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異世界転生 7日目
第128話 サーシャがお家にやってきた
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迎えた翌日。
朝ごはんには完全寝坊な遅すぎる時間に起床した俺が、
「ふぁー……あふー……」
あくびをしながら居間へ向かったところ――、
「あっ、セーヤ様……! ご、ごきげんようですわ」
なぜか居間にサーシャが居たのだった。
「おはよう――って、あれ? サーシャ? ん? ここってサクライ家だよな……?」
寝起きの頭に浮かんだのはしかし、プレゼントをもらって喜ぶウヅキの向日葵のような笑顔。
「うん、ちゃんと家に帰ったよな……」
一連のやりとりを思い出しただけでニヤニヤしてしまいそうになるあれは、俺が手に入れたモテモテ異世界生活の、紛れもない第一歩だった。
「寝起きでぼーっとしているセーヤ様……なぜかふっとアンニュイな笑みを漏らす姿も素敵ですの……ふぅ、これはわたくしの心のスケッチブックに永久保存ですわね……」
そして朝っぱらからかなりトばしてるサーシャである。
いろいろ大丈夫かな?
なんか俺と同じようなこと言っちゃってるよ……自分で言うのもなんだけど。
しかも明らかなニヤニヤ笑いを、アンニュイな笑みと捉えてしまう節穴さんときたもんだ……。
ラブコメ系A級チート『何気ない寝起きの姿』とかいう言語明瞭・意味不明瞭なチートが発動しているけれど、これのせいなのだろうか?
「まぁいいか……で、こんな朝っぱらからどうしたんだ?」
「ふふっ、もう朝ではなく、あとちょっとでお昼ごはんの時間ですわ」
「確かにそうだな……もう昼か……」
窓の外に見える力強い陽の光は、すでに太陽が高い位置にあることを示していた。
「あれ、でもそれなら、今日って学校は休みなのか?」
「学校でしたら、しばらく休校になったんです」
何気ない疑問に答えてくれたのは――入れたばかりなのだろう――湯気が立ち上るあたたかいお茶を運んできたウヅキだった。
「ドラゴンが暴れた中央広場を中心に、住居の被害が結構あったみたいでして。それで学校の校舎と、あと運動場にテントを立てて避難所にしているんですよ」
「そういうのはどこの世界でも同じなんだな……」
学校は生活者が居ないのに管理が行き届いた大きな建造物だから、有事の際にはおあつらえ向きの避難スペースになるってわけだ。
「というわけでして、おはようございます、セーヤさん」
「うん、おはよう、ウヅキ」
「朝ごはんの時に呼びにいったんですけど、ぐっすり眠っていたので起こすのはやめておいたんです」
毎度、きめ細やかな対応をみせるウヅキだった。
「気を遣わせて悪かった、でもおかげさまでばっちり完全回復だ。ありがとな」
「いえいえ、なんと言っても今のセーヤさんはうちの大黒柱ですから」
「あはは、これからも善処するよ」
ヒモから大黒柱へと、一足飛びに大出世魚しちゃった俺だった。
「今ちょうど温かいお茶が入ったところなんです。よかったらセーヤさんもどうぞ」
「お、ありがとう、いただくよ……って、今日はお茶なんだな」
確かサクライ家にお茶はなかったはずだ。
主に経済的な意味で。
昨日俺が稼いできたお金で早速買ってきたのだろうか、と思っていたら、
「いつもわたしがお水を飲んでいるのを見て、商品としては売れない規格外のお茶っ葉だって言って、サーシャがいっぱい持ってきてくれたんですよ」
とのことだった。
「マジか。ありがとな、サーシャ」
「べ、べつに感謝なんていらないですわ。もともとこれは、うちの使用人が処分がてらタダで飲んでいる物ですもの。それをちょっとお友達に融通しただけですわ」
「それでもありがとうな。おかげでこうやって朝から優雅にお茶が飲めるんだから」
「は、はい……セーヤ様に喜んでもらえて、わたくしも、その、嬉しいですわ……」
上目づかいに見上げてきながら、両の人差し指をつんつくするサーシャ。
たまに見せるサーシャの照れる姿は、なんかこう普段の強気とのギャップでめっちゃ可愛いくて困る。
「こほん……それで、最初の質問に戻るんだけど、どうしてサーシャがここに?」
「ハヅキにお古の服を譲ってくれたんですよ。でも昨日の今日なのに、しかもわざわざ家まで持ってきてくれるなんて、サーシャは本当に優しいんですよ」
「そうだったのか。ありがとうな……って、さっきからなんども言ってるせいで、ありがたみが無いかもだけど」
「ふっ、だから礼には及びませんと言ったでしょう? トラヴィス家の次期当主として、これくらいは当然なのですわ。トラヴィスは常に民とともにあるのですから――!」
おお、相変わらず素敵に意識が高い子だ……俺も少しくらいは爪の垢を煎じて見習わないといけないなぁ……。
「それに、ここに来ればセーヤ様とお会いできますし……」
おまえ間違いなくそっちが本音だろ……。
などという無粋な突っ込みは、もちろんしたりはしない。
俺の半分は女の子への優しさでできてるからね。
残りの半分はもちろん、モテモテハーレムを目指す気高き志である。
それにほら、ちょっと方向が斜め上な気がしなくもないけど、可愛い女の子に好かれて嫌な気分にはならないよね。
あと、だからどうってわけでもないんだけれど。
俺が素直に感心した時に限って即座に落としてくるのは、この世界の密かなトレンドなのかな……?
朝ごはんには完全寝坊な遅すぎる時間に起床した俺が、
「ふぁー……あふー……」
あくびをしながら居間へ向かったところ――、
「あっ、セーヤ様……! ご、ごきげんようですわ」
なぜか居間にサーシャが居たのだった。
「おはよう――って、あれ? サーシャ? ん? ここってサクライ家だよな……?」
寝起きの頭に浮かんだのはしかし、プレゼントをもらって喜ぶウヅキの向日葵のような笑顔。
「うん、ちゃんと家に帰ったよな……」
一連のやりとりを思い出しただけでニヤニヤしてしまいそうになるあれは、俺が手に入れたモテモテ異世界生活の、紛れもない第一歩だった。
「寝起きでぼーっとしているセーヤ様……なぜかふっとアンニュイな笑みを漏らす姿も素敵ですの……ふぅ、これはわたくしの心のスケッチブックに永久保存ですわね……」
そして朝っぱらからかなりトばしてるサーシャである。
いろいろ大丈夫かな?
なんか俺と同じようなこと言っちゃってるよ……自分で言うのもなんだけど。
しかも明らかなニヤニヤ笑いを、アンニュイな笑みと捉えてしまう節穴さんときたもんだ……。
ラブコメ系A級チート『何気ない寝起きの姿』とかいう言語明瞭・意味不明瞭なチートが発動しているけれど、これのせいなのだろうか?
「まぁいいか……で、こんな朝っぱらからどうしたんだ?」
「ふふっ、もう朝ではなく、あとちょっとでお昼ごはんの時間ですわ」
「確かにそうだな……もう昼か……」
窓の外に見える力強い陽の光は、すでに太陽が高い位置にあることを示していた。
「あれ、でもそれなら、今日って学校は休みなのか?」
「学校でしたら、しばらく休校になったんです」
何気ない疑問に答えてくれたのは――入れたばかりなのだろう――湯気が立ち上るあたたかいお茶を運んできたウヅキだった。
「ドラゴンが暴れた中央広場を中心に、住居の被害が結構あったみたいでして。それで学校の校舎と、あと運動場にテントを立てて避難所にしているんですよ」
「そういうのはどこの世界でも同じなんだな……」
学校は生活者が居ないのに管理が行き届いた大きな建造物だから、有事の際にはおあつらえ向きの避難スペースになるってわけだ。
「というわけでして、おはようございます、セーヤさん」
「うん、おはよう、ウヅキ」
「朝ごはんの時に呼びにいったんですけど、ぐっすり眠っていたので起こすのはやめておいたんです」
毎度、きめ細やかな対応をみせるウヅキだった。
「気を遣わせて悪かった、でもおかげさまでばっちり完全回復だ。ありがとな」
「いえいえ、なんと言っても今のセーヤさんはうちの大黒柱ですから」
「あはは、これからも善処するよ」
ヒモから大黒柱へと、一足飛びに大出世魚しちゃった俺だった。
「今ちょうど温かいお茶が入ったところなんです。よかったらセーヤさんもどうぞ」
「お、ありがとう、いただくよ……って、今日はお茶なんだな」
確かサクライ家にお茶はなかったはずだ。
主に経済的な意味で。
昨日俺が稼いできたお金で早速買ってきたのだろうか、と思っていたら、
「いつもわたしがお水を飲んでいるのを見て、商品としては売れない規格外のお茶っ葉だって言って、サーシャがいっぱい持ってきてくれたんですよ」
とのことだった。
「マジか。ありがとな、サーシャ」
「べ、べつに感謝なんていらないですわ。もともとこれは、うちの使用人が処分がてらタダで飲んでいる物ですもの。それをちょっとお友達に融通しただけですわ」
「それでもありがとうな。おかげでこうやって朝から優雅にお茶が飲めるんだから」
「は、はい……セーヤ様に喜んでもらえて、わたくしも、その、嬉しいですわ……」
上目づかいに見上げてきながら、両の人差し指をつんつくするサーシャ。
たまに見せるサーシャの照れる姿は、なんかこう普段の強気とのギャップでめっちゃ可愛いくて困る。
「こほん……それで、最初の質問に戻るんだけど、どうしてサーシャがここに?」
「ハヅキにお古の服を譲ってくれたんですよ。でも昨日の今日なのに、しかもわざわざ家まで持ってきてくれるなんて、サーシャは本当に優しいんですよ」
「そうだったのか。ありがとうな……って、さっきからなんども言ってるせいで、ありがたみが無いかもだけど」
「ふっ、だから礼には及びませんと言ったでしょう? トラヴィス家の次期当主として、これくらいは当然なのですわ。トラヴィスは常に民とともにあるのですから――!」
おお、相変わらず素敵に意識が高い子だ……俺も少しくらいは爪の垢を煎じて見習わないといけないなぁ……。
「それに、ここに来ればセーヤ様とお会いできますし……」
おまえ間違いなくそっちが本音だろ……。
などという無粋な突っ込みは、もちろんしたりはしない。
俺の半分は女の子への優しさでできてるからね。
残りの半分はもちろん、モテモテハーレムを目指す気高き志である。
それにほら、ちょっと方向が斜め上な気がしなくもないけど、可愛い女の子に好かれて嫌な気分にはならないよね。
あと、だからどうってわけでもないんだけれど。
俺が素直に感心した時に限って即座に落としてくるのは、この世界の密かなトレンドなのかな……?
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