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第一部「《神滅覇王》――其の者、神をも滅する覇の道を往きて――」 異世界転生 1日目

第9話 まったく、異世界転生は最高だぜ!!

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「そう言えば自己紹介がまだでしたね。わたしはウヅキ。サクライ・ウヅキと申します。ぜひぜひ、ウヅキと呼んでくださいね」
 自己紹介とともに、にっこりと微笑んだ可憐な少女。

「俺は麻奈志漏まなしろ誠也だ。よろしく」
「マナシロ・セーヤさんですね、助けていただいて本当にありがとうございました。あの、セーヤさんとお呼びしても?」
「も、もちろんウェルカムだ、まったくもって全然オッケーだぞ!」

 ……やった、やったぞ。
 いきなり女の子から名前呼びされちゃったぞ!
 ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』、マジ半端ないって!

「セーヤさん」
「ん? なに?」
「えへへ、呼んでみただけです」
「お、おう……おう!」
 なにこれなにこれ、甘酸っぱくて、めっちゃこそばゆいんですけど!

「えへへ、セーヤさん」
「な、なにかな、サクライさん」
 顏が、顏がにやける……堪えろ、堪えるんだ麻奈志漏まなしろ誠也……!
 妖魔を相手に無双した流れから、ここは強くて頼れる男らしさを見せる場面だ……クールに格好良く振るまうんだ!

「もう、ウヅキでいいって言ったじゃないですか」
「え、いや、その……それは……ちょっと恥ずかしいというかごにょごにょ……」
「ウヅキですよ、ウ・ヅ・キ」
「あ、う……その、えっと……」
 ……悲しいほどにクールに格好良くとは程遠く、まごまごおどおどしてしまっていると、そっと優しく包み込むように手を握られた。

「ウヅキ、ですよ、セーヤさん」
 俺の手とは全然違う、温かくて柔らかいおててに包まれて、それだけで気持ちいいでござるフヒヒ……じゃなくてだな!

「あの、もしかしてセーヤさんはわたしのこと、名前で呼ぶのはお嫌なのでしょうか……」
「いやその……そんなことは、ぜんぜん、ちっとも、ないんだけど……」

 くっ、こちとら女の子を名前で呼ぶなんて幼稚園の年長組以来なんだ……!
 しかもその相手ってのが、めっちゃ可愛くて、奥ゆかしくて、俺的好みド真中ストライクの黒髪美少女ときたもんだ。

 自分の名前を呼んでもらえただけで舞い上がるくらいなのに、俺も女の子を名前で呼ぶとか、いきなり難易度が高すぎるだろ常識的に考えて……っ!
 そもそもなぜ『女の子を名前で呼ぶ』チートが無いんだ?
 異世界転生局のご担当者様、早目の実装をお願いしますね!

「セーヤさん?」
 はにかみながら上目づかいで見つめられて、そのあまりの可憐さに俺はついに観念した。

「あ、う、えっと、う、う、う、ウヅキ……」
 ボソボソとなんとか声を絞り出す。
 誰がどの角度から見ても、ダサダサであった。
 それはもう、擁護のしようがないくらいに、女の子とろくに話した経験がない童貞丸出しで。

 アリッサも美少女だったけど、アリッサの性格がちょっときつめだったのと、あの時は女の子と話すことよりも、最高の異世界転生することで頭がいっぱいだったからなぁ……
 そんなこと考える余裕なんてなかったし。
 でもそんな心配は、すぐに杞憂に終わった。

「うふふ、セーヤさんってば、あんなに強くて格好いいのに、意外と照れ屋さんなんですね。硬派なところも素敵です、えへへ」
 これ以上ないくらいに、好意的に解釈してくれたからだ。
 それもこれも、たいていのことはいい方にとってくれるラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』が発動しているおかげだった。

 ヤバい、異世界での俺の人生がイージーモードすぎて、楽しくてたまらない!
 生きるってこんなにキラキラして素敵なことだったんだなぁ。

 控えめに言って――

「まったく、異世界転生は最高だぜ!!」
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