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異世界転生 2日目
第30話 クサナギノツルギ
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「100体の妖魔を、しかもA級妖魔までいたのに、それをいとも簡単に倒しちゃうなんて、すごいです、すごすぎです! さすがです、セーヤさん!」
ヤツザキトロールを一刀のもとに両断して斬り捨て、見守っていた村人たちの方へと向かう俺のところへ、ウヅキがいの一番に駆け寄ってきた。
いきおいそのまま、俺にダイブして抱き着いてくる。
おっぱいがむにゅっと押し付けられて、
「うん、それだけで幸せな気分にさせてくれるね……!」
「セーヤさん?」
「おっと、こほん。まぁなんだ、これくらい大丈夫だって言っただろ?」
ぎゅっと腰に抱き着きながら頬をすりすりしてくるウヅキを、優しく抱き返して誤魔化す俺だった。
「だって、だって、こんなの今でも信じられません!」
「ふっ、こう見えて、俺は強いんだ」
なんてったってS級チート以下、全チートフル装備だからな。
そう簡単に負けはしない。
「まなしー、すごく、かっこよかった」
続いてハヅキも駆け寄ってきて、
「ハヅキもありがとう。もう怖くないからな」
「うん、まなしーいるから、あんしん」
ウヅキとは反対側に小動物みたいに可愛らしくしがみついてくるのだ。
遅れてグンマさんや村の人々もやってきて、これまたやいのやいのと口々に騒ぎ立てはじめて。
それなりに強いらしい敵をS級チートでもって圧倒し、それを見た可愛い女の子二人に抱きつかれながら、たくさんの人からチヤホヤ褒めたたえられる。
「実に、実に俺の思い描いていた理想通りの異世界転生じゃないか……!」
ありがとうアリッサ、ありがとう異世界転生!
俺は溢れんばかりの感動を心の底から噛みしめたのだった。
心行くまで賞賛の嵐に浸ってから、そう言えば、と思い出す。
「あの、この日本刀なんですけど――」
代わりの武器が見つかるまで、しばらく貸してもらえないか頼もうとしたところ、
「これはマナシロさまがお持ちになってください」
ってなことを先んじて言われてしまった。
「……いいんですか?」
「ワシらではとてもマナシロさまのようには使いこなせません。であれば、マナシロさまに使ってもらった方が、これを残したご先祖様も喜ぶというもの」
「わ、わたしも賛成です! セーヤさんが使えば無敵なんですから!」
「ハヅキも、さんせー」
「でもこれって、その、大切な家宝なんですよね?」
先祖代々受け継いできた家宝をただで譲ってもらうというのは、さすがに気が引けるというか。
「いくら大切と言えども命より大切なものなどありはしません。マナシロさまがおられなければ、そもそも今ごろワシらの命はありますまいて」
俺の胸に顔をうずめながら、うんうんとウヅキが頷く。
おいおい、これちょっと可愛すぎて困るんだけど……ごめん、うそ、全然困らない。
だからもっと俺に甘えてくれていいんだからな?
「ワシの命の一つや二つなぞ構いやしませんが、ウヅキなどは死ぬよりも恐ろしい目におうたやもしれませぬ。ここにマナシロさまがいてこの剣を手にしたことは、きっとなにかのご縁あってのこと、ともすれば必然――運命だったのでしょう」
「運命……えへへ、すっごくロマンチックです!」
「ハヅキも、いいとおもう」
「どうやら異論はないようですじゃな」
グンマさんが話を締めくくった。
「そう言ってもらえるなら、ありがたく頂戴します。大切に使わせてもらいますので」
こうして俺は、この大業物の日本刀を譲り受けたのだった。
「そういえばこの剣の名前を、まだお伝えしておりませんでしたな」
「名前なんてあるんですね、いかにも家宝の刀って感じです」
「伝わっているところによるとこの剣の号はクサナギ――『クサナギノツルギ』というそうです」
「クサナギノツルギ――」
「既に名前だけしか伝承しておらず、いつどこで作られたのかすら知る由はありませんが――」
「クサナギ―-クサナギか」
なんか聞いたことあるな。
アニメ……よりはゲームでよく出てくる武器だよな?
クサナギ……草ナギ……「ナギ」ってどんな漢字だっけ?
確か日本の古いお話に出てくる剣なんだよな……?
えっとなんだっけ……
「日本なんとか……日本……日本……日本の古いお話……日本しょ……日本ショッピング? あ、日本昔話だっけか……?」
ああもう!
もうちょっとで思い出せそうな気がしなくもないのに、やっぱ思い出せない!
こういう時スマホがあればすぐに調べられるのに!
「……まぁでも無いもんはしゃーないか。ふとした時に思い出すかもしれないし……」
これは譲れない!ってもの以外、人間は諦めが肝心である。
チートてんこ盛りモテモテハーレム異世界転生の代償が、スマホのないことだと思えば、むしろ安すぎるってなもんだろう。
思い出せそうで思い出せなくて、もやもやするものがなくはないものの、特に困るわけでもないので、ひとまず俺は名前については棚上げすることに決定した。
決定力の高い男、麻奈志漏誠也である。
「それではワシは村の男衆を連れて事後処理に向かいますかの。妖魔と言えど生あるもの、供養してやるのが道理というものですから」
言って、グンマさんは村の男たちに指示をして簡素な墓を作りはじめた。
簡素と言ってもボスを入れて109体の魔物の群れであり、穴を掘るというその作業はかなりの重労働だ。
俺も手伝おうとしたものの、
「ご活躍されたマナシロさまに後片付けまでさせられません。どうかウヅキたちと一緒にゆっくり身体を休めていてください」
と強く固辞されてしまったのだった。
「まなしー、かえろ」
「そうだな、ここでずっと見てても仕方ないし、家に戻るか」
「あ、のど渇いていませんか? すぐにお水用意しますね」
「さんきゅー」
3人連れだって戻りかけた時だった。
街道の方から馬が複数駆けてくる音が聞こえると、白と銀のコントラストが美しい、しかしやたらと露出過多な騎士甲冑に身を包んだ五騎の女騎士が、俺達の前へとあらわれたのは――
ヤツザキトロールを一刀のもとに両断して斬り捨て、見守っていた村人たちの方へと向かう俺のところへ、ウヅキがいの一番に駆け寄ってきた。
いきおいそのまま、俺にダイブして抱き着いてくる。
おっぱいがむにゅっと押し付けられて、
「うん、それだけで幸せな気分にさせてくれるね……!」
「セーヤさん?」
「おっと、こほん。まぁなんだ、これくらい大丈夫だって言っただろ?」
ぎゅっと腰に抱き着きながら頬をすりすりしてくるウヅキを、優しく抱き返して誤魔化す俺だった。
「だって、だって、こんなの今でも信じられません!」
「ふっ、こう見えて、俺は強いんだ」
なんてったってS級チート以下、全チートフル装備だからな。
そう簡単に負けはしない。
「まなしー、すごく、かっこよかった」
続いてハヅキも駆け寄ってきて、
「ハヅキもありがとう。もう怖くないからな」
「うん、まなしーいるから、あんしん」
ウヅキとは反対側に小動物みたいに可愛らしくしがみついてくるのだ。
遅れてグンマさんや村の人々もやってきて、これまたやいのやいのと口々に騒ぎ立てはじめて。
それなりに強いらしい敵をS級チートでもって圧倒し、それを見た可愛い女の子二人に抱きつかれながら、たくさんの人からチヤホヤ褒めたたえられる。
「実に、実に俺の思い描いていた理想通りの異世界転生じゃないか……!」
ありがとうアリッサ、ありがとう異世界転生!
俺は溢れんばかりの感動を心の底から噛みしめたのだった。
心行くまで賞賛の嵐に浸ってから、そう言えば、と思い出す。
「あの、この日本刀なんですけど――」
代わりの武器が見つかるまで、しばらく貸してもらえないか頼もうとしたところ、
「これはマナシロさまがお持ちになってください」
ってなことを先んじて言われてしまった。
「……いいんですか?」
「ワシらではとてもマナシロさまのようには使いこなせません。であれば、マナシロさまに使ってもらった方が、これを残したご先祖様も喜ぶというもの」
「わ、わたしも賛成です! セーヤさんが使えば無敵なんですから!」
「ハヅキも、さんせー」
「でもこれって、その、大切な家宝なんですよね?」
先祖代々受け継いできた家宝をただで譲ってもらうというのは、さすがに気が引けるというか。
「いくら大切と言えども命より大切なものなどありはしません。マナシロさまがおられなければ、そもそも今ごろワシらの命はありますまいて」
俺の胸に顔をうずめながら、うんうんとウヅキが頷く。
おいおい、これちょっと可愛すぎて困るんだけど……ごめん、うそ、全然困らない。
だからもっと俺に甘えてくれていいんだからな?
「ワシの命の一つや二つなぞ構いやしませんが、ウヅキなどは死ぬよりも恐ろしい目におうたやもしれませぬ。ここにマナシロさまがいてこの剣を手にしたことは、きっとなにかのご縁あってのこと、ともすれば必然――運命だったのでしょう」
「運命……えへへ、すっごくロマンチックです!」
「ハヅキも、いいとおもう」
「どうやら異論はないようですじゃな」
グンマさんが話を締めくくった。
「そう言ってもらえるなら、ありがたく頂戴します。大切に使わせてもらいますので」
こうして俺は、この大業物の日本刀を譲り受けたのだった。
「そういえばこの剣の名前を、まだお伝えしておりませんでしたな」
「名前なんてあるんですね、いかにも家宝の刀って感じです」
「伝わっているところによるとこの剣の号はクサナギ――『クサナギノツルギ』というそうです」
「クサナギノツルギ――」
「既に名前だけしか伝承しておらず、いつどこで作られたのかすら知る由はありませんが――」
「クサナギ―-クサナギか」
なんか聞いたことあるな。
アニメ……よりはゲームでよく出てくる武器だよな?
クサナギ……草ナギ……「ナギ」ってどんな漢字だっけ?
確か日本の古いお話に出てくる剣なんだよな……?
えっとなんだっけ……
「日本なんとか……日本……日本……日本の古いお話……日本しょ……日本ショッピング? あ、日本昔話だっけか……?」
ああもう!
もうちょっとで思い出せそうな気がしなくもないのに、やっぱ思い出せない!
こういう時スマホがあればすぐに調べられるのに!
「……まぁでも無いもんはしゃーないか。ふとした時に思い出すかもしれないし……」
これは譲れない!ってもの以外、人間は諦めが肝心である。
チートてんこ盛りモテモテハーレム異世界転生の代償が、スマホのないことだと思えば、むしろ安すぎるってなもんだろう。
思い出せそうで思い出せなくて、もやもやするものがなくはないものの、特に困るわけでもないので、ひとまず俺は名前については棚上げすることに決定した。
決定力の高い男、麻奈志漏誠也である。
「それではワシは村の男衆を連れて事後処理に向かいますかの。妖魔と言えど生あるもの、供養してやるのが道理というものですから」
言って、グンマさんは村の男たちに指示をして簡素な墓を作りはじめた。
簡素と言ってもボスを入れて109体の魔物の群れであり、穴を掘るというその作業はかなりの重労働だ。
俺も手伝おうとしたものの、
「ご活躍されたマナシロさまに後片付けまでさせられません。どうかウヅキたちと一緒にゆっくり身体を休めていてください」
と強く固辞されてしまったのだった。
「まなしー、かえろ」
「そうだな、ここでずっと見てても仕方ないし、家に戻るか」
「あ、のど渇いていませんか? すぐにお水用意しますね」
「さんきゅー」
3人連れだって戻りかけた時だった。
街道の方から馬が複数駆けてくる音が聞こえると、白と銀のコントラストが美しい、しかしやたらと露出過多な騎士甲冑に身を包んだ五騎の女騎士が、俺達の前へとあらわれたのは――
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