくて可愛いらしい。
「くっ、これが『可愛いは正義』ってやつか……!」
さすがラブコメ系S級チートに分類されるだけはある……!
この可愛さの前では、なんでも笑って許してしまえそうだ。
『可愛いは正義』の男の子版ともいえるS級チート『ただしイケメンに限る』は、やはりマストで必要だな……!
「つまりさ――この文章だと、好きなチートを一つ選ぶけど、付与されるのはその選んだチートだけには限らないって解釈もできるよね?」
「……えぇぇぇっ? まぁ……できなくは……ないかもしれませんけど……いえ、それはさすがにダメですよ」
「いやいやダメじゃないよ。文章が前後で切れてるし、『選んだチートを付与する』とは書いていないんだから」
「うーん、まぁそう読めなくもないですけど……」
「読めなくもないってことは、オッケーってことだよね?」
「…………えっと、すみません、私の権限の範疇を超えているので、ちょっと上司に相談、というか確認をしてきます」
言って、アリッサは席を立とうとした。
自分に与えられた権限の範囲を理解し、それを超える部分に関しては報告・連絡・相談、いわゆる報連相を怠らない。
――良い判断だ。
やる気も熱意もあるし、将来はきっといい異世界転生官になることだろう。
だがしかし――
「今回に限っては、この場から、逃がすわけにはいかない……っ! アリッサ、君は檻の中に囚われた獲物だ……全てはそう、俺の輝かしい異世界転生ライフのために……っ!」
ここが、こここそが勝負どころだと、俺は確信した。
俺は鬼に、異世界転生の鬼になる……!
「だめだだめだ、全然だめだ! まったく、アリッサ・コーエン。やはり君は新人だな。社会のことを何もわかってない、分かってなさすぎる!」
「もう、『え? なんだって?』はディスペル系のS級チートですよ。たいていの人は言われたらムカつくので、シロウトが安易にマネして使うのはお勧めできませんね」
「ちげーし! あ、いやほんとそんなんじゃなくてさ。ちょっと確認したいだけだから、もう1回さっきの説明を頼む! ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから!」
「ひゃ――ッ」
ちょっと喰い気味で前のめりになった俺に、アリッサは少しビビったようだった。
露骨に距離をとられてしまう。
おっと、テンションが上がりすぎたようだ。
「じゃ、じゃあ、もう一回読みますね……じゃない、言いますけど……この中から好きなチートを一つ選んでください。チートを付与したら、そのチートに向いた異世界が自動的に選ばれて転生完了となります」
「ペーパーを読み上げてるみたいだけど、それはつまり言いかえれば契約条項そのままってことだよね?」
「べ、別に読み上げたっていいじゃないですか! ここ大事なとこだから間違えられないんです! それにこれでも初仕事に向けて、昨日の夜は必死に準備してたんです! 私も寝てないんですよ!」
「いや別にそこは問題視してないから……」
「じゃあ何が問題なんですか!」
ほっぺを膨らませてぷんすかするアリッサ。
明らかに演技過剰だが、それがまたあざとくて可愛いらしい。
「くっ、これが『可愛いは正義』ってやつか……!」
さすがラブコメ系S級チートに分類されるだけはある……!
この可愛さの前では、なんでも笑って許してしまえそうだ。
『可愛いは正義』の男の子版ともいえるS級チート『ただしイケメンに限る』は、やはりマストで必要だな……!
「つまりさ――この文章だと、好きなチートを一つ選ぶけど、付与されるのはその選んだチートだけには限らないって解釈もできるよね?」
「……えぇぇぇっ? まぁ……できなくは……ないかもしれませんけど……いえ、それはさすがにダメですよ」
「いやいやダメじゃないよ。文章が前後で切れてるし、『選んだチートを付与する』とは書いていないんだから」
「うーん、まぁそう読めなくもないですけど……」
「読めなくもないってことは、オッケーってことだよね?」
「…………えっと、すみません、私の権限の範疇を超えているので、ちょっと上司に相談、というか確認をしてきます」
言って、アリッサは席を立とうとした。
自分に与えられた権限の範囲を理解し、それを超える部分に関しては報告・連絡・相談、いわゆる報連相を怠らない。
――良い判断だ。
やる気も熱意もあるし、将来はきっといい異世界転生官になることだろう。
だがしかし――
「今回に限っては、この場から、逃がすわけにはいかない……っ! アリッサ、君は檻の中に囚われた獲物だ……全てはそう、俺の輝かしい異世界転生ライフのために……っ!」
ここが、こここそが勝負どころだと、俺は確信した。
俺は鬼に、異世界転生の鬼になる……!
「だめだだめだ、全然だめだ! まったく、アリッサ・コーエン。やはり君は新人だな。社会のことを何もわかってない、分かってなさすぎる!」
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