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異世界転生 11日目

第201話 かお、みれば、いらいら、わすれる!

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 荷電粒子砲を受け止めた反動でしりもちをついてしまった俺に、

「これでチェックメイト、ですね」
「く――っ」

 死神の鎌のごとき死を告げる荷電粒子砲の砲口が向けられた。

「私の勝ちです《神滅覇王しんめつはおう》。あなたには運がなかった――」

 《天照アマテラス》を封じられ。
 ツインドライヴ荷電粒子砲は完全に回避不能。

 そして《草薙くさなぎつるぎ》まで失った俺は、もはやこれ以上ないってくらいの絶体絶命の窮地に陥っていた。

「――逆に私には運があった。もしここに《神焉竜しんえんりゅう》がいたのなら、戦いにすらならなかったでしょう。強靭な竜鱗は荷電粒子砲では撃ち抜けず、この力もただただ《神滅覇王しんめつはおう》のみに作用するカウンターチートなのですから」

「確かにSS級ってほどの戦闘力は感じないな。せいぜいS級に毛が生えたようなもんだ」
 これは別に負け犬の遠吠えってわけじゃない。
 ま、負けた後で何を言っても言い訳になるけどな……。

「否定はしません。《スサノオ》はS級を超えるという意味において確かにSS級ですが、純粋な戦闘力ではバケモノ揃いのSS級には到底かないませんから。だからここにあなたしかいないとは、本当に私は運がいい」

「おいおい、もう一人、ハヅキもいるだろう?」
「あの子はただの一般人です。壁際で隠れているだけの存在に、何ができるというのですか? さぁお喋りは終わりです」

  ――『リーン』――
  ――『リーン』――

 遠くで鈴の音が鳴ったような甲高い音がして――、

「くっ、打つ手なし、か――!」

 今まさに俺の命を奪う荷電粒子砲が発射される――その寸前に、

「……なんのつもりですか?」
 その言葉とともに俺を狙っていたはずの荷電粒子砲が、大きく俺を外れてあさっての方向へと駆け抜けていった。

 そして俺の前には――、

「トワ、だめ!」
 一人の幼女が両手を広げて立ちふさがっていて――、

「まなしー、いじめちゃ、めっ!」
 ――ハヅキが俺を守るようにして仁王立ちしていたのだった。

「どきなさいハヅキ。あなたはただの人間です。私はハヅキを殺めたくはありません」
「やっ! まなしー、たいせつ!」

 トワ=《スサノオ》の静かな物言いとは対照的に、ハヅキが大きな声で言葉を返す。

「もう一度だけ言いましょう。どきなさいハヅキ、これは最終警告です。3度はありませんよ?」
「だめっ! また、いっしょに、おままごと、する!」

 しかしハヅキの答えは変わらなかった。

「トワ、おりてきて。かお、みれば、いらいら、すぐに、わすれる!」
「……ハヅキはいいお友達でしたが、あなたのお父さんがいけないんですよ」

 俺は童貞、いや独身なのでお父さんではないんだけど……いやいや今はそんなことはどうでもいい!

「ハヅキ、どいてろ。大丈夫だ、俺はまだやれるからお前は隠れてな」
 言いながら立ち上がろうとするものの、くそっ、ここにきて身体が重い……沼地に下半身が沈み込んでいるみたいだ……!

 そしてハヅキはというと、手を広げたままで俺の前から動こうとはしないのだった。

「……警告はしました。世界を救うためならば、私はハヅキを撃つことをためらいません」
 それでも何を言われても、ハヅキはしっかりとトワ=《スサノオ》を見すえたままで決して動こうとはしないのだ――。

「……残念です」
 トワ=《スサノオ》がハヅキに、右手に持つ荷電粒子砲を向けた。

「お別れですハヅキ。あなたと過ごした楽しい時間を、私は決して忘れないでしょう。せめてもの情けです。苦しまないよう、死んだことすら分からないように、心臓を撃ち抜いて一思いに死なせてあげます」

 ――『リーン』――

 遠く鈴の音が鳴り響き――、

「待てトワ! ハヅキは関係ない――!」
「さようなら――」

 ためらいなく放たれた超速の熱線が――、

「ぁぅ――っ」

 ハヅキの胸の真ん真ん中を撃ち抜いて――。

 ハヅキのその小さな体が、ゴムまりのように跳ね飛んだのだった――。
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