236 / 566
ーインタールードー 3

第213話 トラヴィス最高秘密会議、完成『MS-06』!

しおりを挟む
 東の辺境の中心・城塞都市ディリンデン。

 そこでとっても有名&最大手のトラヴィス商会の屋敷兼本店。
 さらにそこの、厳重に締め切られ外部と完全に情報遮断された金髪ちびっ子お嬢さまの私室にて。

 灯りは燭台にともるろうそくの炎だけ。

 部屋の大部分を暗がりが支配する、なんていうか悪の秘密結社的な雰囲気抜群の一室で。

 トラヴィス商会の金髪ちびっ子お嬢さまことサターホワイト・マテオ・ド・リス・トラヴィス(サーシャ)をトップにすえた、極秘プロジェクトの秘密会議が行われていた。

「ミリア、わたくしが帝都に行っている間に、例の物の最終試作モデルができあがったとの報告を受けたのですけれど?」
 金髪お嬢さまが、銀髪のうら若きメイドに問いかける。

「はい、サーシャお嬢さま。最終試作モデルMS-06、既に完成しております」
 それに銀髪メイドのミリアが――サーシャお嬢さま付き筆頭格メイドのクリス・ビヤヌエヴァの妹だ――うやうやしく答えた。

「最初のころの試作品はてんで話になりませんでしたわ。最終試作モデルと言うからには、問題は全て解決したと思っていいのですわよね?」

「もちろんでございます。問題点を全てクリアし、だけでなく更なるブラッシュアップを重ねたMS-06は、必ずやお嬢さまのご期待にそえられるかと」

「なんとそこまでとは……! それは重畳ちょうじょうですの。どうやら技術面で大きな進展があったようですわね」

「それなのですが、街に獣人族のココという新進気鋭の商人がおりまして」

「ふむ……獣人族ですか……東の辺境ではほとんど見かけませんわね。どういう人物なのですか?」

「《神滅覇王しんめつはおう》マナシロ・セーヤ様や《聖処女騎士団ジャンヌ・ダルク》ナイア・ドラクロワ様が懇意にしているアクセサリーショップの経営者で、非常に才気にあふれた有能な若手商人です」

「まぁ! セーヤ様のお知り合いなのですね!」

「はい、そして彼女のツテで非常に腕の立つ獣人族の彫金師――金属の細工師――に依頼することができ、一気にこの最終試作モデルMS-06へとこぎつけた次第です」

「最大の課題だった、精緻な焼きゴテの完成があいなったのですわね!」

「はい、そしてその出来あがった最終試作モデルがこちらになります。MS-06、どうぞ心行くまでご覧くださいませ」

 ミリアはそういうと『MS-06』を箱の中から取り出した。
 それを見た途端、サーシャの目が大きく見開かれる!

「こ、これは……! とても素晴らしい出来上がりですの!! かわら版(第二版)のセーヤ様を、微に入り細に入り完璧に再現して焼き印してありますわ!! 獣人族は手先が器用だとは聞きおよんでおりましたが、まさかこれほどとは……!」

「これならば、お嬢さまも自信を持って大々的に売り出せるのではないかと」

「ええ、ええ! 文句なしに完璧ですわ! ココと言いましたかしら? 今後その商人は、わたくしの特別な懇意こんいということで大きく引き立てるように」

「かしこまりました!」

 さらに、
「はむっ! もぐもぐ……」
 サーシャが『MS-06』を口に入れた。

「素晴らしいですの! 見た目だけでなく、お饅頭それ自体の味も絶妙な甘さ加減で、これならお菓子としてだけでなく、軽食としても食べられますわ!」

「お嬢さまのご要望通りの味を作り上げるべく、トラヴィス家お抱えの超一流シェフの総力を結集して、様々なアイデアを出し合って試行錯誤を繰り返しました! しかも材料は決して高価なものではなく、原価を抑えることで安価で広く市政に行き渡らせることが可能です!」

「よくやりましたわミリア! さすがは筆頭格メイドのクリス・ビヤヌエヴァの妹です! 決定です! この最終試作モデルMS-06=『マナシロセーヤまん最終試作モデル第6号』をもって、『《神滅覇王しんめつはおう》マナシロ・セーヤまんプロジェクト』を最終段階に進めます! ただちに量産化に入りなさい!」

「御意っ!」

「ここからはただひたすらに前進前進前進! 前進あるのみですわ!」

「心得ております。お嬢さま肝いりの『《神滅覇王しんめつはおう》マナシロ・セーヤまんプロジェクト』、必ずや成功させてみせます!」

「たいへん素晴らしい心意気ですわ! さて忙しくなりますわよ! 宣伝、広告、イベントなどなど、やることは山積みですの! 広報部と営業部の部長を呼びなさい――!」
しおりを挟む
感想 289

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...