159 / 566
異世界転生 8日目

第146話 其は、夜天に瞬く星を堕とすもの――

しおりを挟む
「誰にケンカを売ったのか、二度と忘れることがないようにな――」

 力強く宣言すると、俺は高々とうたい上げる。
 神をも滅する覇王の凱歌がいかを、常勝不敗の黄金の祝詞のりとを――!

「『は、神の御座みざ簒奪おかすもの――』」

 小さな太陽とも言うべき固有神性の《天照アマテラス》が全力稼働を始め、日本刀クサナギがその溢れ出る黄金の粒子を、これでもかと食らい始める――!

「『は、竜のみかどこうべを垂らせしもの――』」

 刀身が黄金色の輝きに彩られていき、SS級神剣《草薙くさなぎつるぎ》へとその姿を絢爛豪華けんらんごうかに生まれ変わらせてゆく――!

「『は、夜天やてんまたたく星をとすもの――』」

 かつて天の星すら落としてみせたという《神滅覇王しんめつはおう》の前では、神なる星座の力を借りただけの《天狼咆哮・群体分身ライラプス・オーバーロード・ミラージュ・ファング》など、児戯に等しい――!
 
「『は、神をも滅す覇の道をきて――』」

 俺は神速の踏み込みでもって、3体のうちの1体に肉薄すると、神剣《草薙くさなぎつるぎ》を振り抜いた!

「『ただの一度も振り向かず、愚かなまでに、更なる未来さき強欲ほっし続ける――』」

 それだけで分身体は一刀両断、真っ二つになって、溢れいづる黄金の光に上書きされるようにして、その存在を失っていった。
 まずは一体!

「『の者の行く手をはばむ者あらず――』」

 勇敢にも――いや、無謀にも襲いかかってきた2体目。
 不意打ちしたつもりだろうが、悪いが遅すぎる――!

「『ただ覇をもって道なき千里みちを駆け続ける――』」

 背後からの強烈な突進を、俺は振り向きざまの横薙ぎ一閃にて切って捨てた――!
 この力を手にした俺には、もはやその程度の攻撃は避けるに値しない――!

「『その気高き道程みちのりをして、畏敬を込めて人は呼ぶ――』」

 さて残るは1体、本体だけとなった天狼ライラプスのみ――!
 巨大な銀の狼に勝るとも劣らない、雄々しくそして猛々しく吹き上がった黄金の粒子をまといながら、俺は朗々ろうろうとその偉大な覇王の名前を歌い上げた――!

「『その名、たっとき、《神滅覇王しんめつはおう》――!』」

 祝詞のりとの完成とともに――世界が、黄金色に染まった――。

「行くぞ、サーシャに怪我をさせたツケ、身ぐるみぐまで払わせてやる――!」

 輝く黄金の化身となった俺は、巨大な銀狼に向かって疾風のごとく向かってゆく。
 それを迎え撃つ《シュプリームウルフ》。

 だが――、

「遅い――!」

 《シュプリームウルフ》が1回攻撃する間に、俺は5回、6回と攻撃を繰り出してゆく。
 もちろん当たった傍から超回復をされてしまうが、そんなものはお構いなしだ。

「オラオラオラオラオラオラオラオラッッ!!」
 マシンガンを連射するかのごとく、目にもとまらぬ斬撃を《シュプリームウルフ》の巨体へと嵐のように叩き込み、圧倒してゆく――!

 手数の多さを嫌って繰り出された、体格差に物を言わせた《シュプリームウルフ》の強引な突進も、

「おおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!」
 真っ向勝負、《草薙くさなぎつるぎ》を上から叩きつけ、逆にその巨体を弾き飛ばした。

 まさか得意の突進を、真正面から跳ね返されるとは思っていなかったのか。
 それとも自慢の機動力・俊敏さで負けたことに動揺したのか。

 そこで巨大な銀狼の攻撃の手が、ピタリと止まった。

「おいおい、どうした。ビビってんのか? 悪いがこんなもん、まだまだ序の口なんだぜ?」
 
 俺はにやりと笑うと、《シュプリームウルフ》の胴体の真横まで、距離と高さを一気に詰めて飛び上がった。
 そして、

「おらぁっっっ!」
 《草薙くさなぎつるぎ》の一撃を、その無防備な脇腹へと叩き込む。

 巨大な銀狼が今度は横っ飛びに吹っ飛び、地響きを立てながら平原を転がっていった。
 確かな手ごたえを感じたものの、

「やっぱ超回復しちまうか……でもま、それならそれで、超回復できなくなるまでぶっ叩くだけの話だしな」

 着地した俺は休むことなく追撃を開始する。
 銀狼が立ち上がりかけたところであごを蹴り上げ、のけぞって万歳したがら空きのボディへと、

「はぁぁぁっっっ!!」
 大上段から《草薙くさなぎつるぎ》を叩きつけるように振り下ろした――!

 黄金の超斬撃を受け、またもや吹っ飛んでいく《シュプリームウルフ》。
 しかし、

「まだまだぁ――っ!」
 俺は両足に膨大な力を溜めると、それを一気に解放。
 神速の低空ジャンプによって、吹っ飛ぶ銀狼を空中でとらえると、

「堕ちろ……っっ!!」
 《草薙くさなぎつるぎ》を思い切り振り抜いて、その巨体を地面へと叩きつけた。

 ドズウウゥゥゥゥゥゥンンンン――――
 盛大な砂ぼこりをまき散らして、巨大な銀狼が大地に沈む。

 《神滅覇王しんめつはおう》の海を割り、山をも砕く攻撃を立て続けに受けたことで、超回復が機能不全に陥ったのか。

 《シュプリームウルフ》はぴくぴくと痙攣したまま動きを止めていた。

「とりあえず、サーシャを怪我させたことへのオシオキは、これくらいで済ませてやる」

 はい、これで俺の勝ち……でいいはずなんだけれど。
 今や俺の半分を占めている 《神滅覇王しんめつはおう》の考えは違っていた。

「おい犬っころ、寝るには早いぞ。まだあるだろうが? 全部出せよ、ちゃんと待っててやるからよ」

 《天狼咆哮・群体分身ライラプス・オーバーロード・ミラージュ・ファング》について、俺――いや《神滅覇王しんめつはおう》によって強化された知覚系S級チート『龍眼』は、一つの確信に至っていた――。
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...