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第二部「気高き黄金」 異世界転生 5日目
第102話 ごめんなさい
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「わたくし、今ようやっと目が覚めましたわ」
「サターホワイトさん?」
深々と頭を下げた金髪ちびっ子お嬢さまは、その姿勢のままでもって、己の弱い心を吐露しはじめた。
「正直に全てを告白いたしましょう。わたくし、ずっとサクライさんのことを妬んでおりましたの。何をどうやっても勝てないあなたに、ずっと嫉妬していたのですわ」
「そう、だったんですね……」
正直な気持ちをぶつけられて、ウヅキがちょっとしょんぼりした顔をした。
「先だっての試験も、帝立アカデミーから超一流の学者たちを家庭教師に招へいし、それこそ死に物狂いで勉強して平均点99点という文句なしぶっちぎりのハイスコアを出しましたのに。なのにあなたときたら全教科100点満点という、学園創立以来初となる離れ業でもって、あっさりとわたくしを上回ってみせました」
おぅ、確かにそれはきっついなぁ……。
っていうか、ウヅキさんマジ半端ない。
もはや勉強が得意ってレベルじゃねぇぞ?
夏の甲子園に、メジャーリーグ本塁打王が飛び入り参加してるようなもんじゃねぇか……。
「『トラヴィスは常に優たれ、しかし全ては民のためにあれ』――トラヴィス家の家訓ですの」
「とっても素敵な言葉ですね」
「にもかかわらず、入学以来あなたに負け続けたわたくしは、あなたに嫉妬してしまって。あろうことか、嫌がらせまでしてしまったのですわ。トラヴィスの名に泥を塗っていたのは、他ならぬわたくし自身だった。心のどこかで薄々と感じていたそのことに、今はっきりと思い至りましたの」
「そう、だったんですね……」
「それと、大きなおっぱいが妬ましくて羨ましくて……、胸を見比べるたびに、わたくしついカッとなってしまったんですの……」
「そう、だったんですね…………」
金髪ちびっ子お嬢さまの正直すぎる懺悔に、ウヅキが何とも言えない微妙な顏をした。
「今さら許してくださいなどと、虫のいいことは申し上げません。ただ、わたくしの謝罪をあなたに聞いていただきたいのです。サクライさん、今まで本当に申し訳ありませんでした」
それは、金髪ちびっこ――、なんて呼び方は、もう失礼か。
誇り高きサターホワイト・マテオ・ド・リス・トラヴィスが行った、うそ偽りのない心からの謝罪だった。
高貴な身分にありながら、取り巻きが多数見ている前で庶民相手に腰を折って頭を下げ、嘘偽りのない自分の弱さをさらけ出して、言葉にして相手に伝える。
いったい、どれほど勇気がいる行動なのだろうか――?
それはこの異世界に転生するまで、自分に非があろうがなかろうがひたすら他人にへこへこし続けてきた、プライドレスな俺には到底分かりえない感情で。
だから俺は。
気高き少女がとった、自分とは全く正反対の、信念に基づいた行動を――、
「尊い」
――と、心の底から感じ入ったのだった。
「なにはともあれ、まずは顔をあげてください、サターホワイトさん」
「いいえ、あげませんわ。だって上げる資格がありませんもの。少なくともあなたが――許す許さないは別として――この言葉を聞きいれてくれるまでは」
「もう、わたし、ちゃんとお話聞いてましたよ? それに資格とか、そう言う前にですね。だってほら、顔を上げてくれないと、顔を見てお話できないじゃないですか」
「ですが、わたくしはあなたのことをずっといじめて――」
「友達同士、時にはけんかすることくらい、普通のことじゃないですか?」
「――え?」
その言葉があまりに意外だったのか、思わず首から上だけくいっと上げてしまったサターホワイトさん。
「友達だったら、顔を見て話すのって当たり前じゃないですか?」
「こんなドブネズミのような薄汚れた心をもったわたくしを……、あなたは友達だと、そう言ってくださるのですか……?」
「えっ!? 違ったんですか!? 一年以上同じクラスなのに!? わ、わたし、勝手にお友達になっていたとばかり……、あの、すみませんでした!」
マジな顔して驚くと、ウヅキはぺこっと勢いよく謝りだした。
「ぷっ……、なんで、あなたのほうが謝るのですか」
言って、サターホワイトさんは苦笑しながら身体を起こした。
「それに、そんな心底驚かないでくださいな。ああもうまったく! わたくし、一世一代のごめんなさいをしたはずなのに、なんだか全部どうでもよくなっちゃいましたわ!」
「はぅ、えっと、なんていうかその、すみません……」
「だから謝らないでくださいですの!」
「はい、その、すみま……せ、しゅ……、はぅ、噛んでしまいました……」
どうにかこうにか、なんとか謝らなかったウヅキ。
「もう、ほんとにあなたときたら。ねぇ、サクライさん。同世代にあなたがいること、これからわたくしは誇りに思うことにしますの。そしていつか必ず、そんな誇れるあなたにも、わたくしは勝ってみせますわ! 首を洗って待っていてくださいですの!」
「は、はい! わたしも一緒にお勉強できること、楽しみにしています!」
強気を取り戻したサターホワイトさんに、ウヅキもにっこりと笑って応えたのだった。
「なべて世は事もなし。これにて一件落着だな」
めでたしめでたし――。
「サターホワイトさん?」
深々と頭を下げた金髪ちびっ子お嬢さまは、その姿勢のままでもって、己の弱い心を吐露しはじめた。
「正直に全てを告白いたしましょう。わたくし、ずっとサクライさんのことを妬んでおりましたの。何をどうやっても勝てないあなたに、ずっと嫉妬していたのですわ」
「そう、だったんですね……」
正直な気持ちをぶつけられて、ウヅキがちょっとしょんぼりした顔をした。
「先だっての試験も、帝立アカデミーから超一流の学者たちを家庭教師に招へいし、それこそ死に物狂いで勉強して平均点99点という文句なしぶっちぎりのハイスコアを出しましたのに。なのにあなたときたら全教科100点満点という、学園創立以来初となる離れ業でもって、あっさりとわたくしを上回ってみせました」
おぅ、確かにそれはきっついなぁ……。
っていうか、ウヅキさんマジ半端ない。
もはや勉強が得意ってレベルじゃねぇぞ?
夏の甲子園に、メジャーリーグ本塁打王が飛び入り参加してるようなもんじゃねぇか……。
「『トラヴィスは常に優たれ、しかし全ては民のためにあれ』――トラヴィス家の家訓ですの」
「とっても素敵な言葉ですね」
「にもかかわらず、入学以来あなたに負け続けたわたくしは、あなたに嫉妬してしまって。あろうことか、嫌がらせまでしてしまったのですわ。トラヴィスの名に泥を塗っていたのは、他ならぬわたくし自身だった。心のどこかで薄々と感じていたそのことに、今はっきりと思い至りましたの」
「そう、だったんですね……」
「それと、大きなおっぱいが妬ましくて羨ましくて……、胸を見比べるたびに、わたくしついカッとなってしまったんですの……」
「そう、だったんですね…………」
金髪ちびっ子お嬢さまの正直すぎる懺悔に、ウヅキが何とも言えない微妙な顏をした。
「今さら許してくださいなどと、虫のいいことは申し上げません。ただ、わたくしの謝罪をあなたに聞いていただきたいのです。サクライさん、今まで本当に申し訳ありませんでした」
それは、金髪ちびっこ――、なんて呼び方は、もう失礼か。
誇り高きサターホワイト・マテオ・ド・リス・トラヴィスが行った、うそ偽りのない心からの謝罪だった。
高貴な身分にありながら、取り巻きが多数見ている前で庶民相手に腰を折って頭を下げ、嘘偽りのない自分の弱さをさらけ出して、言葉にして相手に伝える。
いったい、どれほど勇気がいる行動なのだろうか――?
それはこの異世界に転生するまで、自分に非があろうがなかろうがひたすら他人にへこへこし続けてきた、プライドレスな俺には到底分かりえない感情で。
だから俺は。
気高き少女がとった、自分とは全く正反対の、信念に基づいた行動を――、
「尊い」
――と、心の底から感じ入ったのだった。
「なにはともあれ、まずは顔をあげてください、サターホワイトさん」
「いいえ、あげませんわ。だって上げる資格がありませんもの。少なくともあなたが――許す許さないは別として――この言葉を聞きいれてくれるまでは」
「もう、わたし、ちゃんとお話聞いてましたよ? それに資格とか、そう言う前にですね。だってほら、顔を上げてくれないと、顔を見てお話できないじゃないですか」
「ですが、わたくしはあなたのことをずっといじめて――」
「友達同士、時にはけんかすることくらい、普通のことじゃないですか?」
「――え?」
その言葉があまりに意外だったのか、思わず首から上だけくいっと上げてしまったサターホワイトさん。
「友達だったら、顔を見て話すのって当たり前じゃないですか?」
「こんなドブネズミのような薄汚れた心をもったわたくしを……、あなたは友達だと、そう言ってくださるのですか……?」
「えっ!? 違ったんですか!? 一年以上同じクラスなのに!? わ、わたし、勝手にお友達になっていたとばかり……、あの、すみませんでした!」
マジな顔して驚くと、ウヅキはぺこっと勢いよく謝りだした。
「ぷっ……、なんで、あなたのほうが謝るのですか」
言って、サターホワイトさんは苦笑しながら身体を起こした。
「それに、そんな心底驚かないでくださいな。ああもうまったく! わたくし、一世一代のごめんなさいをしたはずなのに、なんだか全部どうでもよくなっちゃいましたわ!」
「はぅ、えっと、なんていうかその、すみません……」
「だから謝らないでくださいですの!」
「はい、その、すみま……せ、しゅ……、はぅ、噛んでしまいました……」
どうにかこうにか、なんとか謝らなかったウヅキ。
「もう、ほんとにあなたときたら。ねぇ、サクライさん。同世代にあなたがいること、これからわたくしは誇りに思うことにしますの。そしていつか必ず、そんな誇れるあなたにも、わたくしは勝ってみせますわ! 首を洗って待っていてくださいですの!」
「は、はい! わたしも一緒にお勉強できること、楽しみにしています!」
強気を取り戻したサターホワイトさんに、ウヅキもにっこりと笑って応えたのだった。
「なべて世は事もなし。これにて一件落着だな」
めでたしめでたし――。
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